第19話 いざ、異世界へ・前編
お待たせしました。
主人公、中島義行は森繁未央との集合場所に来ていた。
「この辺が集合場所か…」
都会のど真ん中。こんな所から異世界に行けるゲートなるものが、存在するんだろうか。
森繁さんが来た。
「お待たせ。中島君」
普段のラフな格好と違って、綺麗な格好をしている彼女は大衆の注目を集めてしまう。
「いえ、それほどでも。ここから結構移動するんですか?」
「そうね。移動しながらお話しましょうか」
歩きながら、これからの予定の説明を受ける。
先ず、当初言われた通り、異世界に行く目的は私自身の戦闘訓練のため。
基本的には向こうの世界で過ごすが、現実世界に帰ってくることもできる。
あとは、慣れるまで、移動可能範囲は限定的らしい。まぁ、迷子になってもお互いに困るしな…。
「ここからは、タクシーで移動します」
そう言われて、タクシーに乗り、車での移動を開始した。
数十分ほどの距離を移動し、目的地についたようだ。
「ついたわよ」
「ここって……何かの工場ですか?」
「そう。表向きは普通の工場。中身も100%ね。ついて来て」
言われるまま、正門の警備所を通過し、敷地内に入っていく。
敷地の奥の方まで進むと、建屋があり、玄関の中に入ると自動ゲートがある。
森繁さんにゲートキーを渡され、通過していく。
コツコツと歩いている音が反響する。両開きの扉を開け、部屋に案内される。
部屋の中央に、凱旋門のようなオブジェクトが佇んでいた。
「これが、世界を渡るゲート……」
「そうよ。正確には、ゲートを形成するための補助装置ね」
森繁さんはゲートの横に手を当てた。起動をしているのだろう。
ゲートの中央に空間の歪が現れ、向こう側の景色が見えてきた。
「さぁ、行きましょう。中島君」
私は、半ば緊張しながら、一歩ずつ噛みしめていく。
まさか自分が異世界に行くことになろうとは……。
ゲートを潜り抜けると、そこは……。
「普通の、石造りの部屋……ですね」
森繁さんがそれに答える。
「こういったゲートは野ざらしにしておくものでもないですからね」
窓もなく、明かりが灯り、ゲートだけがある部屋。そこから私たちは出る。
通路に出ると、外の光が目に入ってくる。建物の中は若干薄暗かったから、まだ目が慣れていない。
眩しい太陽の光が目を刺激する。
虚ろな目を擦りながら、石造りの通路の外を眺めると、城下町が一望できる。
「凄い……、え、ていうか。ここ、お城?」
彼女は踵を返し、両手を広げ、こちらを向き、笑顔で答えた。
「フフ。驚いたかしら? ようこそ、私たちの世界“イーブナ”へ。そして、私たちの国“ホワイトキャッツ”へ」
私は驚いている。これが、これが異世界か。
存在は知っていたが、自分が行くことになるとは思ってもいなかったので、今まではそれほど関心が無かった。実際来てみると、これはこれで心躍るものがある。
「森繁さんは…、何者なんでしょうか?」
「それについては私がお答えしましょう!」
通路の奥の方から執事風の男と、兵士風の男が2人。こちらに向かって歩いてきた。
あれ? そういえば、言葉が日本語で聞こえた。魔法かな……。
執事風の男が息を整え、話す。
「こちらにおわすお方こそ、我がホワイトキャッツ王国のフォレスト・オーバーグラウン・ミオ王女殿下にございます」
森繁さんが若干照れた顔をしている。あ、威厳のある顔になった。
「と、いうことは、お姫様? で、ございますか?」
「フフ。そうよ」
私は平伏する所作を取った。あたふたしている。森繁さんもあたふたしている。
「あ、あー。中島さんは、我が……、ゴホン、うちの国の国民じゃないから、いいのよ」
「で、ありますか。と、とりあえず自己紹介を……。執事さん。日本語が通じる…かな? 中島義行と申します」
「お話は伺っております。私は執事のチャップと申します。以後お見知りおきを」
「では、中島様。案内を任されておりますので、一緒にご同行願えますかな?」
「あ、了解です。それでは、もりし……えーと。ミオ王女殿下……」
「森繁で良いわよ。そうね。私もちょっとやらなくてはいけない事もあるので、チャップについて行って、しばらくゆっくりしているといいわ。また後で会いましょう」
「了解です。では、チャップさん。お願いします」
「畏まりました。こちらへ」
そう言われて私はチャップさんの後へついて行くと、客間に案内された。
客間…というより、お客さん用の宿泊部屋。客室というべきか。
チャップさんは、何かあったら呼ぶように言われた。
まるで、旅行にでも来たみたいだ。本来の目的を忘れてしまいになる。
そう、私は、訓練をしにきたんだ……。忘れてはいけない。
森繁未央さん…。本名はフォレスト・オーバーグラウン・ミオ。
そして、これから、訓練をしてくれるお師匠でもある……か。
考え事をしていたら部屋にノックする音がしたので、私はすかさず返事を返した。
チャップさんだ。
「中島様。訓練の準備が整いましたので、こちらへどうぞ」
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