前途多難
「待ってる間もちゃんと修行してろよ。」
「修行ってこれのことですよね?」
和也は意識を人差し指に集中させ、光を集めると指先が光る。
修行とは、人差し指から小指までを順番に光らせていき、順番に消すという内容だった。
この一時間で和也は中指までは成功している。
「これになんの理由があるんですか?」
「やってればわかる。それに、答えは自分で見つけるんだよ。」
師匠はそう言うと、道に戻り門番の方へと歩いていった。和也は木の影から、師匠が門番を通過するのを見ると、座って師匠が教えてくれたこの世界のことについてを思い返しながら、素直に修行を開始した。
この世界は主に、魔界、獣界、海界に分かれており、それぞれ魔族、獣族、海族が長となり治めている。
魔族は魔力が大い者が多く、多彩な魔法を使いオールマイティーに戦闘をこなす事が出来る。
魔界は開けている土地が多く、魔法で土地をいろいろと開拓ししている。
獣族は魔力は魔族程多くはないが、肉体強化を得意とし、接近戦闘では魔族、海族を圧倒する。更にある一定の条件下でのみ膨大な力を発揮する一族もいるという。
獣界は自然が多く、大半が木々に覆われた森となっている。
海族は水魔法を得意とし、ほとんどの一族が水系魔法しか使えないが、水の派生魔法である、氷と海の魔法を使用することが出来る。海上においてはほぼ無敵で、世界のほとんどの海は海族の領土となっている。
この3族でこの世界はほぼ統治されており、日夜覇権を争っている。
天空にあったであろうトテン園については、いつも通りとある人に聞けだった。
ちなみにマーデルの言っていた、天力とはトテンの園に住む住人特有の魔法。天空魔法を使用する為の魔力の一種である。
和也はそんな事を思い出しながら、修行に励むこと一時間。修行事態は指先に集めた光を動かしながら、ちゃんとやっているが和也は地面に転んでいた。
「はぁ~飽きた」
和也は空を眺めながら、ボーッと光を右手から左手へと動かしている。
「そっちへ行ったぞー!捕らえろ!」
「なんだ?なんだ?」
和也は飛び起きて回りをキョロキョロすると、門の東の方が騒がしくしている。
ピング族が数人で誰かを追いかけているようだ。
和也は気になり、騒ぎのする方へとピング族に見つからないようこっそりと向かった。