3、拠点が決まった(即決
「拠点かぁ……どんな家がいいの?」
私は魔王に聞いてみて……若干後悔した。というのも、魔王って城以外の景色を知らない気がするのだ(魔眼的なあれで周辺の知識を知っているのなら話は別になるが)
「お城って言いたいのじゃが……」
予想通りの答えに私は苦笑いをしてしまう。だが、ロリ魔王の気持ちは痛いほど分かっていた。
「お城だとかなり目立っちゃうでしょ? 私は一応田舎でひっそりとスローライフを送ろうと思ってるんだよね」
「なるほど、田舎で高原のログハウス的なのに住むのか……悪くないのじゃ」
「え……魔王の口から、ログハウスって言葉が出てくるの意外過ぎるんだが……何か変な物でも飲んだの?」
「べ……別に何も変な物は飲んでないのじゃっ!」
突然のツンデレモードを見せ、顔を紅潮させるロリ魔王に、私は可愛いと思ってしまう。見た目だけなら、確かにロリ……いや、幼い少女の姿をしているからである。
「それにしても、ログハウスでスローライフかぁ……どっか良いところがあるといいけどなぁ……」
私が呟くと、魔王は手際よく手元のタブレットを操作し、要望通りの物件を探し始める。すると突然、魔王の手が止まったのであった。
「ホッカイドウ? ここに住みたいのじゃ!」
のどかな高原と広がっている自然、その中に立っている木製のログハウスの画像を見せていた。見た感じは悪くなく、私のイメージしてた田舎のログハウスである。が……1つ気になることがあったのだ。
「この家の周辺って何があるの?」
私は拠点の周辺情報をロリ魔王に確認する。なぜなら、町や都市が周りにあると、色々めんどくさいことになるためである。
「えっと……<クトゥリア>という名前の小さい村が1つあるのじゃ。」
「<クトゥリア>? 聞いたことない名前……」
私の記憶している北海道には、そのような名前はなかった。この日本に何が起きているのか、私の疑問は増える一方であった。
「その村には冒険者ギルドが一軒、道具屋が数軒……これらは結構小規模なのじゃ。 後は宿屋や飲食店も数件。 それと民家と思われるのがいくつかあるのじゃ。」
「もうそれ異世界にある普通の村だよね。 なんか名前が変なのも納得できる……」
本当にここは日本なのかという疑問が、私に襲いかかってくる。転生したことで世界の法則が変わってしまったのか、それとも平行世界に来てしまったかなど、またひとつ私の頭に疑問が増えたのである。
魔法がなかった時のこの世界の知識が、どこまで使えるのかわからないし……もしかしたら使えないかもしれない。でも、私はスローライフを送りたい。やっと訪れた、ゆっくり出来そうないい機会なだから。
「……スローライフを送るのには悪くない拠点だから、そこに住むってことでいい?」
「分かったのじゃ」
私がその場所に住みたいと言うと、ロリ魔王は何も言わずぺこりと頷いたのだ。
「それで……どうやってそこまで行くの?」
問題はそこへの行き方なのだ。公共交通機関は人が多く絶対に使えない(身バレすると面倒くさい)。だが、徒歩という手段は、詳しい場所が分からないが、かなりの時間を要しそうである。すると、ロリ魔王がとんでもない事をさらっと言い放ったのだ。
「家の近くに直接、転移するのじゃ」
「……え?」