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十色の刀(旧 勇巻)  作者: 渦巻 汐風
第一章 レッツゴー異世界
19/20

第十九刀 腐竜戦 (上)

「どらぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


俺はナナシの張った結界が壊れる瞬間にその場から駆け出し、腐竜の横に素早く回ると、右手の刀を野球でもするかのようにフルスイングで腐竜の横っ腹に叩きつけた。

叩きつけた刀はヴィエラの鱗の様に紅い炎を纏わせながら腐龍の腐肉をブチブチと断ち切って行く。

炎を纏ったその紅い刀は腐肉を切り刻むと刀身に付いた血を蒸発させながら紅い煙を吐いている。


俺は残念ながら刀をどうやって振るったらいいかなんて解らずに今まで適当に振るっていたがこの腐竜の肉を切った時に何か力が掛かった感覚がしたのだ。

恐らくはこれがヴィエラの言っていた何倍にも跳ね上がる力のようだ。


そんな事思っているうちに、後ろからものすごい勢いで迫ってくる矢の大群を視界の端で見つけたため、サイドステップで左にずれ其れを回避する。


その矢は一つずつが強力な聖属性の光を帯びており今まさに自分に噛み付こうとする腐竜の眉間や眼球に刺さった。

どうやら聖属性の攻撃は見た目通りに効くみたいで、竜は方向とも呼べぬような声を上げると無闇矢鱈にその巨大な手足や尻尾を振り回し周りの木々を薙ぎ倒す。


それに追従するように走って来たアイラとティアが手に持った銃で金色と銀色の弾幕を竜に浴びせる。


アイラとティアが撃っているのは純粋な魔力の塊でできた弾の様で、属性が付いていないからこそ効く様だ。


俺は無茶苦茶に振り回される尻尾を避けながら尻尾を切り落とそうとするが浅い傷しか与えられない。


「何でだ?どうして深く入らない…」


「ソウタ様‼」


ナナシの叫び声が聞こえる。

その声に気がついた時には遅く目の前には高速で迫る腐竜の尻尾があった。


しまった、そう思った時にはもう遅かった。

戦闘中に考え事をしてしまった自分のミスである。

草太は腐竜の一撃を腹に受け吹っ飛ばされてしまう。


「アガァッ‼」


飛ばされてしまった草太は木の幹に背中を打ち付け停止する。

その気に寄りかかる様にしてずり落ちる草太。

口からは大量の血を吐き出していて、顔は真っ青になり危険な状態だと見てわかる。


腐竜の一撃をもろに食らってはいくら体力があろうとただでは済まない。

ましてや、ロクに実践経験がなく実力もない自分たちが、死んでいるとはいえドラゴンと言う強力なモンスターに立ち向かうことがそもそもの間違いだったのだ。


これは現実、わかっているつもりであったがまだ何処か夢の様に思っていた違いない。


自分が勇者であったなら、こんな逆境も簡単に塗り替えられるのだろうが…いや、無理だ。

勇者であっても無理であろう、こんな状況でどうやって逆境を乗り越える。

第一勇者になった自分の姿も思い浮かばないし、平凡な自分が勇者になれるはずもない。

どこまで行っても普通な自分がどれだけ頑張ったって勇者にはなれない。

その証拠に、現実に勇者は他にいる。

異世界からの勇者だ、それも同郷人である。

こんな状況になるといっそ笑えてくる。

同時に怒りを覚える。

力のない自分が、頼りない自分が。

女の子一人も守れやしないで静を守るなんて戯言言って、現にほら、守れてない。

むしろ自分が守られている。


静たちは今も必死に戦っているのであろう、傷ついた自分を死なせぬ様に。

女の子に守られている自分を情けなく思う。


(あっ)


アイラとティアが吹っ飛ばされた、地面に横たわりピクリとも動かない。


今手元には炎刀はない、どうやら吹っ飛ばされた際に手放してしまったようだ。


アイラとティアが吹っ飛ばされたというのにそばに行って抱き起こしてやることもできない、動かない身体にどう念じて見てもピクリとも動こうとはしない。


そうこうして居るうちに静も吹っ飛ばされてしまった、吹っ飛ばされた静は地面に体を打ち付けられながらも俺を守ろうと矢を放ち続ける。

弓の弦を弱く引いて発射したため矢は遅いスピードで飛び腐竜に届く前に空中に消える。


その様子にもう戦う力はないと判断したのか静に追撃を仕掛けようとその顎を開いた。


それを見た俺は最悪な未来を想像してしまった、静が食い殺されてしまう未来を。


(やめろ……)


止まらない

叫ぼうとしても声がかすれて音が出ない。


(やめてくれ……)


止まらない、ドンドンと進んで行きついに目の前まで到達した。


そしてまさに食われてしまうところで。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


俺の身の前が白くなった。


突然のシリアス。

あ、作者生きてますよー。

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