表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

リオネの嫉妬

第9幕 リオネの嫉妬



学園に入学してから月日は巡り

最高学年となったローズ。

卒業の足音が聞こえる中

今日は、ローズの17歳の誕生日の日。

毎年必ず、お父様やお兄様が王都の別宅で

マルク王子様達を呼んでは、パーティーを開いていた。


お父様とお兄様が討伐遠征に向かうことが

急に、決まって当日のパーティーが延期になったと

侍女のメイから手渡され手紙を読んだ

ローズは仕方ないと思っていても、やはり寂しかった。


今年は、学園の創立祭の休みも重なり

外出や外泊でほとんど生徒達は、帰省していたりと

学園の中は、とても静かだった。


「ゆっくり本でも、読もうかしら。」


図書室のドアを開けて中に入ると

誰も居ない図書室は、静かでゆっくり本や

魔法の書を読む時間には、最適だとローズは

持ってきた書物を、机に置くと椅子に座り

読み漁っていた。


どれくらいの時間が過ぎたのだろうかと

図書室の時計を見ると、お昼の時刻。


図書室の窓を見に近付くと

風がサッとカーテンを揺らして

木の上に誰かが寝転んでいるシュルエットに

ローズが窓の方へと、近付いた。


「ショーン?」


木の上で寝そべり

大きなあくびをするショーン。

そんな彼の姿にローズが抑えてクスッと、笑った。


ローズが、窓枠によじ登り

制服のスカートの裾を持ち上げて

木に飛び乗ろうとした。


「馬鹿!危ないだろ!」


「大丈夫よ!これでも、小さい時は

木登りは、得意だったんだから!」


窓枠に足をかけるとショーンが手を伸ばしたが

見事に制服の裾を踏んで足が滑り

ローズの悲鳴が図書室に響いた。


「キャッ!」


「ローズ!」


ショーンが、咄嗟に浮遊魔法使い

ローズの体を浮かせていた。

ショーンが魔法を使うのを初めて見た

ローズがポカンとした顔で

ショーンの顔を見ていると

フワッと杖を振り、ローズの体を抱き抱えた。


「バカ野郎!怪我でもしたらどうするんだ!」


「ご、ごめんなさい…。」


ギュッとショーンがローズを抱きしめると

彼の心臓の音が早馬のように波打つ音が聞こえ

ローズも、ショーンの胸に抱きしめられてるせいかいつもよりも、心臓がドキドキしていた。


「バカ騒ぎパーティーは、やんないの?」


「今年は延期なの。お父様もお兄様も急な討伐で…。」


「毎年、派手にパーティーとか、よくやる親父さんだよな。」


ショーンがポケットからりんごを取り出すと

ローズの頭にりんごを置いた。


「やるよ。」


「いいの?」


「食わないなら、俺が食うけど?」


「ショーン、ありがとう。」


ローズの柔らかな笑顔が好きな

ショーンもまた、笑みを零した。

話していると時間はあっという間に過ぎてしまい

寮の門限の時間に。


ショーンの魔法で地面に着地をし

歩こうとした時、ローズの足首に、痛みが走り

痛がるローズの姿を見たショーンが体を抱き上げた。


「寮まで、送る。」


「重いでしょ?降りるよ。」


「全然軽い。てか、もっと食えよ。」


「食べてるんだけどな…。」


「掴まってろ。落ちそうで、抱えにくい。」


ショーンに言われて

落ちないように手を回して

しがみつくローズ達の姿を

図書室へ行こうとしていた

リオネが物陰から見ていたのだった。


「あー重かった。」


「歩くって言ったのに…。」


ショーンの胸板を、叩いて降りると怒る

ローズの手を掴んで、彼女の額をコツンと

ショーンが、指でつついた。


「冗談だよ。じゃあ、また明日な。」


寮から離れていくショーンの後ろ姿と

つつかれた額に手を当てながら

オレンジ色の夕日がローズの頬を赤く染めあげた。


「ショーン様って、お優しい方なんですね。」


後ろから声がして振り返ると

メイが口元を抑えながら、ローズを見ていた。


「メイ、ち、違うわよ!

ちょっとドジをして、足を捻ってしまったの。

自分で歩くって、言ったのに、けど無理やり…。」


ショーンのアプローチすら

最初は、ほとんど見向きもしなかったローズ。


最高学年になると、それぞれの忙しさも重なり

マルク王太子殿下、リオネ、エリオスと

一緒に居る機会もどんどん減っていき

ショーンとローズの時間が増えていた。


木の上で一緒にりんごを食べたり

お喋りする中で、彼は思ってる程

悪い人ではないのかなと

ローズの中で、彼を意識するように。


創立記念日明けから数週間して

マルク王太子殿下が婚約パーティーを開く事になり

学園生徒、全員の参加となった。


お父様やお兄様、マルク王太子殿下

エリオスやリオネやも会えることが楽しみだった。


「俺は、行かない。」


中庭の木の上で、寝転ぶショーン。

ローズが、マルク王太子殿下の

婚約パーティーの話を出すと

ショーンが急に冷たく、断った。


「ショーン本当に、行かないの?」


「俺は、パス。」


せっかくのパーティーなのにと

ローズは、後ろ髪を引かれながら

中庭を後にしたのでした。



ー婚約パーティー当日ー


「はい。出来ましたよ、お嬢様。」


「メイ、ありがとう。」


ローズのドレスは、淡いブルーの少し胸元が見えて

体のラインが綺麗に見える大人な、ドレスに仕上げていた。


髪は、おろしたまま小さな花飾りを髪につけて

パールのネックレスと

昔お父様からもらった薔薇のネックレスを重ねて

刺繍の手袋をはめると馬車で会場へと向かった。

会場のエスコート役をお兄様にお願いしたのに

迎えに来ないまま、馬車で待つことに。


「もう!お兄様、遅いわ。」


コンコンと馬車の扉のノックが聞こえ

ドアが開くとそこには、お兄様ではなく

タキシード姿のリオネが手を差し伸べて立っていた。


「レディー、お迎えに上がりました。」


「リオネ様?どうして?」


「護衛の関係で、ローズのお兄様から

エスコート役を頼まれたんだけど、駄目だったかな?」


リオネが、優しく笑いかけると

ローズは小さく首を振り、手を置いた。


「リオネ様と会うのが久しぶりのせいか

また、背が伸びましたか?」


「そうかな?自分では、気付かないんだけどね。」


初めて会った時も入学当初も

口数の少ないリオネだったが仲良くなるにつれ

柔らかな、話し方に打ち解けれるように。

友達のような、もう一人の兄のように感じていた。


(貴女の笑う笑顔は、あいつに…。)


リオネが突然、歩くのを止めると

この間の笑顔を思い出し、奥歯を噛み締めると

リオネが突然、ローズの手を掴み

パーティー会場とは違う方へと走り出した。


「リオネ様、どちらへ?」


リオネは黙ったまま、振り返らずに

ローズの手を引っ張り

人気のない中庭で、ローズの手を離すと

腰を掴んで、彼女の体を引き寄せた。


「ローズは、彼の事が好き?」


「リオネ様?」


彼の真剣な眼差しに目が止まったローズ。

リオネの唇が、ローズと重るのだった。

しばらくぶりの更新となり、申し訳ないです。

少しづつまた、小説を更新できて行けたらと

思っていますので、お待たせしてしまうかもですが

お待ちいただけたら幸いですm(*_ _)m



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ