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13、ふとした気づき

2話突入です!

「ふわぁぁ~物凄く落ち着くのじゃぁ~」


 高級そうなソファーに寝転がっている彼女は、両腕をぐーっと伸ばしてくつろいでいた。若干ぼさっとした金髪ツインテール。その付け根からは小悪魔のような角が生えていた。子供っぽさが伝わってくる愛らしい童顔は、見ているだけで癒しをもたらす。クリーム色の肌で、黒を基調としたフリル付きのドレスを身にまとっていた。


 外見は10歳位の女の子……元異世界の魔王であり現私の相方、柊琴音ちゃん。「―なのじゃ」を語尾につける、俗に言う<のじゃロリ>属性を持っている。


……勘の良い人なら分かってくれるはずだろう。この子は可愛さも含めて色々と目立つルックスをしているのだ。


 あくまで私の考えなのだが、「スローライフ」を満喫するためには【目立たない】ことが重要だ。自分の持つあらゆるモノを活用し、誰の目にも止まることなくゆっくりとした時間を過ごす。これがスローライフの神髄だと思う。つまり、私のスローライフのためにも、この琴音ちゃんの外見を普通の人間の女の子にしなければいけないのだ。


「琴音ちゃ~ん、ちょっといい?」

「んにゅ……なんじゃ?」


 若干眠たいのか、その目はうっとりとしていた。魔族系の子って朝に弱いのだろうか。


「率直に言うけど、その見た目……何とかならないの? めっちゃ目立つよね?」

「……街中で一人買い物してても、誰にも声をかけられなかったのじゃが」

「その時、いろんな人から見られなかったの?」


 琴音ちゃんはそのちっちゃい身体でゆっくりと起き上がった。


「言われてみれば……結構な視線を感じてたのじゃ。 でもあっちの世界で魔王やってた時と似たような感じじゃったから、そこまで気にならなかったのじゃ」

「あ、それ【視線慣れ】の初期症状だね」

「【視線慣れ】? それは一体なんなのじゃ?」


 彼女はキョトンと首をかしげる。その行動、天然なのか小悪魔的な性格によるものなのか純粋に単語を知らないのか読み取れないが……。


「【視線慣れ】とは<沢山の人から注目を浴びた結果、自分が多くの人に見られているということに違和感や抵抗を感じなくなってしまっている状態〉のことよ」


 私が先生のような感じで説明すると、琴音ちゃんは勢いよくソファーから立ち上がった。真剣なまなざしでこっちをみているので、【視線慣れ】を直したいという意思がひしひしと伝わってくる。という訳で、私流の【視線慣れ】改善術を彼女に伝授することにしたのだ。


「その角を周りから見えないようにすることって出来る?」


 この世界では、外見を自由にカスタマイズできると聞いたので……最初はこれからだ。


「……ついてくるのじゃ」

 

 琴音ちゃんは、若干うつむきながら考えるそぶりを見せ、ついてくるように促したのだ。そして、私をリビングの奥へと手招きしたのである。


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