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バラの剪定しない理由 母
「朝陽はどうして、彼がバラの剪定をやらないと思ったの」
「んー、相田さんと同じ理由もだし、まぁ、結局、やんなかった、彼は」
「ふーん、彼の持ってた花束には、バラは、なかったの?」
「あったけど、カサブランカ抜いて、バラまで抜いたら、その花束、意味なくなるからね」
「なるほど、バラも嫌いってことね。百歩譲って、百合だけ手放したってとこか」
「そう、だから、おうちのバラは手つかずだったの」
納得したように、母はうなずく。さすが、飲み込みが早い、嬉しくなる。
「で、色々あって、相田さんとその彼が付き合い始めたって、オチ?」
私は意味深に、にやりと唇を上げる。
それは、また別の話で。
この続きには関係ないんですよ、お母さん。
「それだと、まぁ、普通じゃない」
んん? と母が首をかしげた。
「カップルの話してるのよね。あ、すごいって、言ってたわね」
「そう、こんなカップルもいるって、ね」