黒猫はまだまだお話するようです
こんにちこんばんは。
どうも想像力が尽きつつある仁科紫です。
今回で漸く王城でのお話回ラストです。…一話くらいで収めようとしていたはずなんだけどなぁ。どうしてこうなったのやら。
さて、今話は王城でお話する3話の中では、書いていて一番楽しいお話でしたので、読者の皆様にも楽しんでいただけますと幸いです。
それでは、良き暇つぶしを。
さて。相変わらずヘタレな王様はご健在だということは分かったから、いい加減話を進めましょうか。
「にゃっにゃにゃ、にゃにゃ?」
「ダメかと言われますと…実はダメではないのがなんとも言えないところが残念と言いますか…。」
えっ!ダメではないの!?(←言い出しっぺが何言ってんだ。)
うるさいわねぇ。もう出てこなくていいのよ?矢印。
むぅ。だって、そもそも、不法侵入出来ると思っていなかったのよ。今まで何回やっても屋根か塀くらいしか登れなかったし。
…いや、待てよ?そういえば、猫党が暴走すると、不法侵入も出来るようになってなかったかしら?そう、例えば魔法学園とか、ね。
つまりは、これは何かのイベントということかしら?
ふむ。なるほどね。それならば納得のいくところも…ある、あるのかしら?いえ、あるのよね。うん。あるということにしておきましょう。
「…まあ、ねぇ。法では動物系種族はうっかり間違えての不法侵入では裁かれないってなっているんだよねぇ。
だから、チェシャがうっかり間違えて領主館に入っちゃっても罪には問われないんだよ。とはいえ、おかげで動物系種族は暗部の定番になっちゃってね?たまーに面倒なやつが出てくるのさ。
まったく。困ったものだよ。」
え。あんぶ。アンブ。…暗部?え。ええっ。この平和そうな国に暗部なんてあるの!?いても需要がなさそうなのに!
「お・と・う・さ・ま?うふふふふ。
それは国家機密では御座いませんでしたか?」
…あ。アリシアさん、第二の怒りが来てるわね。笑顔が黒くて背筋がさ…コホン。カッコイイわ!
まあ、国家機密なんて話してはいけないのは当然よね。当然のことを守れなかった王様が悪いわ。
「にゃぁ…。」
「ち、違うんだ!これは…そう!チェシャなら信用できr…」
「問答無用ですわ。チェシャ、GO!ですわ!噛み付くなり引っ掻くなりこの王女である私が許しますわ!オーホッホッホ!」
え?本当に?本当の本当に?いいの?いいのね?何かまた癖っぽいのがでてるけどいいのよね!?よっしゃー!
思う存分引っ掻いてやんぜぇー!
「ちょっ。なんでそんなに目がキラキラしてるのかなっ!?
はいっ。2人とも、落ち着いて、ね?
あ。なんか、キラキラ通り越してギラギラしてるぅ!?
や、やめ、ぎゃぁああああああああああああああああ!」
「あはははは♪」
「うふふ。楽しそうで何よりですわ。」
さぁ。切ってぇ切ってぇ、また切ってぇ♪
称号のおかげで怪我させないし、良いわよね?気が済むまでいくわよ!
・
・
・
「うぅ。酷い目にあった…。」
「うふふ。いい仕事っぷりでしたわ!さすが、チェシャですわね!」
「にゃふん。」
ふふふ。そうでしょう?そうでしょう?我ながらいい仕事をしたわ。
「あら?そういえば、何を話していましたか?
緩いお父様のお口をバッテン(✕)にするためにチェシャにお仕置きしてもらいましたが…。」
はっ。そういえば、侵入するしないで少し揉めていたのだったわ。忘れていたわね。
でも、忘れているのなら好都合ね。このまま証拠をこっそり取りに行きましょうか。
ふふふ。侵入捜査ってなんだか心躍るわね。
「それはね?アリシア。領主館n…」
「にゃっ!にゃにゃにゃっにゃ!」
王様!それはいけないわ!それ以上話せばバレてしまうもの!
「あ!そうでしたわ。もう。チェシャってば、なかったことにしようとしていましたわね!」
「にゃっにゃぁにゃにゃぁ〜♪」
あー…。バレちゃったわ…。ここは、あさっての方向を向いてゴロゴロ転がっておきましょうか。
もちろん、椅子から降りているわよ?さっき王様を殴っ…引っ掻…コホン。お仕置きしたあとだもの。机の上でゴロゴロしている私を見て、誤魔化されてくれればいいのよ!
「かっ、可愛い〜…っではありませんわ!
その程度では誤魔化されませんわよ!チェシャ!…可愛いのは可愛いですけれども…。
それとこれとは別ですわ!」
「にゃぁん。」
ちっ。さすがにダメか。
騙されてくれたら楽…いえ、それはそれで罪悪感があったわね。まあ、冗談だったし、いいとしましょう。
「まあまあ、それぐらいにしておきなよ。
今回の件はどの道証拠を探すために侵入捜査しないといけなかったことだろう?
それをチェシャがやってくれるなら、それはそれでありがたいことじゃないか。」
「それはそうなのですが…。チェシャにそんな危ないことをさせる訳には…。」
「にゃっにゃ!」
そこは任せて欲しいところだわ。私ならプレイヤーだし、死に戻り出来るから大丈夫だもの!
「チェシャ…。」
「まったく。アリシアは心配症だねぇ。こんなに強いんだし、大丈夫。大丈夫。チェシャも気楽に行っておいでよ。
領主館の警備なんてどうせ雑だろうし。そんなに厳重ではないだろうさ。」
「にゃ!」
今日の王様はひと味違うわね。まあ、一度しか会っていないわけだし、そんなに親しくもないのだけど、それでも情けないイメージのある王様がここまで堂々としているとねぇ。
なんだか、明日は槍でも降りそうじゃない?
「ふぅ。これでかなり楽ができるよ。」
「あら。それはどちらの意味でしょうか?お父様?」
ん?なんか、アリシアさんのレーダーに反応があったようね。
…ナマケモノレーダーってところかしら?王様の怠けたいというオーラでも感じ取ったのかしらね。
「え。なんの事だい?私はただ、国のためを思ってだね。」
「うふふ。そんな素晴らしいお言葉を述べるような方だとは思っておりませんでした。
なるほど。国のため。それは素敵な思考回路をなさっているのですね。
チェシャが侵入捜査することでどのような得を国がするのか、鈍い私めにお教え願えますでしょうか?」
「えっと、それはその…人材を無駄にせずにすみます!」
わぁ。王様タジタジになっちゃってるじゃない。娘に敬語…ということは、うん。良い案が思いつかなかったから、適当に言っちゃったのね。相変わらず分かりやすいわね。この王様。
素直…というか、わかりやすいところは美徳なのかしらね?
「うふふふふ。…寝言は寝て言え!ですわっ!
どうせ、自分の仕事が一つ減った!ラッキー♪とか、思っていらしたのでしょう?」
「ギクゥッ」
「まあ、いいんですがね?とりあえず、クエストとして依頼してくださるのであれば何も申しません。
チェシャ、どうしますの?」
「にゃっ!」
もっちのろんで受けるわよ?当然じゃない。私が持ってきた話だもの。責任くらいは取らないとね。
それにしても…王様?そこでホッとしなくてもいいのよ?情けないイメージが更にパワーアップしてしまうもの。
「さて、これでこのお話は終了ですわね。…あら。もうこんな時間ですわ。チェシャ、この後はどうされますの?」
あら。気づけばもう空はオレンジ色になっているわね。もう数分もしたら夜になりそうだもの。
結構話し込んでいたなんて…気づかなかったわ。まあ、予定通りと言えば予定通り、かしら?
今は昼の3時くらいだから、これから侵入捜査をしに行けばちょうど領主館も寝静まっていることでしょう。うん。いい具合。
ふふふ。楽しみね。
「にゃにゃっにゃ!」
「なるほど。確かに丁度いいかもしれませんわね。でも、そんなに急がなくてもいいではありませんか。
1日くらい泊まっていきませんの?」
「まあまあ、チェシャにだって予定というものがだね」
「お父様、お黙り下さい。」
「うぅ。冷たい。私の娘が冷たいよぉ…。」
「にゃ…。」
可哀想だけど、日頃の行いを見ていると、ね…。うん。何も言えないわ。諦めた方が吉というものよ。それにこっちの方がおもしr…コホン。親しみがあっていいと思うわ。
「にゃにゃにゃにゃ!」
「そうですか…。決めたことならば仕方がありませんね。それでは、次にいらっしゃったときはお泊まり会をしましょう!
世に聞く、パジャマパーティーとやらをしてみたいのですわ。
いい、でしょうか…?」
グフッ。アリシアさんの、デレが可愛すぎるぅ…。
モジモジしながら自信なさげにきかれちゃったら、もう、なんでもオールオッケーにしちゃいたくなるじゃない!これは言葉だけでは伝えきれない威力があるわね。
もちろんオッケーよ!私も興味はあったもの!
あれ?でも、私、猫なのだけど?パジャマなんて持っていないわ。そもそも、着れるのかすら怪しいわね。
「にゃあ!」
「その心配ならご無用ですわ!チェシャと出会った次の日にはこんなこともあろうかと用意しておりましたの!
あぁ。楽しみですわ〜♪」
随分と用意周到ね。パジャマのお金、払った方がいいかしら?
え?要らない?…まあ、猫に服を着せたがる飼い主的な感覚なのかしらね?猫はあんまり見たことはないけれど、犬によく見る感じの奴でしょうし。系統的には似ているんでしょうね。
まあ、こんなに楽しみにしてくれるなら嬉しいことよね。私も楽しみになってきたわ。
…あら?こういう場面では…
王様ガ 仲間ニナリタソウニ コチラヲ見テイル。という、テロップでもでそうなくらいにこちらを羨ましげに見てくるわ。…ヘタレねぇ。
「私も混ぜt…」
「はぁ?何を仰っているのでしょうか。お父様。
聞こえませんでしたのでもう一度お願いできます?
淑女の部屋に立ち居ろうだなんて仰った訳では無いのでしょう?うふふ。存じておりますので、どうぞ、もう一度。」
「う、うぅ。もういいもーんっだーっ!」
あ。アリシアさんの辛辣な言葉で王様は走り去ってしまったわね。…拗ねた子供にしか見えなかったわ。
「はぁ。お父様の意気地無し。
チェシャ、それではそろそろお開きに致しましょうか。
すっかり忘れていましたが、これが暴行許k…コホン。隷属手配書ですわ。魔法学園都市領主、ゴーマン・テニエルをチェシャの部下のように扱うことで、地位的に相手の方が低くなりますので、相手の命を奪わない程度のことならだいたい出来ますわ。」
「にゃ、にゃぁ。」
隷属手配書…つまりは、奴隷とまではいかないものの、階級的に私の下になるということね。
…よくこんな物あったわね?ちょっと倫理的にどうかとは思うけれど…まあ、殴りたいと言い出したのは私だもの。できるだけ穏便に済ます方向でいればいいわよね。うん。…一発は殴るけど。
さて。それでは、さっそく領主館に向かうとしますか!
次回、潜入ミッション開始っ!
それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。




