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黒猫はホワイトデーにお返しします

こんにちこんばんは。

バレンタインデーネタの二番煎じ感が凄い仁科紫です。←思いつかなかったんですよ...

この回投稿してまた完結に戻します。


それでは、良き暇つぶしを。

 さて。今日は3月14日。つまり、ホワイトデーの日ね。

 バレンタインデーのお返しをする日という訳で、私もお返しを準備したのは良いのだけどなかなか渡せずにいたわ。

 というのも、今日は皆してバレンタインのお返しと称してあちこちに呼ばれているのよね。

 ルナとメルはフェニックスさんに。アリスと猫さんはチェシャ猫さんと赤の女王様に。妖精達は妖精の女王様に呼ばれ、お返しとして色々なものを貰っているのか、なかなか出会えていないのよ。かくいう私もレン達ALICEに呼ばれたおかげで、今日はずっとラヴァとの2人行動となっていたわ。ラヴァはどちらかというと返す側だから、私と同行してもらうことになったのだけどね。


 どうしたものかとホームのリビングで悩んでいると、ラヴァが話しかけてきたわ。


『主殿ー。まだ他の者たちは帰ってきていないのであるか?』

「にゃぁ……。」

『むぅ。それは困ったであるな。我も返したい気持ちはやまやまなのであるが、当人達が居なければ意味が無いであるからなぁ。』


 むむむと眉を寄せるラヴァに同感だと頷くものの、ふと思いついた事があったわ。

 そうだわ。皆が帰ってこないなら、やれる事があるじゃない!


「にゃにゃ!にゃぁにゃぁにゃぁにゃにゃにゃ!」

『む?しかし、である。バレンタインにも似たような事をしたと思うのであるが。』


 訝しげに私を見るラヴァにニコリと笑いかけたわ。

 ふふふ。それはそれ、これはこれ、なのよ。分かってないわねぇ。


「にゃふ?」

『な、なんでもないのだ!準備するである!我は外を整えてくるのだーっ!』


 ピューッと逃げるようにリビングから外へと逃げていったラヴァを見てやれやれとため息をついたわ。

 さて、私も準備に取り掛かるとしましょうか!


 ・

 ・

 ・


『ただいま!』

『戻ってきたぞ!』

「あら。私たちと同じタイミングだったのね。」

「本当だ!やっほー!どうだったー?」


 玄関で遭遇した二組はそんな事を話しながら家の中へと入っていったが、そこで気づく。


『ん?なんかいい匂いがするな。』

「あー!本当だ!この匂いは...あ!分かった!」


 途端にキラキラと目を輝かせる猫さんに一同は首を傾げるが、猫さんはそのまま走ってキッチンへと向かってしまった。残された3人が顔を見合わせ、その後ろに慌ててついて行く。

 すると、その先にはムシャムシャとクッキーを貪っている猫とそれをニヤニヤと笑いながら見守る猫がいた。


「えっと、これはどういう状況かしら...?」

『ん?クッキーを食べる猫さんとそれを見守る主だろ。』

『その通り。私もクッキー、貰ってくる。』

『あ!ずりぃ!私も!』

「やれやれね。」



 □■□■□■□■



 ドタドタと走る音が聞こえたかと思えば、猫さんが入ってきてすぐに『おかーさん!クッキー!』と叫んだのには驚いたわ。どうやら、匂いからクッキーを焼いたことに気がついたみたいね。

 でも、分かるわ。このレシピは母のものだもの。猫さんは私から生まれたのだから知っていてもおかしくは無いかしら。


「にゃぁん。」

『ありがとう。我が主。』

『ありがとな!』

「あら。ありがとう。チェシャが作ったの?」

「にゃぁ!」


 その後も続々とやってきた3人組に猫さんと同じものを渡したわ。

 ふふふ。みんな嬉しそうね。それなら良かったわ。


「あー!おいー!」

「ホントだ!僕らも欲しい!」

「え、えっと、私も欲しい、です...。」


 ニコニコと笑いながらその様子を見ていると、上から声が聞こえたわ。これは妖精達の声ね。

 そちらを見てクッキーの入った袋を3袋分、猫の魔手で持ち上げたわ。


「にゃぁ!」

「わぁい!ありがとう!チェシャ様ー!」

「ありがと!」

「チェシャ様からのプレゼント...宝物にします...!」


 ニコニコと嬉しそうに寄ってきたアィラとロゥはともかく、頬を染めて受け取るウィラは放っておくと中身のクッキーも食べないで保管しそうな勢いだったわ。...こ、これは、ちょっと注意しておかないとまずそうね。


「にゃにゃ、にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ。」

「え...!?袋だけ、ですか...!?ダメです!全て完全保管でないと...!」

「えー!?ウィラ、クッキー食べないの!?」

「おい、たな、だめなー!」

「あぅ...わ、分かりました...。頂きます。チェシャ様。」


 落ち込んだウィラを信じられないとギョッとした顔でアィラとロゥが見たわ。そして、葛藤するウィラはやがて視線に耐えきれなくなって頷いたのだけど...うん。良かったわ。思い直してくれて。


『そういや、ラヴァはどうしたんだ?』

『見てない。』

「バレンタインのお返し貰ってないよねー。忘れてるのかな?」

「いえ、ラヴァならその辺はちゃっかりしていると思うの。だから、何かは準備していると思うんだけど。」


 不思議そうなみんなの様子にクスクスと笑って中庭側へと出る窓の前へと歩き、こっちだと指し示したわ。


「にゃぁん。」

「え?外?」

『外か。なんかこの展開、見覚えがある気がするな。』

『む。役目を取られた予感が...。』

「ベルもですか...!私もです...!」

「ということは...」


 おのおのなんとなく察している気もするが、外へと向かったわ。そして、そこに広がる光景にあらと声を上げたわ。


「あら。ラヴァにしては気が利くわね。」

『おー。これはすげぇな。』

『邪龍が作ったのに、か、可愛い、なんて...!』

「ぐぬぬ...非の打ち所がない、無難な編成ですね...。」

「なんで悔しがってるの?面白ーいっ!」

「おもしろー!かわい!」


 中庭には水色と白の風船で彩られ、いろとりどりのラッピングされたお菓子が日頃から手入れされている草木に吊るされているのが可愛らしいわね。あと、用意された白いテーブルクロスで覆われたテーブルには冷えたジュースやホワイトチョコのフォンデュなど見ていてワクワクするものが置かれているわ。

 そして、ラヴァはと言うと...何故か白いテーブルの上でグースカと眠っていたわ。...そこは起きていなさいよ。


「にゃぁ...。」


 呆れて見られないとため息をついていると、ジトっとした目でラヴァを見る目が増えたわ。

 みんな、私の考えとそう変わらないみたいね。


「にゃぁ。にゃにゃにゃにゃにゃにゃんにゃにゃぁ?」

『確かにそれもそう。』

「寝ていたのが悪いんだもの。私もいいと思うわ。」

「私もさんせー!」


 もう食べてもいいんじゃないかと声をかけると、既に食べ始めていた妖精達はともかく、他の子達も頷いたわ。

 そして、手を伸ばそうとしたところで釈然としないのかメルが首を傾げたわ。


『でもよ?こういうのって直接本人に貰ってこそじゃね?』

『確かに...。メルの言うことも確か。なら私も待つ。』

「うーん。そうだね。ホワイトデーだもん。待ってあげようかな。」

「ふふふ。みんないい子ね。それなら私も待つわ。」

「にゃぁん?」


 良いのかしらと首を傾げて問いかけると、皆は笑顔で頷いたわ。まあ、皆がいいなら良いわね。

 ...この笑顔が冷たいものに変わらないうちにラヴァが起きればいいのだけど。


 ・

 ・

 ・


『いだだだだだ...!いだいのらぁっ!』

『フンっ!優しさを見せたらこれなんだからな!もう許さねぇ!』


 そして現在。見事にラヴァは私の期待を裏切らずに外が暗くなるまで眠り、怒ったメルによって頬を嘴で引っ張られていたわ。

 ...この子、さすがに寝すぎでは無いかしら。途中からキッチンでお喋りをしていて正直、ラヴァの事なんて忘れていたくらいではあるのだけど。


『ホント。待ったのに夜まで起きないなんてふざけてる...!』

『ま、待たなくてもよかっt』

『あ゛ぁん?話聞いてたか!?もう一回考え直してこいっ!』

『ぎゃぁああああっ!?』

「ふふふ。ラヴァは相変わらずね。そう思わない?猫さん。」

「うん!いつも通りだよね!」

「にゃぁん。」


 こうしてホワイトデーは過ぎていくのでしたっと。ふふふ。結局、ラヴァはどうやってもこうなっちゃうのかしらねぇ。

それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。

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