46、なでしこ
「着いたぞ」
私とアルト君が二人でデートみたいなことをしながらたどり着いたのは、大きな水車がある木製の小屋だった。店の外壁には西洋風の剣や現代的な銃が飾ってある。
外見はゲームとかではよくある武器屋なのだが、時折カーンカーンカーンと金属を叩く音が聞こえてくるから鍛冶屋も兼ねているのかもしれない。
いや、外見だけで物事を判断するのは良くないと昔教わった事がある。外から見える武器、時折聞こえてくる音はあくまでも店内に流れているBGMで、ここは服屋さんなのかもしれない。
うーんダメだ、考えても分からないのでアルト君に聞いてみることにしよう。
「ここはどこなの?」
「ここはヤマダ武具店。武器屋兼鍛冶屋だ。ヒナもよく知っている娘が立ち上げたところだ。」
「山田……ってまさか!?」
アルト君の口から出てきた店名に私は驚愕した。私のクラスメイトにいた娘の苗字と同じなのだ。ただの偶然かもしれないが。
ガチャッ
「あ、アルトさんこんにちはー♪そして陽菜ちゃん久しぶりー」
木製の扉が開いて出てきたのは……私の予想通りの娘だった……昔から武器関連の知識があって、趣味は刀剣巡りだった……黒髪ぱっつんメガネの女の子、山田撫子ちゃんだった。
「な……撫子ちゃん!?どうしてこんなところにいるの!?」
相変わらず幼女になってる私の正体?が分かるのは置いておいて(なんで顔が見えないはずなのに気付けるのだろうか……?)突然の再会に私は困惑していた。
「あっちの世界で私たちが通っていた学校は無くなったって話、陽菜ちゃんは聞いた?」
「えっ初耳なんだけど」
「詳しいことは私も分からないんだけど……陽菜ちゃんとアルトさんで始まり、最終的に10人以上の人が短い期間で行方不明になったから、学校の管理体制が色々言われたみたいで……政府の権限でぷちっとされちゃったのよ」
どこか懐かしそうな表情で語る撫子ちゃん。私がいない間に地球では色々あったようである。まぁ、私も元のクラスメイト達に会いたくないって言えば噓になるからなぁ……
「今って私のクラスメイト達ってみんな何してるの……?」
撫子ちゃんはポケットからスマホを取り出し、何か画面を操作して私に見せてきた。
「これ、委員長が立ち上げた中規模ギルド《天翔ける双竜同盟》のつったかたーアカウント。現在のフォロワー数……要は私たちに力を貸してくれる人達の人数は約30000人。」
「30000人……!?すっご……」
「主な活動目的は行方不明者の捜索と世界の攻略よ。何の因果なのかみんなチートスキルを与えられたから、その力を活かそうと頑張ってるのよ」
えっ絶対敵に回したらダメな集団じゃんこのギルド。多分人数でゴリ押されるぞ……
などと将来的に起こることはないと思われることを妄想する私。これがフラグにならないといいんだけどなぁって思っちゃうとフラグになりかねないので頭をぶんぶんふって払拭することにした
「……で、私は委員長に月に滞在して行方不明者を探せって頼まれたから、ここにきて鍛冶屋兼武器屋を開店させたってわけ」
「あ、やっぱりここ武器屋だったのね。ってことは……」
「チート腕を作れってことよね。話はアルトさんから聞いてるわ。ここで立ち話してるのもなんかアレだから中に入ってきて」
私とアルト君は店内に入ることにした。
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ヤマダ武具店のお話はもう少し続きます
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