ep.2 旧友との再会
久しぶりに旧友と再会した。
駅前のカフェの片隅で向かい合う二人の笑顔は、眩しいほどに自由だった。
一人は外資系でキャリアを積み、早期退職して悠々自適な生活を手に入れた者。
もう一人は資産運用を始め、数字の世界で時間をお金に換えて自由を手に入れた者。
その笑顔を見て、時間の流れ方の違いがはっきりと分かった。
同じ世代で、同じ街に住んでいたはずなのに、自分だけが置き去りにされたような感覚。
小さなため息が口をつく。
「どうして、あいつらは…」
言葉にはならない問いが頭の中を巡る。
努力が足りなかったのか、それとも運がなかったのか。
それとも、そもそもルールが違ったのか。
旧友たちの話を聞くほどに、自分の生活のスピードの遅さが際立つ。
給料は横ばい、社会保険料や税は増える一方。
住宅ローンの審査に静かに弾かれ、親の介護や自分の老後が少しずつ迫る。
ニュースで株価最高値、景気回復、雇用改善と騒いでいても、自分には届かない。
胸の奥がざわつく。
何かを理解してしまった気がする。
自分が、長い時間の中でずっと後れを取ってきた存在なのだと。
そして、その差は、自分の努力だけではどうにもならないことのように思えた。
旧友たちは、時間の流れの中で巧みに自分の場所を作った。
自分はただ、同じ時間を同じように過ごしてきただけだった。
目の前の笑顔を見つめながら、静かに思う。
「時間の流れって、どうしてこんなに違うんだろう…」
答えはない。
ただ、胸の奥で小さな違和感と悔しさが、じわじわと膨らんでいった
あとがき
この頃の自分は、旧友の成功を目の当たりにして、ただ胸の奥で劣等感に苛まれていた。
妬みや羨ましさが強すぎて、称賛するどころではなかった。
今振り返れば、あの違和感は、単なる劣等感だけではなく、社会の仕組みや構造に対する小さな気づきだったのかもしれない、と、思える。




