レンさん、もといレンは猫好きのようです
こんにちこんばんは。
前回の続き、レンとチェシャはどうやって時計塔をとくに騒がれずに降りたのか!
そして、レンが求めたお礼とは?の話です。
(まあ、題でわかってしまう方にはわかるかもしれませんが…。)
それでは、良き暇つぶしを。
さあ、ネタばらしといきましょう!
どうやって誰にも見つからずに時計塔を降りたのか。
実に簡単な話だけど、レンさんがシルクハットみたいな帽子を被って、その中に私が隠れる。という方法だったのよ。
何故かは知らないけど、レンさんはタキシードみたいな服も持っていたみたいで、とくに違和感はなかったわ。…見た目の違和感は、ね。周りから見たら別の意味で違和感はあったでしょうけど。
考えてみたらすぐにわかるのだけど、今日はまだサービス開始初日なのよ。
誰がどう考えたっておかしいと思うわよね?なんで始まったばかりなのにそんな衣装を持ってるのかって。
つまり、別の意味で注目を集めたレンさんなのだけど、でも、すぐにその理由がわかって、皆の興味はなくなったみたいなのよね。
…一部の興味はそのままだったようだけど。イケメン好きのお姉さまだとかおばさまだとか…。イケメンってどこに行っても大変ね。
それはさておき、そのときの回想を簡潔にすると、
・時計塔から出てすぐのところに、レンさんのフレンドがいた。
・その人と話しているうちに、レンさんがβテスターだった。ということが判明。
・この衣装もそのときに手に入れたものだということでみんな、納得。
・その衣装はプレイヤーメイドのものという情報も流していたから、それ以上ついてくる輩もでなかった。
よって、無事脱出成功というわけ。
いやー、ここまでスムーズに脱出できるとはね。レンさんには何かお礼をしないと。
あー、でも、脱出を手伝ってもらうかわりに、お願いを一つ聞くって約束していたから、どの道、お礼はできるわね。
ん?何か、周り…というか、さっきまで居たらしい、時計塔の広場の方が騒がしいわね。まだ、出してもらえていないから真っ暗なのよ。私が状況確認をしにくいのがこの作戦の悪い点ね。
それはそうと、えーっと、なになに?屋根の上にいたはずの猫が居ないって?うん。そりゃあ、ここに居るんだし…。
え?まだ、時計塔の中に居るかもしれないから、探そうって?もうそこに私は居ないのだけどね。
あぁ、でも、なるほど。結局、騒ぎになるのは変わらないのね。私が巻き込まれるか、巻き込まれないかの大きな違いがあるだけで。うん。やっぱり、あの中に降りていくようなことにならなくてよかったわ。
きっと、大騒ぎになったか、降りた瞬間に一斉に拍手されて、それはそれで鬱陶しいことになっていただろうし。
そうこう考えていると、目的地に着いたのか、レンさんが立ち止まったようだわ。
しばらく待っていると、光が急に目n…って、眩しいわ!いくら路地裏だからって油断してたわ!街灯の光が目に入って…見えんー!
「おーい。黒猫さん。もういいから降りておいでー。」
「お前、本当にそこに猫のプレイヤーを乗せてたんだな。急にフレチャが来たときは本当に驚いたんだから、後で何か埋め合わせしろよ?」
私の視界が中々戻らないせいで、降りれなくてじっとしていた頃、そんな二人の声が聞こえてきたわ。むぅ。猫のアバターになっても、この辺りは人間準拠なのね。
ん?二人の声?
どうやら、レンさん以外にもフレンドさんが一緒に居たようね。
「あー、悪かったな。うん。それじゃあ、あとで狩りに付き合うから、それで帳消しにしてくれ。」
「おまっ、それはもともと約束してたことだろ?せめて、素材を6:4、もしくは、何かメシでも奢ってくれよ。」
「はぁ、仕方がないなー。テオは。じゃあ、後で何か奢るよ。」
「よっしゃ!それじゃあ、またあとでな!時間に遅れるなよー!」
ようやく復活した目で見ると、テオと呼ばれたプレイヤーの種族は犬だったようね。
なるほど。私が唐突に猫語(笑)を話し出しても驚かなかったのはフレンドにアニマル種を選んだ人がいたからかしら。少し納得したわ。
疑問も解決したことだし、そろそろここから降りようかしら。
「にゃっ。」
よっと。もう随分とこの動きにも慣れてきたわね。
んー?ここはどうやら、人通りのすくない細い路地のようね。ふむ。ここなら、確かに他のプレイヤーに見られる心配もなさそうね。
さぁ、お願いとやらは何かしら?
「にゃににゃにゃぁ!」
「いえいえ、どういたしまして。それじゃあ、さっそくお願いを聞いてもらおうかな。」
ゴクリ
「君を…」
私を…?
「モフらせて欲しいんだ!」
「にゃ…?」
え?今、なんと?え?モフラセテ欲しい?じゃなくて、モフらせて欲しい?ああ、なるほど、モフらせて欲しい、ね。え、え?ええ?!私をモフることに意味があるのかし…って、今の私は猫なのよ!あるに決まってるじゃない!
そういえば、このアバターの触り心地は素敵だったものね。うんうん。この毛には共有するだけの価値があるわよね!
それなら、お礼ということだし、触らせてあげようじゃない。
「にゃ!」
「お!いいんだね!」
「にゃあ。にゃんにゃんにゃあにゃ!」
「そっかー!恩人って言われても、そこまでたいしたことはしてないんだけどね。
まあ、そういうことなら遠慮なくっと、ああ、そういえば忘れてた。
ねぇ、フレンドになってくれないかな?」
む?急に目の前に半透明の四角いプレートが現れたわね。…と、思ったら、唐突なフレンド申請ですかっ!?
別にフレンドにならなくても問題はないと思うんだけど…。
「にゃん?」
「何でって…。これから遠慮なく触らせてもらう相手なのに、名前も知らないなんていうのは流石にどうかと思ってね?
それで、君は猫のロールプレイ中みたいだし、言葉で伝えてもらったり、書いてもらったりするよりかは、いっその事、フレンドになってもらった方がはやいだろう?」
おお!配慮のできるイケメンさんだったのね!
ちょっと面倒くさくて何も考えずに、はい。どうぞって差し出しちゃってたけど、確かにこれはまずいわよね…。
うん。猫になったからってリアルの猫とまったく同じわけではないことを失念していたわ…。
まあ、そういうことなら、フレンド申請、承認っと。
「お、ありがとね。えーっと、君はチェシャっていうんだね。
よろしく。チェシャ。」
「にゃ!にゃんにゃん!」
「ん?さん付けはいらないよ。レンって呼んで。」
「にゃ。にゃん。」
いきなりレン呼びはどうかと思って、レンさんって呼んでみたけど、レンで良かったのね…。
それなら、最初から…いえ、その人が何を望んでいるのかわからないもの。やっぱり、これで良かったんでしょう。
ホント、こういうのは何歳になっても苦手ね。
「よし、お互いに名乗りあって…はいないけど、フレンドになったことだし!
さっそく、モフらせてもらおうかな!」
「にゃ。」
そういって、レンは私をモフりだした。
「おお!撫でてるとツルサラッとしているのに、指を奥の方にいれると途端にふわふわとした感触が伝わってくる!これはなんて至福なんだろうか!しかも、思ってたより、筋肉があるみたいだね!うーん。ただの黒猫だと思ってたけど、触ってみて分かったよ!元にした猫種はボンベイだね!
それにしても、このフォルム。やっぱり、猫はいいね!」
そうでしょう。そうでしょう。やっぱり、私の毛並みは最高でしょう?まあ、選んだのはラビだけど。
…ん?うわっ。レンの顔が…。うん。言わない方がいいわね。
それにしても、レンって猫好きだったのね。あっさりと元にした猫種がわかってしまうだなんて…。
もしかして、レンは猫好きだったから、助けてくれたのかもね。もしそうだったとしても、有難いことに変わりわないけどね。ありがたやー。ありがたやー。
「よし!これは何としても僕の撫でテクを披露しないとね!」
え、何か不穏な声が…。
「にゃ、にゃあっ?」
「え?これで終わりにするわけがないよ!僕は、遠慮なくって言ったよね?」
ま、マジですか…。いえ、確かに言ってたけど、言ってたけどさぁ。
それでも、中身が人間って分かってるはずだから、多少は加減してくれると信じてたのよ。ええ。なんの根拠もない私の淡い願望でしかなかったんだったんだって、今、気付かされたわ。
猫好きって怖いわね。
※個人の感想です。全員が全員、そうというわけではありません。※
はぁ、盛大にモフられる前に、一つ言っておこうかしら。
私は、確かにレンを配慮のできるイケメンと言ったわ。でもね、訂正。
正しくは、配慮のできるイケメンではなく、人には配慮できるけど、猫が絡むと途端に遠慮が消えてなくなる残念イケメンよ!
次回、ステータス確認。
それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。
2020.7.2誤字を修正しました。
〜2021/04/14 14:10 妙な空白の誤字報告を適用しました。〜




