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始まった日常

一昔前まで無かったものといえば何があげられるだろう?

インターネット、テレビ、携帯電話などなど

そして、現代の日本ではその中に超能力が含まれるようになった


1960年 日本政府は超能力を人類に授けるワクチンT-69の開発に成功

1984年 T-69を一人の少年に投与し、少年は超能力を取得

1988年 T-69を生まれたばかりの赤ん坊に投与することが義務化される

1990年 イギリスとの技術戦争が始まる


そして、教科書には載らない隠れた歴史的重要事実牧田卓郎(まきたたくろう)の誕生はこの5年後のことである


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「ふぅ」

一息ついて席に座る。けっして俺の通うこの南橋高校は俺の暮らすマンションから遠いわけではないのだが、まぁ通学はそれなりの運動になる。


「卓郎、勉強してきたか?」


よくいえばハスキーな悪く言えばダメージを受けまくった声帯からねじ出す様な声で話しかけてきたのはとなりの席の夏川鷹広(なつかわたかひろ)だ。日焼けがキツイよ。

勉強してきたか?なんて質問をしたのはもちろん今日のテストためだろう。


「あ?俺に勉強なんて必要ねぇのさ」


「お前・・・まさかまたあの手を・・?」


夏川が言うあの手とは別に先生相手の枕営業でもないし、テストの答えを事前にオークションでおとすわけでもない。

俺だけの能力だ。


「まぁな。俺の能力―――近未来の閲覧を使っちまえばテスト問題を事前に知ることができんのさ」


近未来の閲覧。

むこう5時間のあいだに俺が経験することをその名の通り閲覧することができる


「はぁ~いいよなぁ。俺にも一応能力はあるけどさ、人差し指の先端が光るだけだぜ。使えないったりゃねえよ」


「けどさ、その僅かな能力だってほとんどの人は得られないんだからまだいいじゃねえかよ。」


「この学校じゃあ俺みたいなのが常識だぜ。」


そう言うと夏川は机に突っ伏してしまった。

まぁコイツはほっとけば自然回復すんだろ。


先ほど夏川が言ったことは正にその通りで我が南橋高校にはそういったクソの役にも立たないような能力を持った学生が大量にいる。つか、それしかいないのだ。

なぜそうなのかと言うと、


そんな学校は全国でも3校しかないらしく、またそのためあって南橋高校は幼稚園から大学まで超高層ビルのエスカレーターにも匹敵するエスカレーター方式をとっている。


そんな魅力たっぷり括弧はてな括弧とじな高校に入学できる条件がクソ役にも立たない能力ってことだ。


「よーしテスト始めるぞー」


そう言ってテスト用紙をもった担任がさっそうと教室に入ってきた。

さてと、ほどほどに頑張りますかね。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


ところ変わってショッピングモールである。


「これかぁ・・・?」


夏川はどうやら新しいバックが欲しかったらしく俺はその買い物に付き合わされている。

その夏川は真剣にバックを選んでおり、俺はその様子を店の前にあるベンチから見ていた。

本来なら俺も夏川のバック選びを手伝った方がいいのだろうが、疲れたのだから仕方ない。仕方ないのだよワトソン君?


「買ってきたぞ~」


夏川は新品のバックが入っているであろう紙袋を小脇にかかえてやってきた。


「じゃあ、帰るか。」


「ん~そうだな・・・おい!あれ見ろよ卓郎!」


そう言って夏川の指差す方を見ると


「美崎さんだな。」


「あぁ!あのおとなしい美少女が一人で買い物とは珍しいぜぇ、男なら声をかけるべきだ!」


夏川は小走りでいってしまった。

美崎さんは俺たちのクラスでもっとも可愛い女子なんだが、その性格上男に自分から話しかけるようなことはしないので俺も夏川も別段親しいわけではない。


「・・・しゃーないか。」


俺はそうツイートして、一応夏川の後をついていく。


「わ、私は本を買いに来てて・・・」


美崎さんがおっかなびっくり答えていた。夏川のヤツ「何しに来たの?」的な質問をくい気味でしたのだろう。

かわいそうにこんなに震えて・・・寒いのかい?


「ま、牧田くん」


「よう。夏川にちょっかい出されたなら通報するの手伝うぞ。」


「あはは」


美崎さんは少し困ったようだが笑ってくれた。


「おい、卓郎なんてこと言うんだ!ちょっかい出しずらくなっただろ!」


そうか、これがうわさに聞く人間のクズか


「えぇ?」


美崎さん、君は君でおびえるなよ。


「美崎さんの家ってどっちだっけ?送って行くよ!」


夏川が弾んだ声で言った。

お前は一度鏡を見るべきだ、そして打ちひしがれるべきだ。


「いやぁ・・・そ、それは夏川くんに迷惑だから。」


そうか、これがうわさに聞く聖女か。


「ほら、美崎さん困ってるだろ。あんまり調子に乗らない方がいいぞ。」


「じゃあお前は美崎さんを一人で帰らせてもいいのかよ!」


「あのなぁ・・・」



ドカーン!!



突然俺たちの日常をぶち壊したのはその爆発音だった。

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