第二十六話:踏みにじられた誇りと本当の死
今回はなんだろうね、ちょっと表現が危ないところがあるかな?
書いてるとよくこんなの書けるな自分って思いましたw
さてさて前置きは置いといてでは本編の方をお楽しみください〜
「あ〜ぁ誰か本当に私を殺してくれないかな?」
!?
確かに声がした、あの針山の中から。
「そんな馬鹿な!?」
針山はゆっくりと倒れ辺りに針が散らばる。
「うそだ・・・嘘だ・・・ありえない・・。」
何とそこには串刺しになったまま動いている河陰の姿があったのだ。
「いくら不老不死って言っても痛いのは痛いんだぞ。」
体に刺さった針を抜きとる、腕や顔。足や腹部。針を取ったところからは血が噴き出すが一瞬にして止まり皮膚が完成する。
ったく痛いのもありゃしない、なんだっていきなり殺されかけなければいけないんだ。
「貴様名前は?」
「お・・俺の名は・・連」
連?まぁそんなことどうでもいい、処刑だ。
「今からお前を処刑する。」
「出来るかな?」
そういうとさっきまでのビビっていた表情とは打って変わって、満面の笑みだ。
ズガッ
不意に鈍い音がした。今度は針ではなく一本の大きな氷柱が河陰の腹を貫いて地面に深々と刺さっている。
「これで動けないだろ。このまm・・」
言いかける前に
「うっせーんだよ。」
氷柱を一瞬で壊し、連の目の前に。
片手で頭をつかまれる。
「!?」
そのまま河陰は投げた、針山の方向に。
ギヤァァァァァァァァ
さっきの河陰と同じような状況になる。
目は針が貫き、針で引き裂かれた腹は内臓や何やらが重力によってドロドロとでてくる。それも針に静かに刺さる。関節はありえない方向に曲がり、関節でもないところも曲がっている。さっきまで響いていた声は喉に針が刺さることで、声帯の動きが止まるのと空気がその開いた穴から抜けるので声はむしろ、空気の音と変わりまもなく息を引き取った。
「さて出て来いよ、居るんだろさっきの奴を操っていた人が。」
だが返事はない。
「あくまで隠れているつもりか・・・」
サッと出てきてくれよ。そこにいるのは分かってるのに。
コツコツと歩いて行くとあるところで足を止めた。
「ばれたらしょうがない。」
目の前に黒の魔力を発する人が現れた。
「波動が黒いな、さっそく堕天使のお出ましか、面白い。」
へへへと不気味な笑いを浮かべ、そのまま消える。
「その笑いようだと私の能力に対抗できる何かがあるようだな。」
「ないけどな。・・・でも策はなくはないんだな。」
後ろから聞こえる、とっさに後ろを振り向くと・・・
そこには綺麗な顔立ちをした女の人とその女の人の隣にニッコリほほ笑んでいる男の姿があった。
「なっ!?」
私の親だった。
「馬鹿な、母さん達はあの時死んだはず・・・幻覚か」
そこに口を挟んできた。
「あのときは君の知識が不十分だったとしたら、ちゃんと確認せずその場から離れたとしたら、そしてそのあとに魔族に拾われたとしたら、手術に成功してこっちで働いていたとしたら、何が起きるか分からないそれが天界だ。」
ありえない確かにあの時私は確認しなかった、だが考えろあれだけの出血量・・・致死量だ。
だがもし私がその場から逃げた瞬間に魔族が連れ去ったらとしたら・・・
しかしあの時魔族の気配はしなかった?
くそっ。そこまで明確に思いだせない・・なんせかなり前の事だ。
「大きくなったわね、涼。」
!?
この声は・・完全に母さんの声だ。
「お前は実の親を殺せるのか?」
あ・・ぁ・・ぁあ・・あ・・。
「殺せないよな、だってこのとうりこいつは本物だ。」
そういって姿を現したあいつ。
「そうそう教えてなかったか、俺の名は連だ」
さっきの奴と同じか、まぁそれもそうだろうな。
しかし謎ここでそんなことを教える?なにかあるのか。
「お前にこいつが本物ということを教えてやろう。」
そういうと腰にある刀を抜く
「まて・・やめろ・・。」
河陰の言葉もとどかずに振り上げられた刀は綺麗に河陰の母親の腕を切り落とした。
イヤァアァァァァ
本当に切られたように悲鳴が上がる。
痛みの訓練をうけない一般市民は苦痛に耐えきれず声を上げてしまう。
喉が裂けるのかと思うぐらいの悲鳴。
その言葉に痛みの限りを表現している。
実の母が悶え苦しみ、しかしそれをただただ見つめることしかできない自分の無力さ。
切り落とされた腕は無残にも踏みつぶされ、引き裂かれもう腕とは認識できないぐらいまで破壊されていた。
鮮血で地面は赤く染まりところどころに腕の肉片が転がっている。
断面からは血が次から次へと流れ出し服を真っ赤に染めていた。
それを止めようと片方の手で押さえるが、止まるはずもなく血はどんどんあふれていく。
「母さん!」
とっさに駆け寄る父さんは自分の服を破りその切れ端を包帯代わりにする。
何で私は何もできないんだ。
急に気の気配が移動した。私の隣にやってきた。
「どうだ?実の親が苦しんでいる姿を見るのは、自分は何もできないだろ。」
「ふざけんな・・・貴様・・。」
完全に切れた河陰はもう誰にも止められない。
一瞬でこの空間をねじ曲げるほどの魔力を発し、ありとあらゆるものがくだける。
「おっと怖い怖いそれ以上ここを破壊しないでくれるかな?」
そういって河陰の母親のもとに駆け寄る。
「さてともうこのまま殺してもいいんだけどね、君にはもっと絶望してもらわないといけない
んだなこれが。確かに君は不老不死だ直接殺すことはまず不可能だろう、何十発のデルをぶつけたとしても、何回も剣で切り刻んだとしても切ったその場から修復が始まり一瞬にして元通りになるだろう。だったらどうすればいいか。」
ちょっと躊躇した後。
「その方法がこれ。君を内部から破壊することだ。生きるものは心がある精神があるそれは傷
を治すように簡単には治らない、いやな出来事は胸に深く刻まれ自分を苦しめる、絶望、苦しみ、憎しみ、怒りそれらはいつしか完全に己を飲み込む、それが不老不死だとしても。」
そういってのど元に剣を突き刺す。
「やめろぉぉぉ」
隣にいる父さんが殴りにかかる。頬にクリーンヒットする拳。
「もう母さんに手を出すな。」
怒りに身を任せさらにもう一発殴る。
「あぁ?貴様は何のために生かされてるのか分かってんのか?父親さん。」
そういって片手で強力な魔力を発し、父さんの動きを止める。
「どんな世界でも親ってのは、ウゼェもんだな。」
父さんの腹をけりさらに両手に剣を突き刺す。
「これで動けないだろ。」
「やめろ・・殺すな・・・」
「殺しはしないさ、ただ絶望を味わってもらうだけさ。」
ニコっと笑い、刺さっていた剣を回す。
ぐあぁぁぁ。
苦痛の叫びがこの部屋を包み込む。
何だこの魔力・・突如現れた巨大な魔力の塊。
「何だこれ!?」
自らが発する魔力の量が膨大すぎて地面に亀裂が走る。
「お前は私の誇りに傷をつけた、なぁ糞ヤローお前はどうやら死にたいらしいな。」
腰の刀を抜き振りかぶる。
ズバッ
「俺の腕が!?」
腕は肩から切り落とされ、床に落ちる
俺と河陰は100メートルほど離れてんだぞ!?
何が起こったっていうんだ。
「ななな・・なんだよ・・」
恐怖のあまり腰が抜け足はガタガタに震えている。
「なぁ〜んちゃって。」
ポケットからあるボタンを取り出した。そのままそのボタンを押した。
「何をしたゴミ虫、今さら足掻きなんぞ遅いんだよ。」
目の前に現れ刀を振りおろした。
が止まった
「貴様・・何をした・。」
なんと母さんがそいつを守るかのように上に覆いかぶさっているのだ。
お母さんはふるえながら必死にかばっている。
こいつをかばって何になるっていうんだ、こいつは敵なんだぞ・・しかも母さんの腕を切り落とし、父さんの手のひらに平気で剣を突き刺すような奴なんだぞ。
「母さん・離れ・・そこから離れてください。」
連を睨みつけながら発した言葉。
「涼、切りなさい。」
んな!?
「何を言っているんですか!?」
「いいからこのまま私ごと切りなさい。」
「できません。」
「私の体は作られたもの、ホントはあの時死ぬべきだった。だけどあの時はまだやり残したこ
とがあって私は魔族と契約した、ここで死んだ体を生き返らせる代わりに魔族の一員になると。」
そんなことが・・。
「なにしゃべってんだよ!この糞が、使えねーな。少し黙ってろこのカス。」
ピッピッとボタンを押す、母さんの体に電流が流れる。
「わ・・たし・達は・・貴女に・・・な・にも・残・せなかった。」
「まだしゃべるか!」
赤く塗られたボタンを押す、見るからに危険そうなボタンだ。
そのボタンを押すと母さんの瞳はどこか遠くを見ているような眼をしていて
意識が遠のいていく感じがした
「これでもう話せないだろう。」
その言葉をいいながら、片手でゆっくりと立つ。
「追ってくるなよ・・そこの父親も来い。」
その言葉に反応し、両手に刀が刺さっているにもかかわらず、力押しで刀を振り落とし連の後を追っていく。
いま攻撃すれば母さんたちに当たるかも知れない、しかしどうすれば。
「涼・・いい?」
急に話しかけられた私は一体何が起こったのか理解ができなかった。
「お母さん!?」
その声は心の中に入ってくる。
「すこしの間なら私とお父さんは、この縛りから抜け出せる力があるわ。その隙にこいつを倒すのよいいわね。」
一瞬でもいい、ちょっとの時間があれば私は奴を倒せる。一瞬で粉砕出来る。
「いくわよ。」
そう言われると私は足を踏み出していた。
「ん。なんだ?」
「もうあなたの好きにはさせないわ、散りなさい。」
完全に油断していた連は、急な命令を無視した行動により焦っていた、母さんは足で連を蹴りちょっとだけ距離をとる、その一瞬を河陰は見逃さなかった。
一瞬で連の頭をつかみこの部屋の端へ追い込む。
「この腐れやろうが。」
「え?」
状況を理解できないまま連の頭と体は分離された。勢いよく血柱を上げる連の体そのわきには連自身の剣で串刺しにされている本人の頭があった。
「貴様ごときを切るのに私の刀ではもったいなさすぎる。」
一言言い残すと、急いで私は母さんと父さんのところへ向かった。
「母さん、父さん。しっかりしてください。」
二人は腕や足がどんどん消えていたのだ。その浸食は止められずどんどん消えていく。
「涼あなたは頑張った、これが死したものがもう一回死ぬ時の姿。」
「これが・・その姿。いやだ・・死なないでください。」
母に泣きながら抱きつくと、隣から父さんの手が私の頭をなでた。
「いいか涼。私達が死ぬのは自然の摂理なんだ、生きるものは全て死を迎える、お前は不老不
死となっているがいずれは体自身が持たなくなり死ぬだろう、それがいつかは分からないが。それよりもお前はもうすでに新しい命を誕生させていると聞いた、しかも人間との間でと。いいか涼うるさいかもしれないがこれが父さんたちの最後の願いだ、その子供にたくさんの愛をあげてくれ、子供を愛してくれ私達ができなかったことをただただ押しつけてる。そう思ってもらってもいいだけど、もう二度と子供を一人にしないでやってくれ。」
父さん・・母さん・・
二人はニッコリと笑っている、涙が止まらなかった、拭いても拭いてもどんどんあふれてくる。
「うああああああああああああああああ」
ただただ泣くことにしかできなかった、声の限界の限りを尽くして、悲しいのではないと思う、ただ表現しにくい感情があふれてくるんだ。
水源のように次から次へと、母さんこんな時私はどういう顔をすればいいのでしょか。
目の前に消えゆく存在があったとして、絶対に助からないのに私は助けたいと思う。
こんなことは欲深いかもしれない、けど助けたい・・・。
「涼、貴女は偉くなった聖騎士団第三位という称号がその証よ、だからこそ貴女は止まってはならない、どんなに辛いことがあっても苦しいことがあっても進んで、前だけを見るのよ。だって貴女には仲間がいるじゃない、私もお父さんもついてる、だから泣きやみなさい貴女がこんなんだったら、みんなが困るのよ。」
もう浸食は足と腕を完全に消し、身体を消しにかかっている。
「だから進みなさい。」
分かりました母さん父さん。
私は進みます。
今回も見てくださってありがとうございます。
だんだんキャラの設定が危なくなってきてますがもう手遅れです。
温かい目で見てやってください。