かえりみち
サイドミラーの向こう側を
LEDのドームが過ぎていく
まるで宇宙船かクジラみたいに
たくさんのヘッドライトの間を縫うように
ゆったりとゆっくりと泳いでいく
手を伸ばしても届かないから
僕は窓を開けないで
追い越していくその姿の
後ろ側を眺めている
どうして
届かないってわかっているのか
うまく説明はできないけれど
窓を開けたらその瞬間に
僕は息ができなくなって
窒息してしまうだろうから
やっぱり今日の帰り道も
窓は閉め切ったまま
真っ直ぐに走り続ける
ありがとうございました。