黒猫は王城に向かうようです
こんにちこんばんは。
外に出る用事が無さすぎてほぼ引きこもりと化している仁科紫です。
一ヶ月ほど更新期間が空いてしまいましたが、ようやく更新再開です!
魔女見習いのリリーと別れたチェシャが王城に向かった話です。
それでは、良き暇つぶしを。
さて。それでは、王城に向かうとしようかしら。
それにしてもどうやって向かおうかしらね?白うさぎの洞穴は…うん。やっぱり、猫らしくないわよね。それに、まだ近いもの。森を走るってことでいいわよね。いつも通りだわ。
よし!せっかくの森なんだし、ここは木と木を跳んで行くに限るわよね!
でもねぇ。よくよく考えると、アポもとっていないわけだし、そんなに簡単にアリシアさんに会うことが出来るかしら?
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…なーんて、思っていた頃もあったわ。
実際には…
「あら。チェシャではありませんか!お元気でしたか?
さっそく戻ってきてくれて嬉しいですわ!」
「にゃ。」
というわけで、王城の門の前に辿り着くと、騎士の人達がアリシアさんを呼びに行ったのよね。
その結果が今のこの状況よ。
「うふふ。さっそく、どのような冒険をしてきたのか、お話を聞きたいですわ。
お茶でもしながら聞かせていただいても?」
「にゃ!」
え!お茶!?王城でティータイムとか、どんな優雅な午後かしら!
とっても興味があるわ!是非とも参加させてください!
「チェシャが乗り気で良かったですわ。
それではこちらですわよ。」
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そうして案内されたのは、庭を眺めることの出来る鳥籠状の、屋根があって、机と椅子のある…東屋?だったかしら。
とにかく、そんな感じのところだったわ。
屋根に施されている彫刻が素敵ね。
と、様子をキョロキョロと見ていたら、いつの間にかもう準備されていたわ。…おかしいわね?さっき見た時は何もなかったのに。
まあいいわ。机の上には、ケーキやサンドイッチ、スコーンなどがのった、4段のお皿が用意されているわ。
カップとティーポットもあるわね。
…底が深めのお皿があるのは見ないことにするわ。ええ。その横にミルクの入ったピッチャーがあることなんて、私は決して知らないのよ。
…いくら、私が猫だからって…いえ。むしろ、これは良きことなのよ!チェシャ!より猫らしい猫になれているということなのだから、ここは良しとしなければ!!でも、紅茶が飲みたk…私は猫。つまり、お皿に口をよせて飲んでも何も問題ない。よって、オールオッケーね!(やけくそ)
「ここですわ。チェシャの好みがわからなかったので、いろいろと用意してみたのですわ。
お口に合えばいいのですが…。」
不安げにこちらを見るアリシアさん。うん。可愛いわね。
甘いものもたまには食べたいし、全然問題ないわ!
…あら?サンドイッチの具材がサーモンっぽいかしら?
サンドイッチにお魚…あうのかしらね?
あ。でも、ツナマヨとかあるものね。以外にあうのかもしれないわ。
「にゃにゃにゃ!」
「ほっ。良かったですわ。さぁ。かけてくださいな。」
このまま座ると、困ったことに机の上が見えない…と思ったら、そっちの椅子なのね。
椅子の上に硬めの四角いクッションみたいなのが置いてある方なら、問題なくお茶会ができるわ。
「それでは、飲み物も用意させますわ。いれてちょうだい。」
「かしこまりました。」
「…っにゃ!?」
え?あれ?あ、あれれ?今まで気配の欠片もなかったわよね?
うん?えっと?メイドさん、メイドさん、貴女はどこから出てきたのかしら?
「うふふふ。驚いていますわね。
ラフィはスキル〈メイドの心得〉を持っていますのよ?
気配を消すことなんて朝飯前なのですわ!」
「恐縮です。」
「にゃぁ。」
へぇ。そんなスキルもあるのね。
〈メイドの心得〉…複数のスキル効果がありそうね。例えば、気配を消せるとか、お掃除が上手になるみたいな?
まあ、まだまだスキルに関してはよく知らないことだらけだから、恐らくとしか言えないのだけどね。
「あらあら。恐縮だなんて言って。もぅ。つれないわね。
そのスキルを持っているのは貴女ぐらいのものよ?」
「恐縮です。」
「あはは。そんなことだから、『恐縮さん』なんて呼ばれるのよ?」
「恐縮です。」
…この人、恐縮です。しか、言わないんじゃないかしら?
黒髪でキラキラした青い目をした美人さんなのに、もったいない気がするわ。顔がね?いわゆる、鉄面皮なのよね。ものすっごく、無表情。
メイドさん…えーっと、ラフィさん、だったかしら?実は凄腕の暗殺者でした!なんて、言われても信じちゃいそうなくらいにはね。…まあ、冗談だけどね。冗談よ?真に受けないでね?
…え?フラグ?フラグなんて立っていないわよ?そもそも、この国の王族を暗殺したとして、得をする人っているのかしらね。…王様の押し付け合いゲームが始まるだけなのよねぇ。意味ないわね。うん。
「もういいわ。下がって。」
「かしこまりました。」
あ。恐縮ですじゃないのね。そういえば、初めに登場したときも、そうだった気がするわ。
なるほど。褒められたときは恐縮です。というのね。
考えてみれば当然だったわ。
常に恐縮ですとしか言わないヒトは機械とそう変わらn…あら?そういえば、このヒトたちって、NPCよね。なら、AIだから…機械ではある?でも、受け答えはほぼ人間と変わらないというか、もう人間でいいのではないかしら?
技術が発展すると、こんな事になるのねぇ。一昔前なら想像もつかなかったことだわ。
「さて。チェシャ、食べながらでいいのですけど、ここに来た理由を教えて貰っても?」
「にゃ?」
あらあら。目的があることはバレていたのかしら。
うふふ。ここはちょっととぼけてみることにしましょう。その方が面白そうだわ。
「なんのこと?って…もう。誤魔化さなくていいんですのよ?
目的もなく、ここに来ないことぐらいは想像がつきますわ。
それに、私の誘いにのった時点で、何か私に用事があることくらいは察せれますのよ?
これでも、私は王女ですもの!おーほっほっほ!…いえ。ここは王女関係ないですわね。
うぅ。やっぱり抜けないですわ…。この癖…。何故に高笑いをしたのですか。私…!」
あ。なんか、自分で反省会をしているわね。それにしても、買い被りすぎなのよねぇ。私、アリシアさんに誘われたら幾らでもお茶会に付き合うわよ?全く、私が打算だけで生きていると思ったら大間違いよ。私はね?楽しければそれでよしなの。それ以上でもそれ以下でもないの。理解されないかもしれないけどね。
この話は置いておくとして、まあ、癖は治らないから癖なのよ。諦めなさい。もし、治ったのなら、それは癖ではなかったというだけなのよ。
だから、ね?癖だと思わない方が、案外気付いたら治ってました。なんてこともあるかもしれないわよ。
「にゃにゃにゃぁにゃ!」
「え?癖だと思わない方が治るんじゃないか、ですか?…まあ、意識するなと言いたいのでしょうね。
確かに、意識しすぎているかもしれませわんわね。
次からは気をつけますわ。」
「にゃ!」
うんうん。それがいいわよ。
「それで、有耶無耶にされた気がするのですが、用件を教えていただいても?」
「にゃぁ…。」
仕方がないわね。もう少し遊んでいても…まあ、早い方がいいと思ったのは私なんだし、目的を忘れては行けないわよね。
とりあえず、魔法学園都市の現状を伝えましょうか。
「にゃにゃぁ…。」
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「まあ!そんな事になっていましたの!?
それならば、チェシャが怒るのも仕方がありませんわ。
是非とも改心するまで引っ掻いてよし!…と、言いたい所なのですが。残念ながら、私にそこまでの権利はありませんの。
お力になれず、申し訳ないですわ…。」
「にゃ?」
あら?そうなのかしら。
王族も意外となんでも出来るわけではないのね。
「不思議かもしれませんが、そもそも、ただの王族でしかありませんもの。私。
いつか、王になるわけでもない私に権力などありませんわ。ええ。あるわけはないのですよ。」
「にゃぁ?」
あら?その言い方だと、不本意ながらも権力はある。とでも言いたげね。
…あ。もしかして、王様が手間を省くために既にいくつかの権限を渡されているとか…。まっさかぁ。さすがに、ね?そんなことはないわよね?
「にゃにゃにゃにゃ?」
「うふふふふ。あらあら。なんのことだかサッパリですわ。
チェシャ、『実は権力を持っているか』なんて、愚問ですわよ?わざわざそんなことを尋ねなくとも、分かることでしょう?」
あら。持っているんでしょ?
その言い方的にも、今すぐにでもわなわなと震えそうなくらい怒っている様子からも、ね?
「にゃ。」
「…ええ!そうですわよ!あんの腐れニートジジイがっ!
なぁにが、『私の娘だからね。権力くらいは持っておいた方がいいよ。』なのですかっ!!
そんなの持ったら、周りからなんて思われると思っていますの!」
わぁ…。腐れニートジジイ…。娘にそんなふうに言われるとは…。さすが、と言うべきなのかしら?
ところで、ニートということは、自分の部屋からあんまり出てこないということよね。たぶん。
…コミュニケーションをとりましょうよ。
それにしても、アリシアさん、声真似が上手ね。一瞬、本人がいるのかと思ったわ。
まあ、この雰囲気的に、断れなかったのね。
アリシアさんにしては珍しいわね?キッパリと断っていそうなのに。
「にゃぁにゃ?」
「うふふふふ。それ、いつ尋ねられたと思いますの?」
えーっと。…まさか、ね?いやいや。さすがに、王様がああだからって。まっさかぁ(2度目)
…いえ、ありえるわね。もしかして、アリシアさんが幼い時とかだったり…して?
「にゃぁ…。にゃんにゃん?」
「うふふふふ。そのまさか、ですわ。
私が当時、5歳の誕生日祝いと称してですわよ!?
あの頃は私も素直でしたわ…。尋ねられてすぐに、『はい!お父様!』なんて、言っていましたもの。
今になって、すぐそばに居たお母様が困った顔をしていらした理由がよぉく分かりましたわ。
まったくもう!おかげで私は次期王様候補に挙げられているではありませんか!!なる気なんてちっともありませんのに!」
もう、ね。何も言えないわよね。うん。
その頃から、次の王様…女王様?は、アリシアさんの予定でいたということだもの。
きっと、本人の意志を確認すらしていなかったんじゃないかしら。
「にゃあ。」
「はっ。すみません。つい、カッとなってしまいましたわ。
他でもないチェシャのお願いですもの。叶えて差し上げますわ。
そこの菓子類を食べて待っていてくださいな。
すぐに書類を用意しますわ。」
「にゃ!」
よし!これで突撃できそうね!
…その前に、一度忍び込んでみようかしら。領主館?みたいなところに。何か、決定的な証拠があればいいわよね♪横領とか?
次回、あの人登場!アリシアちゃんはお怒りです。
チェシャ「わぁい。不穏だー。」
それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。
〜2022/04/17 19:00 の→をに訂正する誤字報告を適用しました。〜
毎度ありがとうございます<(_ _*)>




