表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/50

第48話 ライザール・エケシュ神官

『あなたがミシェルお嬢様の娘で、ルルアーナお嬢様ですね。私はライザール・エケシュと言います。ライザールと呼んでください」


 ミシェルというのは、お母さんの本名だよ。ルナール城に帰ってきてからは、本名で過ごしているの。


 ライザール様は穏やかそうな表情をした神官様で、青い目と、元は金色だったと思われる白く長い髪を背中に垂らしたおじいさんだった。腰に着けた飾り紐が金色だから、高位の神官様なんだと思う。


「ライザール様。私はルルアーナです。本日はルナール城へお越しいただきありがとうございます」


 ライザール様にご挨拶しながら、深々と頭を下げた。


 お母さんにカーテシーを習っているけど、あれは貴族がするものだから、わたしたちを家族と認めていないエレーナお祖母様の前ではやらないほうがいいと思う。だから、お辞儀にしたんだよ。


「ほう。これはこれは。どうぞ、顔を上げてください。今日の私は、オルクス様の友人として訪れたのです。神官のひとりではありますが、オルクス様の友人として扱っていただけると嬉しいです」


 え?オルクスひいおじい様の友達なの?だから、わたしのため高位の神官様が来てくれたの?


「ライザール様。その子は、ラングレー家の者ではありませんのよ。親しくしていただけるなら、どうぞ孫のゼクスをよろしくお願いいたします」


 ほらね。エレーナお祖母様は、わたしが一族の者ですらないという態度でしょ?お母さんがお父さんと駆け落ちしたことを未だに怒っていて、ふたりの間に生まれたわたしのことも恥さらし者と思っているんだよ。


 エレーナお祖母様はいつもこんな調子だから、わたしもお母さんも慣れてしまったよ。お父さんだけは、暗い顔になるの。お父さんも、そろそろ慣れていい頃なのに。


 ライザール様はエレーナお祖母様に曖昧に笑って、足を離れに向けた。まだ、離れの敷地の入り口だからね。


 離れに入ってすぐは広いリビングになっていて、普段ここで皆が過ごすことが多いのだけど。今日は人が多く来ることがわかっていたから、家具を壁際に寄せてあるの。


 ところで。さっきからエレーナお祖母様が周囲をキョロキョロと見回している。お気に入りのティガが、どこかから現れないか探しているみたい。


「さて。早速ですが、儀式を始めましょうか。ルルアーナ様、準備はよろしいですか?」


「はい。よろしくお願いします」


 わたしとライザール様は部屋の中央に立ち、周囲に大人たちが見守るように立った。


 次にライザール様は神様に対する祈りの言葉を捧げた。祈りの言葉が終わるのを待って、わたしはライザール様の左手の指に嵌めた指輪に触れた。ライザール様の指輪には紫色の魔石が嵌っていて、綺麗な光を放っている。


 わたしが指輪に触れると、指輪の光が強くなり、わたしの全身を包んだ。


 あれ、わたしの全身を包むこの光に、ティガとアルの魔力を感じるよ?どうしてかな………。


 目が眩むような激しい光が収まると、ライザール様は驚きと興奮に顔を紅潮させていた。


「ルルアーナ様、素晴らしいです!」


「あ、はい?」


「あれほど強い祝福の光を見た初めてですよ!」


「そうですか?」


「ええ、そうです!ルルアーナ様、私の魔力を感じますか?」


 ライザール様はわたしの両手を取ると、魔力をほんの少し流してきた。ライザール様の魔力がわたしの右手から入り、わたしの身体の中を通って左手から出て行く。


 これは、魔法を使ったことがない人に、自分の中にある魔力を感じてもらうやり方だよ。


 ふふっ。こんなことしなくても、わたしは魔力を感じられるし、魔法を使えるのに。


「はい。ライザール様、魔力を感じます。魔法を使ってみてもいいですか?」


「ええ、もちろんです!種火の魔法にしますか?それとも、コップに水を満たす魔法?物を綺麗にする魔法もいいですね」


 ライザール様は、わたしの手を離して隣に並んだ。ワクワクした表情で、三つの生活魔法について教えてくれる。


 そうだね。せっかく人前で魔法を使えるようになったのだから、思いっきり魔法を使いたい!………けど、目立つのはよくないので、人前で魔法を使うときは控えめな魔法にするように言われているの。残念。


「種火の魔法をやってみていいですか?」


「はい。では、トーチと………」


 ゴウッ!


 わたしの右手の人差し指の先から炎が立ち昇り、隣にいたライザール様の顔を照らした。


 ………というのは冗談で、指先から青い小さな火が出た。うん。ちゃんと加減できた。力いっぱい魔法を放つのは簡単だけど、細かい調節をするのは難しいんだよね。


「ライザール様、できました!」


 笑顔を作って隣を見ると、なぜかライザール様は驚きわたしの指の先にある火を見つめていた。


「………ルルアーナ様。いま、魔法名を唱えずに魔法を使いましたね?」


「そうですね?お母さんもお父さんも、魔法名を言わないので、そういうものかと思っていました。違うんですか?」


「ええ。普通は、魔法名を口にすることで魔法は発動するのですよ」


 




 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ