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王女は猫耳少女になるそうです〜200話記念〜

こんにちこんばんは。

まさか、恋愛ものを書く日が来るとは思っていなかった仁科紫です。

内容的にバレンタインデーに合わせることにしました。

※すっごく甘いです。甘々です。猫耳王女を書くだけのはずがこうなりました。ご注意ください。


それでは、良き暇つぶしを。

 私はアリシア・メラ・キャロル。キャロル王国の王女をしていますの。とは言っても、既にとあるお方と婚約済みでして、臣下に降りる予定ではございますが。

 本来ならばもう少し早く婚約できる予定でしたのに...。それもこれもあの引きこもりの...ふぅ。まあ、言っても詮なきことですもの。仕方がありませんわよね。

 それはさておき、今日は愛しのあの方にお会いしに、馬車に乗って目的地へと向かっておりますの!あの方は優しくて強くてカッコよくて...!あぁ。ときめきが止まりませんわっ!


 そんな事を取り留めもなく考えているとたどり着いたのは目的地である、騎士の皆様方がお住みの宿舎でしたわ。前もって連絡は入れていますので、すんなりと門を通り抜け、そして門を抜けて庭に降りるとそこにいらしたのは最愛の方でしたのよ。

 ふふふ。待っていてくださいましたのね。


「エリック!」

「姫様。お待ちしておりました。」


 そう言って礼儀正しく騎士の礼をしてにっこりと微笑んでいる姿のなんと尊いことか...!

 彼の名前はエリック・ルーニャー。短い黒髪に暖かみのある榛色の瞳が落ち着きのある印象を与える、私よりも5歳年上の男性ですの。それにしても素敵すぎますわ!

 ...ふぅ。少し、落ち着きましょう。そう、私の婚約者はとても良い方なのです。...でも、一つだけ文句があるとするならば...。


「もう。アリシアとお呼びくださいませ。私は貴方の婚約者でしてよ?」


 そう。エリックが決して名前を呼び捨ててくれない事なのですわ。本人が言うには、まだ結婚していないのだからということなのですけれど...。ですが、やはり私とて王女である前に乙女であることには変わりありませんもの。好きな人に呼び捨てで呼んでもらいたいと思って何が悪いと言うのですか。

 膨れっ面になりながら訴えるものの、エリックは変わらず優しい笑顔で決まってこういうのです。


「まだ、ダメですよ。」


 まったく。いつまで待てばよろしいのでしょうか。

 ...と、いつもならばそう思って我慢するのですが、私。実は今回は作戦がありますの!


 ふふふ。名付けて、『チェシャのように甘えよう作戦!』ですわ!チェシャを見ていて気づいたのですが、猫というのは甘え上手のように思うのです!あの耳としっぽを見れば誰もが撫でたくなるようなそんな甘い誘惑を人々にもたらすのですもの!

 ということで、今回、実はこっそりと例の飴玉を入手致しましたのよ。最近ひっそりと流行りだしたチェシャグッズの一つではありますが、これを手に入れるのはなかなか骨が折れましたわ...。


 ...っと、今はそれどころではありませんわね。これを舐めて、エリックに新たな一面を見せれば少しは距離感も近づくと考えましたの!さあ!私に魅了されてくださいな!エリック!


 ・

 ・

 ・


「え、エリック...私を呼び捨てにしてくださいませっ...にゃっ...!」


 あれから、エリックと東屋でお茶会をしに移動をしましたわ。それはいいのですけど...。その後、早速と私は飴玉を舐めましたの。すると、途端に猫耳としっぽの生えた私を見て、エリックは驚きのあまりか呆然としていましたわ。

 ...少し、不安になった私が要件を済ませてしまおうと当初の目的を口に出したのですが...なんですの?これ。とんでもなく...とんでもなくっ!恥ずかしいのですけれどっ...!?

 にゃって、にゃってぇ...!うぅ。こんなにも恥ずかしかったのですかっ...!?きっと、今の私は顔が真っ赤になっていますわ。更に、目が潤んで...涙目に...。あぁ。こんな威厳も欠けらもない姿をお見せすることになるなんて...。

 いくら、呼び捨てにして欲しくてもやめれば良かったですわ。ほら、エリックも幻滅して...


「...やば。可愛い...。」

「...?」


 ...え?今、なんとおっしゃいましたの?もしや、か、かわ、可愛いと...!?

 い、いえ。そんな訳があるはずありませんわ!ええ。こんな、こんなぁ...!


「...その耳、触らせてもらっても?」


 いつもより甘い笑みを浮かべ、私にそう問いかけるエリックは控えめに言って最高で...って、もう!もう!私、そんな事されて耐えられるのかぁっ...!?う、いえ、しかし、です。しかしなのですわ。ここでいいと言わねば距離感は今までと同じままとなってしまいますもの!ここは、女は度胸!なのですわ!


「い、いいですわ。...にゃ。」


 そう言って私はエリックの隣に椅子を動かし、頭を差し出しましたわ。この際、お行儀なんて知ったことではありませんもの。

 ...噛んだのは仕方がないってことにしてくださいな。ええ。そんな、だって、耳...うぅ。しかし...や、やはり、猫耳はいいですわよね!ええ!是非とも触ってくださいな!

 ...そういえば、この生えた猫耳ってどうなっているのでしょう?もし、感覚があるなら...あっ。だ、ダメですわっ!どこからどう考えてもダメと言うべきでしたわ...!

 エリックは躊躇うように手をゆっくりと私の頭に置き、それから耳を...っ。こ、れぇはぁ...!


「み、みみみみみ、耳ぃっ!にゃぁ...ダメですわ。ダメ...にゃぁ...!」

「もふもふ...。普段の姫様も可愛いですが、今日は一段とお可愛らしいですね。そんなに呼び捨てにされたかったんですか?」


 うぅ。どうしてこんなにも耳って感じるのでしょう...!大きな手に騎士ならではの硬い剣だこがぁ...!思わず溶けてしまいそうな感覚に浸りそうになりますが、堪えて耐えるのです!


 あぁ。でも、甘い。凄く空気が甘いですわ。今までにないほどに...!理性が溶けていきそうな程です。

 しかし...何故、何故気づいて頂けないのでしょう。私は、ただ貴方にはその権利があると。そういった間柄になったのだという証が欲しい。ただ、その一心ですのに...。


「当然、です...にゃっ!わた、私は!やっと婚約が出来て嬉しいのです、にゃ。でも...今までと変わらない貴方を見ていると、何も、何も変わっていないように思えて...!不安になるのですにゃ!

 婚約を望んでいたのは私だけだったのですかにゃ!?貴方は、やっと許されたというのに!今までの関係で満足だったというのですかにゃっ!」


 ...あ。やってしまいましたわ。こんなこと、言うつもりはありませんでしたのに...。もしや、この猫になる飴のせいですの?こんな馬鹿正直になるとは...!

 恐る恐るエリックの顔を覗き見ると、そこには想像していたものとは異なる表情がありましたわ。


「...エリック。どうして、笑っていますのにゃ?」

「あ。」


 そう。エリックはなんと、口角が上がっていましたのよ!人の気も知らないで...!私は真剣でしたのに!

 腹が立ち、私がそれを指摘するとしまったという顔をしましたわ。それから、申し訳なさげに眉を下げましたが...あぁ。こういう表情も素敵...って、そうじゃありませんわ。多少は溜飲が下がったものの、やはり少し納得がいきませんわっ!


「ふん。まったく。私に隠そうだなんて不敬ですにゃ。...って、違いますのにゃ!エリックに不敬とか関係な...」

「...ふふ。」


 そして、感情に言葉をまかせてしまったが故に、最近は抑え込めていた癖が出てしまったのです...って、な、何やってますの私...!慌てて訂正しましたが、その様子を笑われてしまいましたわ...。

 やっぱり、さっきの申し訳なさげな様子は嘘だったのではありませんか!


「もう!エリックっ!」

「申し訳ありません。つい...こんなに愛しい方と本当に婚約してしまったのだという事実が嬉しくて。」

「あ、あああああ愛しいっ...!?」


 ど、どどどうしましょう!?愛しい。愛しいって何でしたかしら...!?今まで、そんな言葉を仰ってくださったこともなかったですのに...!?


「今まで、そんにゃこと...!」

「婚約、していませんでしたから。言えるわけがありません。」


 これでも我慢していたんですからね。と続く言葉に、より顔に熱が集まっていくのがわかりましたわ。

 ...ですが、私は誤魔化せませんのっ!呼び捨てをされるまでは...!


「にゃらば、呼び捨ても...!」

「ダメです。それは結婚したときに、お願いします。」

「にゃっ...!?」


 結婚。また結婚ですのね!私は今すぐにでも証が...


「不安だとおっしゃっていましたよね?」

「え、ええ。」

「それなら...こちらを受け取っていただけませんか?」


 そう言ってエリックは小さな箱を差し出し、開けるとそこにあったのは二つの指輪でしたわ。


「指輪...?」

「はい。ずっと迷っていたのですが、迷い人の方にアドバイスを頂きまして。あちらには婚約指輪というものがあるそうなんです。」

「それで、私に...?」

「はい。」


 その代わり、呼び捨てを結婚のときまで待っていただけませんか?そう誠実に接してくれる婚約者の気持ちが嬉しすぎて目頭が熱くなるのが分かりましたの。

 こうしていては、泣いた姿を見せてしまう。そんな思いから、頭を差し出したままになっていた状態からガバッとエリックを抱きしめてしまいましたわ。...した後から恥ずかしくなりましたが、我慢ですわ。とにかく、感謝を伝えませんと。


「エリック。...ありがと...にゃ。」

「いえ。僕の可愛い姫様。」


 その言葉にもう、何も考えられなくなってただ抱きつくだけとなってしまった私は悪くないですわ。ええ。エリックがそんな、そんな言葉を言うから悪いのです...!


 某メイドさん

(雰囲気甘すぎで砂糖吐きそうですが...良かったですね。姫様。)


因みに、給仕のものは某メイドさん以外は皆さん避難していました。甘々なのはいつもの事だからです。


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 甘い!甘すぎる!!ギャグマンガだったら恐らく口から水を吐く置物の如く砂糖を吐き出しているように… メイドさんは犠牲♪になりました。 [気になる点] 宰相さんに襟首を捕まれて引きずられてい…
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