師匠登場
「オラ、そろそろ起きろやガキ。」
「べぶち。」
葉巻パンダの蹴りが和也の腹に突き刺さる。激しい痛みと共に和也はよくわからん言葉を発して飛び起きた。
「なんだ?なんだ?ここはどこだ?ってパンダが葉巻咥えてしゃべってるーー」
「やかましい」
起きた場所は先程、和也が気を失った場所でまだ陽は高いがやや傾いている。
回りをキョロキョロしてしゃべるパンダに驚くと、パンダに頭を叩かれた。
「パンダじゃなくて、俺の事は師匠と呼べ。」
「師匠?なんで?」
「俺がお前にいろいろ教えてやるって言ってんだよ。俺から教えを受ける。つまりお前は弟子ってことだ。」
「いやいや、パンダに何を教わるって言うんだよ。」
「そーかそーか。ならお前、、、」
和也の視界からパンダの姿が一瞬消える。そして次パンダを視界に捕らえた時には、目から数センチ先に鋭い爪が突きつけられていた。
「死ぬか?」
和也の額に冷や汗が流れ、首を横に振りまくる。
「ここはお前の居た世界と違って、油断してると死ぬ。そして弱くても死ぬ。」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「だから俺が鍛えてやるって言ってんだろ。一緒にこい。」
パンダは葉巻を吸って、白い煙をはいた。
「なんで、俺を鍛えてくれるんですか?」
「とある人との約束だからだ。お前の選択肢は2つだ。
1、俺と一緒に来るのを拒否して、俺に殺される
2、俺と一緒に来て、強くなる
さあ、どっちか選べ。」
「2択になってなくないですか?しかも、俺を殺したらその人との約束破ることになっちゃいますよ。」
「お前がその辺の雑魚に殺されるぐらいなら楽に殺してやってくれっていうのも、約束の一つだ。」
「そんな約束までしてるんですね。」
和也は、うつ向き砂浜を数歩歩いて、パンダの方を向く。
「いいですよ。そんなこと言われたら選択肢なんて他にないですよ。パンダさんについていきます。」
「パンダじゃねぇ、俺の事は師匠と呼べ。」
パンダは間合いをつめると右フックを繰り出したが、それを華麗にかわした。和也は笑いながら楽しそうにステップを踏む。
「ハハハっ、ハズレですね。師匠。」
和也は心の中で安心した。こっちの世界に来てから、死ぬ思いが続き、友達もいない、頼れる人もいない、だから今目の前にいるパンダが一緒に来いっと言ってくれてよくわからないが、一人じゃなくなったということが、とても安心した。
パンダは再び葉巻を咥えて、再び白い煙を吐く。
「しゃーねぇー行くぞ。和也」
「師匠、なんで俺の名前知ってるんですか?」
「とある人に前から聞いてたんだよ。
最初にお前に教えといてやるけど、人間は絶滅寸前でこっから先は敵だらけだから死ぬなよ。」
「えぇぇぇぇーー」