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いつかの恋を待ってる  作者: かようこ
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パライバイトルマリン 瀬戸さん

 秘めた恋の話。


 翔と話したのは、春、桜が散り始めた頃。



 通りすがりに鉄格子の向こうの庭を眺める、ルーティン。

 そして、ピアノの奏で。


 家主の瀬戸さんには、いつでも入ってきてもいいですよ、とは言われてるけど、こうやって眺めるのがいいんだな。


 いつのまにか、ピアノの音が聴こえなくなってて、玄関のドアが開いた。


 瀬戸さんがレッスンの終わった生徒さんを送りに出てきたところ。

 と、思うけど、思わず、じっと見てしまったのは、年かさや、雰囲気がピアノ教室に通うタイプの男の人じゃないような気がしたから。


 ふたりは、庭の薄いピンクの花が咲いてる木の側でそれを指さしながら、笑って話しをしてる。

 すると、瀬戸さんが自分達を見ている私に気がついて、手を振った。


 それを合図にふたりとも、そこから離れて、門の外へ出てきた。

 なんとなく、つられるように彼らに近づくと、その男の人は会釈して私の横を通り過ぎた。

 ふんわりと香水の香りが顔に当たる。


 ちらっと、見えたピアスの石の色に、思わず、

「いい色ですね、ピアスの。見たことない」

 彼は少し振り返って、首をかしげ、視線を流すように横目で見る。


「パライバトルマリン、だよ」


 そして、ふわっと上げた右手の薬指には同じ色の石の指輪。

 そのまま、彼は顔を正面に戻し、歩き出した。


 〝パラバイトルマリン〟聞いたことない石の名前。


 白い肌、瞳は切れ長の細い顔つきで瀬戸さんと同じくらいの年か? 耳が隠れるくらい長めの茶色の髪、ちらりと見えた耳たぶに薄い青色の石のピアス。


 この容姿に対する偏見かもだけど、夜の飲食業の人っぽい。

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