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61、ボクっ娘天使と憑依能力

「マスターはボクが守るよっ!!」


 と、私の身体の中からボーイッシュな声が聞こえたかと思うと、どこからか紫色の輪っかが表れる。


(この声……まさか!?)


 私が何かを思い出そうとする前に、その謎の輪っか……いや、《創造者》という名の農業用のクワは、怪しげな光で私の身体を包み込んだ。




 目を覚ますと、そこは周りが白一色の世界だった。暑くも冷たくもなければ音も匂いもしない。言い換えれば「虚無」の空間だ。


 と、目の前の何も無い空間からぬるりと何かが現れる。


「この姿で会うのは久しぶり……かな?マスター」


 紺髪ウェーブロングに、元気ハツラツ系な女子中学生のような姿。紺色の薄いワンピースを身にまとい、頭には紺色の輪っか、背中には二対の……堕天使の翼。


 私のメインウェポン「クワ」の擬人化……るしあちゃん。見た目堕天使のめっちゃ可愛い幼女ってことくらいしか分かってないけど、一応喋れる。

 

 昔……エルタニアにいた頃に、どうしてクワなのに人の言葉が喋れるのか?と聞いた時には


「人の姿になれるのに人の言葉を話せない方が逆に珍しいんじゃないの?グ○ンギじゃないんだからさ」


 と、流暢に喋れるくらいの子だ。まぁ普段はどこにでもあるクワの姿をしているし、人前で人間体の姿になったのも片手で数えれる回数程しかない。


 つまり、こうして人の姿になって私の前に姿を現す程の重大なことが起きているのである。というかこの謎空間は一体何なのだろうか?


「るしあちゃん?ここは一体どこなの?」


「ここかい?ここはボクがマスターの精神世界に干渉して生成した特殊な空間さ。ここでの3年が向こうでの1秒になるくらいに時間の流れが異なるけどね。」


 なるほど、ドラ○ンボールにおける精○と時の部屋みたいなものか。じゃあ少しゆっくりしながらお茶でも飲もうかなぁ


「あ、マスターはこれからボクを介して半身ちゃんの憑代(よりしろ)になってもらうから」

「……憑代?」

「その人の身体と心をマスターとリンクさせて、マスターの力として使えるんだ」


 なんか見たことある能力なのは置いておいて、半身ちゃん一体だけならともかく、この先の未来で色々取り込んだり色んなものに乗っ取られたりしそうなフラグが立った気がする。


 でも今の私はレベル1固定だし、レベル2以下から攻撃を受けないみたいなメタを貼られた時点で戦闘だとかなり不利にはなる。半身ちゃんみたいに私の力を欲しがって狙ってくる敵は今後とも表れると思うから、使える力は多い方が良いんだよね。


「ふふ、今のマスター、半身を受け入れる覚悟が出来た顔つきになってるよ」

「覚悟は出来たけど……どうやって受け入れるの?」


 その問いにるしあちゃんは、「よくぞ聞いてくれました!」と言いたげな笑顔を見せると、両手を私にかざして詠唱を始める


「滲み○す混濁の紋章、不遜○る狂気の器、湧き上がり・否定し・痺れ・○き・眠りを妨げる 爬行する鉄の王女 絶えず○壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に○ち己の無力を知れ 破道の九十・黒○」

「絶対その詠唱違うでしょ」


 BL○ACHを知らなくてもこの詠唱だけは知ってるランキング上位に入るほどの有名な詠唱だけどこの状況だと絶対に間違ってるんだよね。


「開け!超神域の門!!」

 

 詠唱が空間全体に響いた瞬間、その一部にヒビが入って割れるような音がしたかと思うと。耳をつんざくような衝撃が走る。


 目を開けると、るしあちゃんの隣に私の半身……セナさんが立っていた。

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