58、アポ
契約者ーーそれはテスタメントと読んだり読まなかったりするモノーー。 お互いが決めた盟約的な何かに従って結ばれた特殊な関係を持つ人々のことである。
今、私の目の前にいる擬人化したドラゴンさんの口から出たのは、彼女が誰かの支配下に置かれているということだ。 かつて異世界を支配した程の強大な力を持った、私の相棒を一撃で沈めるほどの力を持つのに、それを超える力を持つものの存在……世界ってやっぱり広いなぁ
「ウチの契約者。その名を【セナ】っちゅうんやが……陽菜、アンタは聞いたことあるやろ?」
「……誰?」
「なんやて!?トレーナーのヤツ、アポは取ってるんとちゃうかいな?」
目の前のドラゴンさんのキャラが徐々にタ○モクロスに寄せられてるってことにはもうツッコまないとして、彼女の担当トレーナーはいつの間にか私にアポを取っていたとのこと。
私の知ってるアポって、アポイントメントの略で、電話とかメールとかで事前に連絡を入れるという認識である。まぁこれは前までいたバージョンのこの世界での場合だが。
今の《更新》後のこの世界は、スマホの代わり的な役割のインターフェース画面が常に自分の視界に入っている。私の視界左上には緑色のHPバーがあり、その下には青色のMPバーが存在している。右上を見てみると、赤い!マークがついたメニューアイコンが存在し、その下には✉️のマークも存在する。まるでゲームの中の世界のような視界になっているのである。
なにか連絡が来てないだろうかと、メール欄のアイコンをタップしてメール画面を開いてみる。が、「サラ」という名前の人物?からのメールは届いてない。あるのは、ソシャゲのお知らせの項目みたいな情報と運営からの配布アイテム位である。
一体、サラという人物はどうやって私に連絡を取ろうとしていたのだろうか
「夢の中にでも干渉してきたんじゃろ?」
ちょうどいいタイミングでロリ魔王が答えてくれる。なるほど、今朝見た夢が答えなのかもしれない。
私は今朝の夢の内容を思い出す。確か、私に似た姿の人がドラゴンさんを操ってどこかの都市を襲っていたような……
「もしかして、貴方を操って街を襲わせていた人が【セナ】って人物なの?」
「ウチは操られてた訳ちゃう。あいつ……セナと手を組んでただけや」
「その理由を聞いたら答えてくれる?」
そう聞くと、目の前のドラゴン娘はため息混じりに語り出した。




