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黒猫は劇物料理の原因を探ります

こんにちこんばんは。

重いものをたくさん運んで動きたくなくなった仁科紫です。


それでは、良き暇つぶしを。

「ごめんね。やっと落ち着いたよ。

 えっと、依頼だったよね?」

「にゃ。」


 ようやく依頼について話す気になったらしい空さんは具体的に何に協力して欲しいのかを話し出したわ。


「原因を知りたいんだ。そして、僕の料理で兄弟子やおやっさんを見返したい...と思う。頼めるかな?」

「にゃ!」


 自信なさげな声でそう言う空さん。表情に変化はないけれど、不安であるのは伝わってきたわ。

 もちろんよ!断るはずないじゃない。何が原因でも色んな人に聞いて回れば答えは出るはずだもの。協力するわよ!


「良かった。それじゃあ、僕の家でやろうと思うから、仕事が終わるまで待っててくれるかな?あと10分くらいでシフトが終わるから。」

「にゃぁ。」


 どこかホッとした様子の空さんはゴミを捨てて店内に入っていったわ。...今更だけど、仕事の邪魔をしていたんじゃないかしら。私。...よし。気づかなかったことにしましょう。うんうん。それがいいわよね。

 ということで、待つこと10分後。出てきた空さんと一緒に空さんの家に向かって歩いていたわ。


((主殿ぉ...。我は何時まで隠れておればいいのだ?いい加減、面倒なのだが...。))


 そういえば、ラヴァに隠れてもらっていたのよね。存在感がな...コホン。えっと、空さんと話すのが楽しくて忘れていたのよね。あはは...誤魔化せていないわね。


((あ。ごめんなさいね?ラヴァ。わす...コホン。もういいわよ。でも、空さんに声を掛けてからね。))

((ふぅ。やっと出れ...ん?今、主殿は忘れていたと言いかけなかったであるか!?主殿!そんなことはないであるよな!?))


 ちっ。うっかり口が滑ったのがバレてしまったわ。まあ、ここは適当に誤魔化しておきましょう。それよりも、空さんに声をかけないといけないものね。


「にゃにゃにゃん。にゃぁにゃんにゃ、にゃぁにゃぁにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ?」

「友人?いいよ。猫さんの友人かぁ。どんなヒトかな?」


 よしよし。空さんは少しワクワクしているみたいね。咄嗟にラヴァをなんて紹介しようか悩んだけれど、友人でいいわよね。きっと。猫なのに従魔が居るとかおかしいでしょうし。うんうん。


((主殿...我のことを友人だと...!))

((はいはい。とりあえず、出てきなさい。))


 便宜上、そう言っただけなのだけど...まあ、ラヴァらしいわね。それに、勘違いしてくれていた方が私としても都合がいいから本当のことは言わないでおくことにしましょう。そうして出てきたラヴァは唐突に自己紹介を始めたわ。...って、それはダメでしょ!?


『我がじゃ...モガ!?』

「にゃふふふ...にゃにゃにゃ。にゃにゃにゃにゃにゃ。」


 ふ、ふふふふ!何を言い始めるのかしら!この駄龍は...!咄嗟に口を塞いでしまったじゃない!でも、邪龍とか言って良いわけないでしょっ!?

 ...あ。その辺の常識がなかったんだったわ。私もうっかり屋さんね。はぁ...。


『むぐっ!むぐぐぐぐっ!』

「えっと...ラヴァっていうのは分かったけど、離してあげたらどうかな?あと、君の名前を聞いていないんだけど...。」


 空さんはラヴァの口を塞ぐ私に困惑気味な様子でそう尋ねたわ。

 はっ!?ラヴァの愚痴を言っている場合ではなかったわ。それよりも前に自己紹介をするべきだったわね。

 うぅ...ほ、ほら?猫って自己紹介しないでしょ?だから忘れていたのよね。ははははは...はい。言い訳にならないわよね。ヒトのことを言えないわ。私も...。


「にゃにゃにゃ。」

「チェシャに、ラヴァだね。よろしく。」

「にゃ。」

『うむ!よろしくなのだ!』


 そうこうしてる間にどうやら目的地にたどり着いたらしく、空さんが立ち止まったわ。ふむふむ。ここが空さんのお家なのね。

 そこは、現代の日本にありそうな一軒家の建物だったわ。水色の屋根に黄色の壁で、可愛らしい印象を受けるわね。空さんの趣味かしら?


「ここは僕が幼い頃から住んでいる家だよ。今は他に誰もいないけどね。だから、遠慮せず上がって?」

「にゃぁ。」


 へぇ。幼い頃からってことはご両親が住んでいたのかしら。まあ、余計なことは言うものではないわよね。そう考えつつ家の中へ入ると、そこは外観と同じく明るい色合いでセンス良く纏められた家具が置かれていたわ。あら。なかなか素敵なお部屋ね。ここはリビングのようだわ。


「それで、キッチンがこっち。さっそく見てもらってもいいかな?」


 多分失敗するけど。と言いながら奥にあったキッチンで料理を始める空さん。長年料理をしている事が分かるくらいには手際が良く、見ている私が惚れ惚れとするくらいだわ。うん。見ている限り調理法におかしな所はなさそうね。

 作っているのはどうやらクリームシチューらしく、今は最後の煮込みの段階に...って、うん?


((主殿...。))

((ええ。今の、何かがおかしかったわね。))


 ラヴァも気づいたみたいね。空さんにちょっと質問をしてみましょう。


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ、にゃにゃ?」

「ん?今かけたの?これは、兄弟子から貰った秘伝の調味料...らしいけど?何にかけても美味しくなるってことだったから。」


 へぇ。兄弟子さんからもらったのね。何が起こったのか、順を追って説明しましょうか。

 まず、普通のレシピのとおりにクリームソースやら野菜やらお肉やらを一緒に鍋で煮ていたのだけど、あともう少しで完成という所で空さんが何かを振りかけたのよ。

 そして、その瞬間に魔力が料理に込められて見ていて気持ちの悪いものに変化したのよ!何これ?食べ物ではないわよ!?空さんはどうして気づかないのかしら?

 ...というか、これが原因では?明らかに変でしょう。もしかして、作った料理には全て振りかけていたのかしら?


「にゃんにゃにゃにゃにゃにゃにゃ?」

「う、うん。かけてるよ。その兄弟子にはお世話になったからね。正しいことだと思うし。...もしかして、これが原因だって思ってる?」


 あ。疑惑の目ならぬ声で言われているわね。まあ、当然よね。今日あったばかりの猫と前からの知り合い、どっちの方が信用できるかって言ったら知り合いに決まっているでしょうし。

 うーん...。よし。そういう事なら、もう一つは何もかけないで作ってもらいましょう!うんうん。それがいいわね。


「にゃにゃにゃ、にゃにゃにゃぁにゃにゃにゃっにゃ?」

「次はかけないで?うーん。...あまり、気乗りはしないけど。分かったよ。やるね。」


 そうして同じ工程をすること二回目。さっきと同じように作ったから、問題は一切ないと思ったのよ。ところが、今回は味を整えるためにただの胡椒を入れただけでさっきと同じようになってしまったわ。

 ...えー。さっきのあれが問題だったってわけじゃないのね。困ったわ。ラヴァに相談してみようかしら?こういう所では役に立つのよねぇ。ラヴァって。


((ラヴァ。さっきのが原因ではないみたいだわ。))

((うむ。...恐らくであるのだが。))


 ほらね。ラヴァは自信なさげではあるものの、何か理由を思いついたみたいだわ。間違っていてもいいから、教えて欲しいわね。


((ええ。それでもいいわ。教えてくれるかしら?))

((分かったのだ。見ている限り、仕上げをした途端に魔力が働いているようである。))


 うんうん。そのようよね。仕上げの工程をした途端に魔力が纏わりついていたし。...というか、まるで呪われているみたいよね。

 ん?呪い呪い...はっ!?もしかして、呪いとかあったりするのかしら!それなら、空さんは呪われているということで、解呪するのが解決方法ってことになるわよね!


((えっと...空さんは呪いでもかけられたんじゃないかしら?))

((呪い?...いや、そうではない。動いているのは空とかいうものの魔力なのだ。他者の魔力による関与は見られなかったであるからな。))


 へぇ。ラヴァは一人一人の魔力の違いが分かるのね。私はまだ分からないから、そこまでは気づけなかったわ。

 なるほど。空さんの魔力が料理を不味く...。え。それは料理人として大丈夫なのかしら?それとも、魔力が空さんの意図とは関係なく勝手に動いてしまっている...?


((そうねぇ。...空さんの魔力が勝手に料理を不味くしている...というか、料理を呪っていたりして。))


 あら?突拍子もないことを考えてしまったわ。いやいや、料理を勝手に魔力が呪うとか意味がわからないし。...うん?でも、ラヴァは妙に頷いているわね。もしかして、意外と正解だったり...?


((ふむ...おお!確かに、その表現が適切であるかもしれんな!))


 おお!正解だったわ!意外に当たるものね。よし。後は、この仮説が当たりかどうか、確かめて...あら?そう言えば、治療方法とかあるのかしら?


((それはどうしたら治るのかしら?))

((魔力のコントロールを身につけるしかないであろう。今は、コントロールができていないが故に魔力に弄ばれておるようなものであるからな。))


 ふむふむ。なるほどね。魔力のコントロール...あー。私が永信さんに指示されたような事をしてもらえばいいのね。確か、魔力を空中でくるくると回して球状にする...だったかしら?それとも、毛玉みたいにするんだったかしら?えーっと...まあ、どっちでもいいわよね!


「...あのー?出来たよ?」

「にゃにゃにゃにゃにゃ、にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃぁにゃ。」

『わ、我であるか!?なんて事を言い出すのである!?』


 あ。放ったらかしにしてしまったわね。ふふふ。その料理はラヴァにでも食べてもらいましょう。日頃の行いを少しは悔いればいいのよ。


「あ...やっぱり、僕なんかの料理なんて...。」

『食べるである!だから、そんなに落ち込まないで欲しいのだ...!』


 やっぱり、あんなにも落ち込まれるとついつい、そう返事してしまうわよね。分かるわ。さて、見た身だけでも劇物なあれを食べてもラヴァは平気なのかしらね?


次回、ラヴァは劇物料理を食べても平気なのか!?


それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 口からデマカセとは言え「友人」と呼ばれて感動しているラヴァ君♪気をつけようね、何かあるのが常識だからね(笑) [気になる点] もしかして色とかも変わってます?毒々しい紫色になったり、ボコッ…
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