6、歩きながら
「ふわぁぁぁ……どうして、朝のこんな早い時間帯に冒険者ギルドなんかに行こうと思ったのじゃ?」
<クトゥリア>という私達の家の近くの村の手前で、魔王ちゃんが聞いてくる。
どうやら、まだ寝足りないみたいであった。しかし、12時間寝ても、寝足りないなどあるのかと思っていた。
「これから私達は、冒険者登録……いや、就職をするの。その時にステータスが高いってことが他の人に知られてしまった場合、確実に変なことに巻き込まれるからよ」
「……スローライフをするためには、己の力を隠す必要があるのじゃな?」
「正解~!」
今の私達には、のんびりとスローライフをしたいという共通の目的がある。仲良くやっていくため、なんとしても平穏を守らなければならないのだ。
そして歩くこと約10分……私達は目的の冒険者ギルドに到着した。外観は普通の店で、入口に「冒険者ギルド」の木札が掛かっている。建物自体が古そうで、昔の酒場をそのままギルドに変更したと簡単に推測出来たのだ。
出来るだけ人に会いたくない私は、心の中で人が少ない事を願っていた。そして、私は木製の少し古びたドアを押したのだ。意外と硬いなこいつ。
『ぎぃぃぃぃぃっっっ』
今のこの世界の日の出の時間が少し早くなっているのか、ギルドの中はほんのりと朝日に照らされておりいる。電気代の都合上か何かなのかは知らないが、灯りはあるのに使われていなかった。
暗示系の能力を使わなくても奥の方に受付の女性らしき人が2、3人ほど見える。中を見渡しても、他の冒険者の姿は見当たらない。
「ほら、(ロリ)魔王ちゃん、入るよ」
私はそういいながら、寝ぼけているロリ魔王の手を引っ張った。あー、若干トロッとしてる表情のこの子かわいーな……無条件に推せる。