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4、家を購入

「転移って……どうやるの?」


 ベッドの端に座った私は、目の前のロリ魔王に質問した。魔王といっても、見た目は普通の幼い女の子なので、ロリ魔王と心の中で呼んでいる。


「転移魔法を使うのじゃ。 さっきの映像から分かるように、今のこの世界は魔法が使えるからの」


「魔法かぁ……名前は聞いたことあるけど、〈エルタニア〉で長い間、農業しかしてなかったから、生活系以外の魔法は、殆ど習得していない気がするのよね」


 だいたい、私は炎とか氷とかをはじめとした攻撃魔法なんて、触ったことはおろか見たことすらない。当然、発動の方法など分かるはずがないと、心の中で訴えていた。


「転移魔法くらい覚えてても損はないのじゃがな、今回は妾が行ってやるのじゃ」


 ロリでもやはり魔王である。こういう時は、役に立ってくれると感じたのだ。ロリには変わらないけれど……。


「それじゃあ、お願いしようかな」

「転移! <クトゥリア>!」


 無詠唱で発動する魔法に、私は心の準備すら出来なかった。流石、ロリでも魔王と言ったところか。しかし、いきなり魔法名を唱えるなんて、少し雑な性格なのではないかと、心の中でロリ魔王に話しかけたのであった。そんな心のツッコみが声として外に出ることはなく、私達は転移魔法の光に包まれたのである。


 ──数秒後。


「お主よ、もう目を開けてもよいのじゃ」


 魔王の声に私は目を開け……雄大な自然と小さめの村、そしてぽつんと立っているログハウスを見つけた。見た感じ異世界と言われても全く違和感のない、そんな風景が広がっていた。


「うわぁ……今の日本ってこうなってるんだ……。なんか感動的」


 私の口から、自然と思っていることが漏れたのだ。もしこれが、さっき思っていた事を漏らしてしまったらと、怖い考えが頭を過ぎるが、今は放って置こうと決めたのだ。


「……ここが、田舎というやつなのじゃろ?」

「うん、私の基準だとここは田舎って言えるね」


 のどかで風も穏やか、私のスローライフにぴったりの場所な気がする。ここなら、夢がきっと叶えられると信じたのだ。


「ほら、とりあえず家に入るぞい」

「あれ……お金持ってるの?」

「お金じゃと? これか?」


 魔王が小型のカバンから、一万円と書かれている札束を取り出す。見た目では何枚あるのか分からないが、この日本での価値はいくらだという疑問が残っていた。


「それ、何円分あるの?」

「百万ガル……つまり百万円分じゃ」

「ガル?」

「こっちの世界のお金の単位なのじゃ。 1ガル=1円という認識でいいぞ」


 私がこの世界で目覚めるまでの約1ヶ月完、ロリ魔王は色んな知識を得ていたようである。


「円はどこ行ったの?」

「『この地球はお金の種類が多すぎる』という理由で、この世界が異世界になった時に全部〈ガル〉に置き換わったのじゃ」

 

 本当であるか怪しい事極まりないが、今はこのロリ魔王を信用する事にした。とりあえず、このロリ魔王の話に合わせながら、ログハウスの前の看板まで歩いたのだ。


「えっとお値段は……30万ガルか、余裕で足りるじゃん」

「じゃ、さっそく購入するのじゃっ!」


 問題はロリ魔王のお金が使えるかどうかである。しかし、当のロリ魔王は躊躇することなく、看板下に置いてある自動販売機らしき物体に、お札を30枚投入したのだ。


「購入完了、いぇーい!」

「いぇーい!」


 まさかの購入完了に、私はロリ魔王とハイタッチを決める。敵同士だった私達、意外と仲良くなってる事に、これから一緒にやっていけそうな気がしたのだ。


「まずは家具の配置からかなのぅ」








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― 新着の感想 ―
[良い点] TwitterのRT企画を見て参りました。 「私」と魔王が意外と仲良しで、掛け合いも面白いです。 1話分が短いので、サクサク読めますね。 面白かったので評価させていただきました。 執筆活…
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