お前なんなんだ?
二足歩行豚は踏み込み、石槍を和也の頭を撃ち抜かんと突く。
「うわっとと」
和也は二足歩行豚の踏み込みにびびって、たじろくと足を縺れさせて再び地面に尻餅をついた。
しかしそのおかげで和也の顔面は石槍に風穴を開けられずにすんだ。
「ああああぶ、あぶあぶねぇ。やべやべまじで、やべやべ」
豚は石槍を再び構え直している。2撃目の準備は万全のようだ。
和也は心の中で、今日何度目かの死の恐怖を感じていた。
「光を集めないと死ぬぞ~」
豚の後ろから、別の声が聞こえてきた。
和也はその声でハッとし、今どうすれば生き残れるかを察した。
「うわわわっ、、えっとえっと光よ集え、我が衣に」
和也の周りに光が集まり、先程と同じように黄色いオーラを纏う。
豚の石槍が再び和也の頭目掛けて突いてくる。
和也は避けきれないと思い顔を腕で隠し、力いっぱい目をつむる。心の中で再び、ヤベェ死ぬっと叫びながら。
「えっ?」
いつまで経っても痛みがこないので和也は目を開けてみる。
そして目にしたものは、石槍が折れて唖然としている豚の顔。
一瞬静寂が流れる。
そして、和也は本能的に動きだす。今なら殺れる。死の恐怖で研ぎ澄まされた本能でそう感じると、体を急いでお越し、拳を握りしめすかさず豚の顔面に拳を放った。
ゴキっ
和也の拳は豚の顔にクリーンヒットし、鈍い音がした。豚は2、3歩を後ろによろめく。その顔をみると、鼻と唇から血を流している。
和也はもう一発食らわしてやろうと再び拳を振り上げるが、妙に右肩が重い。右肩の方を見るといつの間にか先程の虎が肩に噛みついていた。
「ぎゃーーーいっててて、、、??」
和也は虎に噛まれている自分の肩を見て激痛が来るのを覚悟して思わず声を先に出してしまった。そして違和感を感じる…
「って痛くねぇじゃねぇか、このやろー!」
和也は右肩を動かして、投げ飛ばすように虎を地面に叩きつけた。
そして、地面に叩きつけた虎を豚男に向かって蹴り飛ばす。
「ぶっ飛べ~~!」
蹴り飛ばした虎が宙に浮いている間に再び地面を蹴りだして、和也は渾身の飛び蹴りを繰り出す。
見事に蹴りは二匹に当たり二人とも遠くの方に飛んでいき星となった。
パチパチパチパチ
和也の背後から手を叩き拍手の音が聞こえてくる。
「根性50点、勝負強さ80点。小僧なかなかやるやんけ。」
和也は振り返るとそこには、葉巻を咥えたパンダが立っていた。
「豚の次はパンダかよ。しかもしゃべってるし…もうなんなんだよ。」
和也は呆れ半分に空を見た。そして空か霞み出して和也の意識が遠退いていき、地面に倒れこんだ。