第25話 ギルドからの依頼・前編
先日、お城に帰ってきてから私とリンは、チャップさんに事のあらましを説明し、冒険者としてギルドの依頼を受けに行くことや、隣町まで“魔物の群れ”を確認しに行くこと、リンのお城の兵士として、冒険者の仕事も同時に兼業する事についても了承してもらった。
朝、出発のために準備をしていた所、お師匠様(森繁さん)からの言伝で「異物の件で動きがあったら手を借りる時があるかもない。それまでは、目下訓練として冒険者稼業にも励むように」と、チャップさんから説明された。
去り際にチャップさんから一言。
「ライチャスネス様。それと、リン。“魔物の群れの一報”は冒険者ギルドからも、お城まで届いておりました。お気をつけていってらっしゃいませ」
「分かった。心配ありがとう」
「ええ。先ずは冒険者ギルドで話を聞いてくるわ」
チャップさんと挨拶を済ませた私とリンは、武器、防具、身支度を整え、冒険者ギルドまで出向く事にした。シティリアと待ち合わせをしているのである。街中は平和そのもの。“魔物の群れの一報”は、まだ街の人たちは知らないようだ。未確定な情報で混乱を防ぐためだろう。
さて、冒険者ギルド前についた。中に入ろう。
入口の扉を潜って室内の様子を伺うと、いつも通りではあるが…。若干空気が張り詰めているように感じる。さすがに、冒険者の間では“情報の共有”は行われているようだ。
談話スペースのほうに出向くと、既にシティリアが座って待っていた。こちらに声を掛けてくる。
「あら、おはよう。お二人さん。いつも一緒で仲が良いことで」
「そういうんじゃないわよ。分かるでしょっシッチー」
少しむくれ顔で話すリン。私もシティリアさんに挨拶をする。
「おはようございます。シティリアさん。今日はギルドマスターに会いに行くんですね」
「ええ。そうよ。貴方たちが来る前に、既に事前に話は通してあるわ。ソレイドが、応接室を用意してくれているの。受付嬢に言えば案内してくれるわ」
シティリアさんは椅子から立ち上がり、ギルドの受付に声を掛けにいった。準備ができているようで、私たちはギルドの2階へ案内され、応接室で待つように指示された。
さほど時間もかからずに、部屋のドアが開く音が聞こえた。ギルドマスターのソレイドだ。
「うむ。揃っているな」
すると、ソレイドの後ろから大柄な男が一緒に入ってくる。
「俺もお邪魔するぜーっと」
スタークだった。
リンが口を開く。
「やっぱスタークも呼ばれてたのね。いないからおかしいと思ったわ」
「依頼を済ませて戻ってきたばっかりなんだって。この話も今聞いたばかりなんだぞ?」
「そういや先日冒険に行ってくるって言ってたわね…。冒険者様」
スタークが穏やかに笑う。
「おめぇも冒険者だろ?」
「まぁね」
リンも愛想笑いで返す。
ソレイドも椅子に座り、場の雰囲気が変わる。
「さて、お喋りはそこまで。今回の話は皆聞いていると思うが……。先ず最初に一点確認させて頂こう」
ソレイドが息を整え、続けて話す。
「ライチャスネス君…だったね。大まかな話はシティリアから聞いている。本来ならば、冒険者になったばかりの君を今回の任務に就かせるのはあり得る事ではない」
「はい。心得ております」
「うむ。よろしい。では、リン君。説明をしてくれたまえ。彼はここにいても良い人物なのかな?」
リンは真剣な顔をしてソレイドの目を見つめる。
「はい。彼、ライチャスネスは。今回の任務に対して十分な成果を見込める人物であると、私は推薦いたします」
ソレイドは膝の上で手を組み。考え込む。
「うむ。相分かった。では、ライチャスネス君。次は君だ。君はこの任務に対して、最後までやり遂げる自信があるのかね?」
私は深呼吸をして、ソレイドから目を逸らさずに答えを放つ。
「はい。私はギルドの信頼を損なうことなく、今回の任務を果たすことをお約束いたします」
ソレイドの顔から笑みがこぼれる。
「ほぉ……。ギルドの信頼と来たか…。うむ。分かった。信用しよう」
スタークが閉じていた口を開く。
「ま、俺はライチャスネスなら大丈夫だと一目でわかったけどな! リンが連れてきたヤツだしよ! ガハハッ!」
場の雰囲気が和む。彼の性格は、まわりから好かれやすい性格なのかもしれない。
リンが言葉を差し込む。
「そういわれると…私も鼻が高いけど」
シティリアがソレイドに質問をする。
「ギルドマスター。私たちがここに呼ばれたという事は、ここにいるメンバーで任務に当たるということで良いのかしら?」
ソレイドは答える。
「うむ。その通りだ。厳密には第一陣として『腕の立つ冒険者』を先行させることになっている。現地の状況の把握と、後発組の合流をスムーズにするためだ。状況次第では、お城への救援要請を出す可能性もある」
私もソレイドの話に耳を傾け、質問をする。
「ソレイドさん。山を越えた隣町と聞いたんですが、町は無事なのでしょうか?」
「分からん。無事ではあると思うが、それ故に、中途半端な力量を持つ冒険者を送るわけには行かないのだ」
スタークもソレイドに質問をする。
「んでー。ギルドマスターさんよ。いつ出発すればいいんだい?」
ソレイドは神妙な面持ちで答えた。
「できれば、直ぐにでも出発して頂きたい。ギルドから移動手段として早馬を貸そう。これはギルドからの依頼なのでな。スマンが全体的な報酬については、任務が終わってからにさせてくれ。だが、そう安くはないと保証しよう」
シティリアが場を纏めるように発言をする。
「分かったわ。で、パーティーリーダーは誰にするの?」
スタークが答える。
「リンでいいんじゃねぇか? 俺は、この見ての通りの体格だ。前衛だぜ」
シティリアも賛同する。
「異論は無いわ」
リンは悩みながら答えた。
「ん? んー。そうね。私がリーダーを務めましょう」
ソレイドは感心したように話し始めた。
「ふ。さすが、お前たちは優秀だな。ぼんくら共はこんな事で言い合いをするからな。さぁ。話が纏まったら出発してくれ。また元気な顔を俺に見せてくれよな?」
ソレイドの激をもらった私たちはギルドが用意してくれた馬を駆り、隣町まで出発したのだった。
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