第二十八話:魔族参位 一条呪音
今回も桜と桜の境界線を見ていただき誠にありがとうございます^^
作者も日々見てくれる人が増えていてうれしい限りでございます。
今回は聖騎士団をメインとして書きました。
あと二・三話は聖騎士団の方の話になりそうです。
こんな前置きはどうでもよくww
ではでは
桜と桜の境界線 第二十八話:魔族参位 一条呪音
どうぞ(暇つぶし程度に)お楽しみください。
くっぺーと穹達が死闘を繰り広げている時、完全に守りに入っている我ら天使軍は圧倒的な軍力の差に完全に押されていた。
初めのほうは、紅亜の登場や不意打ち的な攻撃で押していたが時間が経つにつれ敵も態勢を立て直し次第にこっちが押されてきた。
しかも今ここを指揮しているのは紅亜ではなく、アリスと令の二人が主な指揮権を握っている。
〜ただいまの状況〜
・小山潤 敵本拠地内を移動中
・栗林平太 敵(堕天使)零位の鳳花と戦闘中
・川上穹 敵(堕天使)壱位の雷花と戦闘中
・紅亜 敵(魔族)弐位の刹那と戦闘中
・河陰涼 敵本拠地で連を倒しなおも本拠地内部を移動中
・天谷朱鷺 敵(魔族)参位と戦闘中
・炉華 敵(魔族)四位と戦闘中
・恭介 本拠地で待機中
・藤宮夏織 本拠地で待機中
・アリス 最前線で指揮中
・郷 本拠地で待機中
・令 最前線で指揮中
「まだ本気じゃないようですね。」
「そういうお前こそ本気じゃないだろ。」
紅亜と刹那の戦いはより激しさを増し、剣を軽く振るだけで空気が揺れる。
「じゃあ本気で行きますかな。そろそろこの戦いも潮時かな。」
剣を空に向けて咆える
「空さえも引き裂け我が剣 鎌鼬」
天空に向かって伸びる黄色の波動、これが刹那の魔力色なのだろうか。
一気に重力がのしかかった感じが、紅亜の体全体を襲う。
「触れたものの命を狩れ、命を削れ。それが我の力鎌鼬」
剣は光りながら小さくなり自分の手を包むように取り囲む。
その光が消えた時、刹那の手の爪の部分が鎌のようなものに変わっていた。
「かなり物騒なもの作ってくれるじゃないか。」
【鎌鼬】その切り口はあまりにも鋭利で深い傷を負わせることができる古代武器の一つ。
しかも厄介なことに攻撃を受けた人はその傷に気づかない。
知らない間に命を削っているってことだ。
「悪いけどもう手加減しない。」
風が吹いたかと思うと服が綺麗に裂けていた。おまけに左足も少し切ったようだ。
しかしどうやって避けるか・・・いや避けることは難しいだろうな。
むしろ出来るだけダメージを受けずにどう攻撃するか、それが問題だな。
近づいたら風を起こせばいい、その風に触れることはすなわち自ら死に逝くものと同じだ。
遠距離攻撃はどうだろうか。
いや相手は弐位だ、そんなあほみたいな攻撃が通じるだろうか。
「はぁ・・何だろうか、今日はいろいろと疲れる日だな。」
他人を結構離れた位置にある敵の本拠地に時空ごと転移させて、しかも敵の弐位さんと当たるなんて。
「仕方ない私も本気で行かないと死にそうだな。」
剣を振りながら解放を意味する言葉を告げる。
三角の魔法陣が足元に構成される、その魔法陣は回転し各頂点から桜色の光線が出る。
その光は紅亜を包み込み、巨大な桜色の光が天を貫く。
「久しぶりに見たな一位が本気になってんの。」
敵の四位と戦っている炉華が一言。
「すげーなこの魔力。普通の天使ならこの魔力を受けてるだけで気絶してしまうな、いや殺傷レベルだなこれ。」
常に膨大な魔力が紅亜を中心として出てきている。
「舞え・桜神藍嘉」
刀は赤黒に光、紅亜と共鳴しているのかキイィィィンと震えている。
紅亜自体も桜色の羽が生え、目は赤と青に分かれている。
「こうでなくっちゃな。行くぜ!!!」
「返り討ちだ。」
お互いに距離をとって思いっきりダッシュをする。
二人の最大の力がぶつかりあう。
剣と剣が当たる前にお互いの魔力の放出がでかすぎて二人の止まっているように見える。
実際に止まっているのだが、押すこともできず引くなんて論外である。
時間が経つにつれ双方のぶつかり合っている力は逃げ場を失い時空を曲げ始める。
呼吸することさえも困難な領域に達している。時空はすでに壊れていた。
二人とも同時に離れる、離れた瞬間壊れた時空が元に戻る。戻るときに周りの空気や何やらを吸い取る力が発生する。
「はぁはぁ・・・この風もキツイな。畜生さっきので死なないとは、さすが一位さんだ。」
辺りの空気を吸い込み終わり時空の亀裂が完全に修復完了したのを確認して、紅亜は構えをとる。
「私の力を見せてなかったな。私の力は反則なんだがな。」
「へ〜どんな?」
「この力をつかうとお前を簡単に倒せるんだが、しかし私にかかる力も大きすぎて使いたくないんだな。」
「ハイリスクハイリターンって奴か。んでそんな大層な能力とはなんだ?」
「死を操る力だ。」
・・・・
時がとまった。
「それ卑怯じゃね?」
ちょっと若干引いてる刹那に対し
「仕方ないだろ、これが私の力なんだから。」
とマイペースで話す紅亜。
「死を操るってことは生きているものを殺すことだってできるし、死んでいる奴を生き返らせることもできる。死にそうな奴の死を延ばしてやることもできる。」
「ほぼ不老不死と同じ能力じゃないか。こんな相手どう戦えっていうんだよ。」
こいつは死そのものを操ることができそうだな・・・
面倒な奴に出会ってしまったのは本当みたいだな。しかしあいつのリスクって何だろうか。
生きとし生けるものすべての死という運命を自由に操れる力。それだけの力なら跳ね返ってくる力もかなりのはずだ。
「まぁこの力は使わんがな。超ヤバくなったら使わしてもらおう。」
「そうしてもらうとありがたい。」
「俺の力も言わないとな。俺の力とはこのことだ!」
右手を上にかざして空を仰ぐように手を振る。
すると刹那の体に変化が起きる。
薄らとだが体の周りが黄色の色を放っている。
なんだ?
特にそんなに変わったことは起きないが・・・。
見た目では分からないことでも変わったのか。例えば移動速度の上昇や攻撃または防御力の上昇など、あの体に纏っているものは何だろうか・・・。
選択肢が多すぎるな、削るか。
待て・・削る?
確かあいつ命を削れと言ってたような。だとしたらもう・・・・。
「気づかないですか紅亜さん?」
何か変わっているのか私が?
「ヒントはあなたのその左足です。」
「私の左足?」
下を見るとさっき切ったところから血が出ている。
「もう分かりましたよね?」
なるほど・・そういうことか。
「あなたほどのお力の人がこんな小さな傷にこんなに時間がかかるはずありません、しかし現在傷は治るどころか治る気配すら感じない、すなわち。」
「貴様の能力とは回復力低下みたいな感じか。」
「おしいね、正確には自然治癒能力の完全削除だ」
「完全削除かとすると傷がついたところは永遠に血が止まらないということだな。」
「まあ僕を倒せば治るんですが。」
「いいことを聞いた。ならば死ね!」
またもや二人は消えた、これも消えたのではなく常人では見えないレベルで戦っているのだ。
戦場から少し離れた場所には小さな丘がある、その丘には聖騎士団第四位の天宮朱鷺と黒マントに身を包んでいる謎の人物。
マントをかぶった人物はガバッとマントを脱いだ
「あたしの名は一条呪音っていうの!おにいちゃんは?」
そこにいたのは小さな少女だった。
「僕の名前は天宮朱鷺よろしく。」
「よろしくね〜呪音はね〜魔族のなかでも三番目に偉いんだよぉ〜だってほら頬っぺたのところに参って書いてるでしょぉ〜?」
さっさと終わらせようか。
「残念だけどおにいちゃん遊んでる暇ないんだ。よい子は寝てなさい。」
「え〜おにいちゃん遊ぼうよ〜呪音全然遊んでないよ〜?」
「うるさいなぁ!ここは君みたいな子が来る場所じゃないんだよ」
天宮は「炎術炎仙花」を唱えた。
大きな炎の柱が呪音の周りを囲む。
そして炎の柱は次第に周りの炎と合体し大きな炎の花のようになる。
がしかし
その花は一瞬にして散った。
「おにちゃん遊んでくれるの!?やった〜」
ぴょんぴょんとジャンプしている呪音
「でも呪音強いよ!最初っから本気で行くよ!受け止めれるかな?」
その瞬間呪音を中心として何かが広がっていった。
「呪音は能力使えるんだよ〜」
ん?なんだ?
「呪音の能力使うとみんなお人形さんみたいに動かなくなるんだよ〜」
いやまだ動ける。朱鷺は自分の手をグーパーしてみる。
「呪音の能力はね、時間とともに生きてる者の五感の自由を奪っていくんだよ〜。」
なに!?
「しかもおにいちゃんは私の領域の中にいるでしょ?もうおにいちゃんは逃げれないよ〜」
あのよく分からない波動みたいなのは領域を作っていたのか・・。
「領域からは逃げれないようだね、本気で行かせてもらうよこっちだって・・・。」
「でもおにいちゃんもうすぐ一つの感覚無くなっちゃうよー」
その言葉を聞き取ったのが最後。
俺の耳は何も聞きとらなくなった。
続きもがんばりたいでス!