第二話-過去-
『私は忘れられない、父の笑顔。』
学校から帰ると家の中は真っ暗だった。温もりの無い無造作に積まれた書類の上に、小さなメモが置いてあった。
『今日から一人で暮らしなさい。私はどこかへ行くから、もう子供じゃないんだからね。机の上に二万円置いてあるから足りなくなったら、アルバムのお金使えば?あいつの遺品だから。 夕子』
お世辞にも綺麗とはいえない母の字を私は千切り捨てた。もうこの家には誰もいないんだ・・・。私は父のアルバムを引っ張り出した。
父はアルバムに新札をコレクションするのが好きだった。小学生になってからは、私もお年玉を貰うたびにアルバムに挟んでいた。父のアルバムには、小さな頃の私がたくさん写っているが、母の写真は一つもない。母は私を産んでから父と別居をし、あの日も父のために涙を流すことは無かった。そう・・・あの日・・・
父は笑って私を学校へ送ってくれた。その時が父を見た最後になった。昼休み、いきなり先生が蒼白な顔をして私を呼んだかと思うと、いきなり病院へと車を向かわせた。その車内で私は父が事故に巻き込まれたことを知った。それは、父の働いてた工場で、作業ミスにより火災が発生し、助けにいった父が大やけどを負ったということだった。病院に着くと、母がイスに座って天を見ていた。私は母が苦手だった。タバコ臭い息をかけられるのが嫌だった。父を置いてどこかへ行ってしまったのも嫌だった。母を横目に病室へ入ると、白い布を顔に掛けられている人がベットの上にいた。
「政志なら死んだわよ」
母が軽く言った。そして帰ると手を引かれ、暗い家へと帰ったが母は何も言わずに、寝てしまった。私は何があったのか分からずに父が死んだ、ただその言葉が繰り返し繰り返し頭を通過した。
「あっ」私は何度も繰り返しアルバムを見ていた。「この人・・・」ある人の顔に目が止まった。それは、海という名前の人で、今朝大丈夫と声を掛けてくれた人だった。「父の同僚だったんだ・・・」私は、声を掛けてくれたことが嬉しかった。母がいない今、私はこの発見に少しだけ光を見出した。
『俺は忘れられない、あの過去を。』
お読みくださったかたありがとうございます。
二話目です。
何か幼稚な文章ですみません
頑張って書いてますが
なかなか美味く表現できないふしがあります・・・
まだまだ続きますがぜひぜひ続きも読んでいただくと感謝です。