黒猫は門を越えてお城を目指すようです
こんにちこんばんは。
登場人物が増えすぎて管理が出来なくなってきた残念作者の仁科紫です。
王都編の本格的な開始です。
それでは、良き暇つぶしを。
着きました!王都リデル!
おぉ!お城ね!とっても大きいわね。時計塔より、大きいかしら?
あ。でも、どうなのかしら。王都って、街を小山につくったみたいに段になっているっぽいのよね。徐々に高くなっているみたいだし。三層に別れているイメージかしら。
層の一番高いところに建てているようだから、時計塔よりは高いところにあるし、時計塔よりは当然のように高いもの。うん。やっぱり、こっちの方が高いわね。
ち、ちょっと、登ってみたいわね。ダメかしら?い、いえ、ダメよ。抑えるのよ。私。前回も時計塔を登って目立ってしまったことを忘れてはいけないのよ。
で、でも…ちょっとぐらい…ね?い、いえ!私、今は猫だもの!つまり、高いところに登るのは当然のようなもの!
よし!オールオッケー!何も問題はなかったわ!
お昼はあそこに行って、登ってみせるわ!…ちょっとこの国の王様とか見てみたいもの。ついでに見ていくぐらい、いいわよね。うんうん。
とりあえず、白うさぎの洞穴の登録だけ済ませてしまいましょう。
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はい!昼ご飯食べてきました!
なんだか、この生活にも慣れてきたかもしれないわね。元々、仕事漬けで生きてきたもの。仕事の時間がゲームに置き換わるだけだったから、意外とそう大差はなかったかしら?
…強いて言うなら、少し、ほんの少しだけだけど、私が自由に慣れた気がするわね。今を楽しめるようになった気がするわ。
…まあ、そんなことはどうでもいいわね。
それでは!気分を改めまして!お城に向けてレッツゴー!
ふんふっふふーん♪
どうせなら、屋根の上を登って行こうかしら。より猫らしく♪港町ではうっかり、そのことを忘れていたものね。
うーん。あ。あの低めの屋根から登りましょう。ちょうど良さげだもの。
ぴょーんと跳んで、足を揃えて無事着地っと。ふふーん。もう慣れたものよ♪
最初…まだ、2日前のことだけど、あの頃に比べると私も大分と猫らしくなったものだわ。まだまだこれからだけれどね。
さて、街を見ながら歩きましょうか。
王都とだけあって、やっぱりオシャレなお店が多いわね。
…おっと、ここはあっちのもう少し高そうな屋根の方に移動しましょう。
うーん?真ん中に車が4台くらい通れそうな大きな道があって、魔法学園都市よりにお城があるのね。ふむふむ。って、魔法学園都市に行くには、お城のすぐ横を通らなければならないんじゃないかしら。…警備が厳しそうね。
ええっと?あら?ここが、1層目として、2層目の場所に行くには、間に大きな壁があるのね。それで、2層に行くには門を通らなければならないと。…これ、私、通れるのかしら?
…ま、まあ、そんなことは置いておきましょう。きっとさくしy…んんっ。なんでもないわ。スクショ!スクショと間違えただけよ!スクショ撮りたいなぁ、とか思っただけなんだからね!
あはは。スクショのことは置いておくとして、今は街の説明ね。お城を中心に放射状にして、自動車1台がなんとか通れそうなぐらいの細い道や真ん中の大通り程ではないものの、その半分くらいの幅のある道が交互に2、3本あるって感じかしら?
ここからだと、詳しくは分からないわね。やっぱり、景色は高いところで見ないとね!
うーん。この大通りには屋台がないのね。その代わりに、お店が沢山並んでいるってところかしら。それに、お城に近付けば近付くほど、よりオシャレというか、高級感のあるお店が多くなっている気がするのよね。
…これは、ファンタジーでよくある貴族が住んでいるエリアが近いからってところかしら?お忍びでよく来る〜みたいな。
ふむ。ということは、2層目のエリアは貴族の邸宅って言うところかしら。
あまり関わりたくないわね。権力に関わっていいことはないと私は思うのよ。
さて、ここを跳び越えて少し進めば…よし。着いたわ。門の手前の屋根の上よ!
…結構、距離があるわね。これを跳び越えるのは…あら?そういえば、跳躍の効果で、跳ぶ距離は長くなっているはずだわ。前の私なら無理だったかもしれないけれど、今の私なら行けるはず…!
助走をつけて…それでは!
アイキャンフラーイッ!
…べちっ。ズルズルズルズル…ドシャッ…。
…誰よ!跳べるだなんて言ったやつ!いえ、私なのだけど!
無理だったじゃない!あと少し、あと少しだったのに…!悔しいわ!もう一回よ!もう1回!
…これはいつも通り、無事に着地できるまで、頑張りますか。
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〜3回目〜
あ!今、壁の上に足が引っかかった…って、わ、わわわ!
「に゛ゃぁあああ!」
ち、着地の体勢!せめて、足の肉球だけでも地面に向けるのよ!
ダンッ!スタッ。
ふぅ。危なかったわ。さぁ、これでさっさとまた、あの屋根の上に登るとしますか。
…それにしても、ここ、なんで誰も居ないのかしら?
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〜9回目〜
今度こそ!助走をつけてぇえええええ!
アイィキャァンフラァアアアアアアアイッ!
スタッ。
お?おお!?乗れたわ!わーいわーい!今回は二桁いかないうちに辿り着けたわ!
この壁、真っ白なんだもの。途中、太陽の反射で目がやられるかと思ったわ。
あら?チャレンジ開始したときは、誰かは居たはずなのだけど。なぜ、今は誰も居ないのかしら。
ちょうど、交代の時間だったのかしら…。うん?…って、居たわ!ええっ!なんであんな所に兵隊さん?兵士?騎士?うーん。まあ、なんでもいいわ。そんな感じの人がどうしてそんなところに数人いるのかしら!?
その場所とは…!
私がさっきまで居た屋根の上だったわ。あ、それと、屋根とこの壁の間にも15?人くらいいるわね。
…本当に、なんでそんなところに居るのかしら。普通は門を守る人たちのはずよね?この人たち、職務放棄しているのだけど、クビになったりしないのかしら。
あ、一番偉そうな人がこちらに向かって話しかけてきたわね。
「おーい。そこのニャンコぉ!無事かぁ!」
んん?これは心配されてる?なぜに?
あ。もしかして、心配してくれてた…?実はいい人たちなのかしら。それなら…
「にゃぁああん。」
「おう!それは良かったぜぇ!今度からは気をつけるんだなぁ!」
…気をつけるもなにも、街中ではHPは減らないはずなのだけど?
うーん。まあ、現地人にはそんなことは関係ないのかもしれないわね。
…心配してくれたから、つっこむべきか悩んだのだけど。ここはやはりつっこんでおくべきね。うん。
職務放棄してるんじゃないわよ!この猫バカがぁあああ!
ほら、ここに侵入猫?がいるわよ!取り締まらなくていいのかしら!!
…取り締まらないのね。そのままこの壁の中に入るためっぽい扉に入っていったし。
よし。それじゃあ、向こう側に何か良さげな屋根は…わぁ。お屋敷がいっぱいねぇ。手前の方はまだ許容範囲内なのだけど。奥の方に行けば行くほど敷地も大きいし、建物も大きいのねぇ。
お貴族様って凄いのね。なりたいとは思わないけれど。
私の理想はこじんまりとした、1つの部屋にキッチンやお風呂とかがあるような一軒家なのよ。
広いとお掃除が大変そうだし。いっその事、掃除をしなくていいようなお家ってないかしら。
…人類の発明に期待するだけしておこうかしら。
話がそれたわね。それよりも…うーん。どの屋根もちょっと遠いわねぇ。どうしようかしら。
「あ。さっきの猫さん。降りれなくて困ってる?」
え。あぁ、もう戻ってきたヒトがいたのね。困ってはいるけれど…あなたに頼るようなことではないのよ?
ねぇ。爽やかなお兄さん。私は、その辺にいる犬猫ではないのよ?木の上に登って降りれないようなことはないのよ。
「にゃぁあん。」
「ふーん?それにしても、君、とっても綺麗な毛並みだね!隊長が助けようとしたのもわかるような気がするなぁ。」
…助けようとしたのは隊長さんだったのね。
良く考えれば当然だったわ。あれだけの人数を動かせるのは、隊長さんか、それよりも権力が上の人くらいのものよね。
なるほど。あの大声のヒトかしらね。…隊長が率先して職務放棄って、よくクビにならないわね。隊長さん。まあ、そのおかげで今、私はここにいれるのだけど。
「あれだけの距離を跳べるんだったら、あっちの方に行くのも簡単だったりするのかな?」
そう言って指さした先は…お屋敷の中でもまだ近い屋根の場所だったわ。
うーん。確かに、あの屋根ならまだ、ここよりは低いものね。行けなくもないかしら?どちらかというと、飛び降りる形になるのだし。…うん。行けそうね。
「にゃ!」
「そうなんだ。それじゃあ…」
それでは、行っきまーす!
爽やかなお兄さんさよぉならぁ〜。
それでは、ていやぁ!
「行っちゃった…。残念。教えた代わりに撫でさせてもらおうとしたのに。それに、いくら、僕らが黙認してしまったとはいえ、門から入らなかったから、あれは不法侵入だね。隊長に報告かな。」
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シュタッ!屋根の上に、華麗に着地よ!
よし。それでは、お貴族様に見つからないように、今度は屋根に登らずに隅っこを通りながら進むわよ!猫隠れのスキルも上がる気がするしね。コソコソ移動だー!
え?なぜ、コソコソするのかって?…お貴族様とは関わりたくない気がするからよ。なんとなく、それ関係のクエストは面倒くさそうだもの。却下ね。
それでは、コソコソタイムよ!
隠れながら進める場所はっと。うん。以外に垣根があったりするから、コソコソするには丁度いいかもしれないわね。
それにしても、あまり人影が見当たらないのね。みんな引きこもりだったりして。あはは。って、そんなわけあるかいっ!
貴族の奥方はお屋敷にずっといるイメージだけど、男性はお城勤めとか、騎士とかやっているヒトだっているのよ。うんうん。
だから、今いるとしたら巡回中の騎士か兵s…あら?なんだか騒がしい一団が壁の方から…うん?あれは、さっきの門にいた人たち?
え。なんで?…あ。もしかして。い、いえ、そんなまさかね。まさか、私を捕まえたりなんて、ねぇ?
「黒猫を探せぇー!黄色と水色のオッドアイの黒猫だぁー!」
…これ、私のことよね?…どうしましょう。
次回は今回の続き。
追いかけっこに勝てるかな?
それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。




