第四十一話:絆が結ぶもの
終わら仕方が分からなくなってきました・・・w
最後グダグダになりそうですね。
この時点で結構グダついていますが
チン
下に向かっていた人の入った箱は、しだいに速度を落としていき止まる。そしてゆっくりと目の前の扉が開く。
会場の除幕式みたいな感じで、左右に分かれていく、そして俺、小山潤はこの城のもっとも下の部分最下層部に到達したヤスを追うために。
目の前にはコンクリートでできた通路がただあるだけだ、特に何もなくさびしく非常灯が足元を照らしている。通路は一本道でまるで誘導されている気がした。
聞こえるのは己の歩く音と、時々ベルトと剣の触れあう冷たい金属音。
しばらく歩いていくとなにもない広間に出た、なにがあるのか。
なにもないだろう敵の罠かもしれないが俺は堂々と広間の真ん中を歩いていく。
半分ぐらい行ったところだろうか、突然何の前ぶれもなく俺はスポットライトに照らされた。
「なんだ。」
奥からコツコツと誰かが歩いてくる音が聞こえる。
誰かは大体予想はつく、まぁあいつだと思うが。
何処から吹いたか分からないがとても冷たい、業務用の冷凍庫の中みたいな風が吹いてきた。
無意識に俺は手と手をこすり合わせえていた。
「夢無を倒すとは・・・さすがだな。しかし・・・計画を邪魔されるわけにないかないんだな。」
本当聞いたことある声なんだなこれ。
こいつの声聞くたびに、わだかまりができる。誰だっけなぁ。
「戦う前に一言。ヤスさんあんたと俺の関係とはなんだ?」
「俺とお前の関係か。その真実は初めに言ったように貴様の手で掴みとれ。」
自分から言う気はないらしい、少なくともあいつは俺との関係を知っている。
「ここの試練を抜けれるかな。」
「試練だぁ?」
ヤスは地面に手をつけ、自分の魔力を注ぎ込む。
地面には紫色の見るからに悪そうな魔法陣が完成する、その魔法陣も俺を真ん中に置いて完成する。
これぐらいか。と言いながら地面から手を離すヤス。
「はぁ?ちょ・・え?」
要は終わったみたいな感じで俺をシカトしてこの部屋の奥に足を進める。
多分足止めのつもりだろうな、俺は足元を無視して走る。
あと一歩というところで誰かに足を掴まれる。
危うく顔面から倒れるところだった、手を倒れる前につき腕立ってのポーズをとる。
何かに引っかかったのかと思い足元を見ると。
「うわぁ・・・・。」
ゾンビだった。
唐突な結論が出てしまった。いきなりこいつ何言ってるんだ?という奴もいると思うが本当にゾンビが俺の足を掴んでいるのだ。
リアルゾンビである。映画とかに出てくるようなゾンビがいるのである。
残念なところは出てくるところが魔法陣からというところか、これが地面だったらもっと雰囲気が出るのにな。
俺は片方の掴まれていない方の足で、ゾンビの手をへし折りその手から解放する。
「ゾンビって・・まさか・ね。」
剣を抜き次々と溢れ出てくるゾンビ達を切り倒していく。
特に俺の進みたい方には、ゾンビの数が多いらしく切っても切っても進まないどころか軽く押されかける。
エレベーターにでも逃げようかな・・・。
俺は空を飛びエレベーターの前に着地する。
エレベーターのボタンを押し目の前の分厚い扉がゆっくりと開く、急いで中に入ると閉まるボタンを連打。
まぁゾンビなら足も遅いし間にあるだろうと思っていた俺がバカだった、俺の想像よりゾンビ達の足は早く空まで飛んでいる奴もいる。
犬のゾンビもいるらしく、軽くバイオ●ザードみたいな感じが味わえるよ、しかも生で。
ギリギリ扉の方が早く閉まりやつらは思いっきり扉に突っ込む。
何百体というゾンビがあの空間に詰まっている、この扉を開けた瞬間とんでもないことが起こりそうだな。
ドンドンドン。
外側から壁を壊すように叩く音が聞こえる。
耳を澄ますとゾンビさん達の何とも言えない声が聞こえる、声というより唸っているのか。
「あれやってみるか・・・。」
ドンドンドン
ドンドンドン。
扉が動いている、いやこのエレベーター自体が揺れている。
扉は奴らの打撃により凹み始めている。
このままではこの防御壁も時間の問題となるな・・・・だが俺には秘策がある。
「いくぞ・・・。」
扉に向かって片手を向ける。
デルを発射する。
バヂバヂバヂ。
俺のデルが電気を帯びてくる、帯電性があるのか。
「くらえ!」
ゾンビたちの打撃により扉が壊れ、壊れた扉がこちらに吹っ飛んできたのとほぼ同時にデルを発射する。発射時に雷でも落ちたかのようにすごい音がした。
爆音とともにゾンビごと蹴散らして一瞬にして突き進み、ヤスの出ていった壁に巨大な穴をあける。
しかしゾンビ達はどんどん魔法陣から召喚されてくる。
「これは魔法陣ごと破壊しないと、駄目らしいな。」
生憎もうデルを撃てるぐらいの時間的有余は与えてくれないだろう。
とりあえず切る、手当たり次第に切る。
自分がやられないためにも切る。
「多いな。」
この数の対処方法を考えていると、何処からか地震的な揺れがこの部屋を襲う。
マグニチュード5ぐらいの揺れだね。
「なんだなんだ?」
その揺れの正体はすぐに分かった。
その揺れの原因が自ら姿を現したのだった。
俺の真横の壁を突き破り出てきた、揺れの正体は河陰と松浦だった。
「河陰?」
見た目は河陰、思いっきり白目だけど・・・。
松浦は河陰に吹っ飛ばされたらしく、背中から生えている羽は片方は引き千切られもう片方はありもしない方向にへし折れている。
「これだけの力をもっていたのに、自ら押さえていたとは私の力をもっても及ばずとは。」
血だらけの衣装を身にまとった二人、松浦のほうがやられているのか出血量が半端ない。
一歩動かすごとに血肉がひたひたと落ちてくる。
河陰のほうは不死の力の解放により、完全治癒が行われているのであの壁の中を突き抜けてきても、もう回復している。
「河陰生きてたのかよ。」
河陰に近付いた俺は河陰の片手で簡単に吹っ飛ばされた。ゾンビ達のいる方向へ。
河陰は我を失っているようだった、完全に俺という存在を仲間と思った行動ではなく完全に敵対意識むき出しでこちらに向かってくる。
ゾンビ達は河陰の噴出している魔力によって消化されていく。
振りおろしたその拳は、魔法陣直撃の大打撃を与え地面はボロボロ、天井の欠片、ゾンビの血、肉、ありとあらゆるものが降ってくる。
魔法陣は完全にぶっ壊れ、ゾンビ達は皆死にその莫大な魔力は俺達を完全に凌駕している。
「三無想・・・無念無想無我それぞれの力を開放し、本能のおもむくままに破壊活動を続ける驚異の技、なにも考えていないいや考えていることはただ一つ、殺戮。殺すための・・・大量殺戮のために作られた技か・・・。」
顔色を変える松浦。
殺しが目的で作られた技か、なんとも嫌な技だな。これの技を背負ってる河陰の気持ちは分かんないけど、結構つらいものがあるんだろうな。
河陰は地面にめり込んだ自分の拳を引き抜き、こっちを見つめる。
「殺されるか・・だけどな河陰俺はまだやらないといけないことがある。」
男子たるとも、なめられたらなんとやら。
ゆっくりと腰を上げポンポンと膝のホコリをはらう。
「とりあえず俺は暴力という手段は使わない。」
手をパンパンとはたき、服の袖で汚れを落とす。
俺も河陰を睨む。
すると松浦が口を挟んできた。
「暴力を使わない?そんなの無理に決まってるでしょが。生身で戦艦クラスと戦うというのですか。」
「うるせっぇ。なにがなんでも正気に戻す、少なからずお前みたいにボロボロにはならんよ。」
もはやダメージに体が耐えきれていないのか、松浦は完全に口しか動かせていない状況だ。
なにはともあれ、とりあえず眼を覚ましてもらわないと、こんな白目で来られても俺対処に困るし。
だけどどうやって目を覚ましてもらうか、あのバカみたいな力は半端ないだろうし正面から行っても・・・無理か?
「さてとどうしようか。」
先の宣言で俺は武器を使わないということを誓った、心の中に何となく使わなくても大丈夫じゃね?という感情を抱いたからだ。
しかしそんなことはお構いなしに、河陰は俺に向かってダッシュしてくる。
河陰の体はもう全身武器と言っても過言ではない、奴は素手でここまで松浦をボコボコにした女だ。
俺は河陰と正面衝突をした。
河陰の手を取り合い握りしめあっている。
「ぐああっ・・ん?」
河陰の目から一筋の涙が流れていた。
こいつは三無想という技を発動しているはずだ、だったら感情を持ち合わせていないって松浦は言った、泣くというのは悲しい時とかそれなりに感情はあるはずだ。
ってことはこいつの今の状態は、三無想ではないのか・・。
「・・・は・・なれ・ろ・・」
「あぁ?」
喋った?話した?どうなってる。
今は完全に三無想状態ではないということか、本能のおもむくまま破壊活動を・・・
いやそんなこと誰が言った?
松浦が言った。では松浦は見たことがあるのか、その三無想状態というのを。
俺は松浦をみる。
松浦はそこには居なかった、あのダメージなら動けるはずはない。
「ありがとうございます。では死んでもらいましょうかね。」
「なに。」
松浦は俺の後ろにいた。
いつの間にか羽は完治していて、傷も癒えていた。
俺に任せたのは時間稼ぎだというのか。
敵に手を貸すなんてな、なに考えてるんだかな俺。
その大きな剣を俺に向かって切りつけてる。
ぐわっと俺の体が宙を飛んだ。
河陰が俺を投げたのだ。
俺が攻撃を回避した変わりに、河陰は大ダメージを受けた。
転げまわる河陰。
「潤・・・なに・・を・してい・・る・・はやく行け。」
「てかお前大丈夫なのかよ。」
よく状況を把握しきれていない俺がいるが、とりあえず河陰の体を心配してみた。
駆け寄る俺に河陰は片手をあげ拒否の意を表す。
「気にするな・・これでも、だてに第三位をやってたわけじゃないんだ・・・」
既に肩で息をしている、いくら不老不死とはいえども疲れは蓄積するようだ。
「早く行け・・松浦はあとひとつ何かを隠している・・・後で私も行くからな・・。」
特に根拠のない言葉と言えばそこまで。
確かに根拠なんてない、むしろあとひとつ力を残しているのなら俺も加勢した方がいいというのか妥当だろう。
しかし俺は特にそんなことは思わなかった。
なんか河陰なら大丈夫な気がした、根拠なんてない。
「・・・分かった。さっさと来いよ。」
俺はさっさとこの場を離れた。
急がないと何かまずい気がした、何かこの奥に何かある。
そんな気がする。
俺は急いでその場所に向かった。
廊下はある程度真っすぐ行ったら、長い階段があった。
階段を駆け上がると、そこには大きな扉があった。
天界門レベルの大きな扉である。
「でけぇな。」
どうやって開くのだろうか分からないがとりあえず、押してみた。
開かない。
ビクともしない。
「フンノオォォォォォォ」
今度は力いっぱい押してみた。
開かない。
「どうするよ。」
「俺に任せな。」
階段を駆け上がってきたのはくっペー達だった。
完全堕天使状態のくっぺーは片手で穹を担ぎ、もう一方の手で大鎌を振るう。
その力はこの巨大な門ですら簡単にブチ壊す。
この巨大な門は破壊された。
「くっぺーよく来たなぁ。」
「当たりまえだろうが、約束は守るたち何でね。」
「穹は大丈夫なのか?」
「ん~寝てるだけだろうな、特に外傷はないし。」
「そっか。んじゃあ行くかな。」
「そうだな。行くか」
くっぺーの破壊した扉を乗り越えるとそこは広い部屋だった。
今までよりも広い部屋。
どうやらヤスは居ないようだ、よく見ると奥にも同じような扉がある
俺とくっペーはここを駆け抜けるようにして走った。
「ん?何か来るぞ。」
突然空間が裂けた。
昔ドルークの門というのに吸い込まれた記憶があるけど。
その時の空間の中とそっくりだ。
裂けた空間からは得体も知れない不気味な人的攻撃物体が出てきた。
いわば殺戮を目的とした、生き物。
「こんな生き物見たことないぜ・・って潤あれ見ろ!」
「おお?」
くっペーの指の先には俺達がぶっ壊した扉があった。
「なんだよ?」
「なんか扉しまってね?」
よく見るとシャッター的なのが上から下りてきていた。
「ってことは・・・。」
後ろが閉まるということは・・・前も・・・。
俺が前を見ると、俺達の道が閉められかけていた。
てか後ろのシャッターより、前のほうがかなり早く閉まるのなんで。
この距離からするとさすがに無理がある。
「私に任せて。」
穹の声が聞こえたかと思うと俺達は扉の向こう側にいた。
「いつの間に?・・・穹の力か。って穹は?」
扉の向こう側に居たのは俺とくっペーだけだった。
閉まるシャッターの隙間から見えた穹の顔。
なぜか笑っていた。
「ごめんね。いつも迷惑かけちゃって、せめてもの罪滅ぼし的な感じに受け取ってもらったらうれしいな。」
「んな!?なに馬鹿なことを言ってるんだよ、俺達は三人で行くんじゃないのかよ。」
「だからここは敵陣地なんだよ?このシャッターを閉めるのも敵なんだよ、ここに攻撃対象が居なかったらこのシャッターも開けられるでしょ。誰か残らないといけないんだよ。」
「だけど――」
「潤!」
肩を掴み俺を引きとめるくっぺー
その手は震えていた。
「誰かが犠牲にならないと進まないんだ。穹の気持ちにもなってみろ、自ら犠牲になってるんだぞ、この決意を揺るがしてるのはお前なんだよ。」
「・・・・行くぞくっぺー。」
俺はもう振り向かず走っていった。
「ありがとね。潤君くっぺー。」
その言葉を最後にシャッターは完全に閉まった。
後に残るのは俺とくっペーの足音だけ。
またしばらく走っていくと、同じぐらいの広さの部屋に出た。
そこも同じように敵さんが出てくる。
「次は俺の番だな。」
「おいおいくっぺー!?」
「さっさと行ってこいよ、なぁに大丈夫だ俺達はどこの誰よりも固い絆を結んでるんだろ。」
さっきよりも早く閉まるシャッターに向かってくっぺーは俺を掴み、その紅蓮の翼で空を飛び俺を扉の向こう側におくる。
「さっきも言っただろ?さっさと行けよな。同じこと言わせんじゃねーぞ。」
「・・・分かってる・・・よ。」
くっペーはニカッと笑い俺の胸を軽く殴る。
「それだけ言えたら、さっさと行きやがれ・・・あぁ後河陰の事だけど、私の仕事は終わったとだけ伝えとけって言われたから伝えておくことにする。」
倒したか・・・?
あいつなら大丈夫って思って正解だったか。
「了解した。」
「さっさと――」
「行ってくる。」
くっペーに言われるより先に言ってやった。
くっペーは先に言われてちょっとビックリした感じの表情を見せる。
「さてと俺も俺の仕事を終わらすか。」
俺に背を向けて歩いていく。くっぺー。
俺もそれに反対するように、歩いていく。
そしてシャッターは閉まった。
さらに階段を上がっていくとそこにはヤスが待っていると思われる部屋があった。
「よく来たなぁ小山潤。」
玉座と思わしきものに座っているヤスは見下すように俺を見さげ、吐き捨てるように言葉を投げつけてくる。
やっぱりだ。
どこかで聞いたことあると思ったんだよ。
「もうそろそろいいんじゃないか?その仮面とってもよぉ。俺と二人しかいないんだからよ、兄貴。」