月夜の告白
第8幕 月夜の告白
ローズに、唇を重ねたのは
ショーン・コリー。辺境伯の養子として
この王都学園へ入学したが、素行が悪く留年し
ローズと同じ一学年として、学園に来ていた。
「今日の所は、これでチャラにしてやるよ。」
ショーンの顔を見た、ローズは呆気にとられて
手に持ってたサンドイッチの袋を
彼に押し付けると、その場から走り去った。
「本当、飽きない女だな。」
袋の中の、サンドイッチとりんごを取り出して
口に頬張ると、木の上でショーンが
次は、何して遊ぶか考えていた。
(何の迷いなく、キ…キスするなんて…。)
教室に戻り自分の席に座ると
制服のポケットからハンカチを取り出して
唇を何度も擦っていた。
「そんなに、擦ると唇、切れちゃうよ?」
「ローズ、お昼休み何かあったの?」
マルク王子達がお昼からの登校に
びっくりしながら慌てて、否定するローズ。
エリオスが、何かを察した顔で笑った。
「これは、なんかあったな。」
ボソッとエリオスに言われたローズは
教科書を広げて顔を隠すローズを見て
ミシェル達が、睨んでいた。
数週間がすぎ、あの事故のことは
すっかり忘れていたローズは
マルク王子、リオネ、エリオスと
その日は、一緒にお昼ご飯を食べていた。
ミシェル嬢達が食堂を見渡すと
ローズ達が座ってる席の前で、立ち止まった。
「失礼しますわ。先日のお昼休みに
とある男子生徒と、ローズ・ドール嬢と
二人で、密会していた件を
生徒会長に、お伝えに上がりましたわ!」
ガシャンと、ローズが手に持っていた
スプーンが床に落ちる音が、食堂に響くと
生徒の視線が、ローズに集まっていた。
「しかも、素行がよろしくない生徒と…。」
口元をハンカチで隠し
ミシェル嬢が横を向いて涙ぐむ姿を見ると
後ろにいた令嬢達が、一斉に声を上げた。
「シュタイ様!あろうことか、複数人の男性と
親しげにする、ローズ嬢は、淑女として、ありえませんわ!」
「この学園の秩序が、汚れてしまいますわ!」
ローズが何も言えないまま、制服の袖を両手で
ギュッと握り、俯いてる姿を横目に
ミシェル嬢は、小さく笑みを零すと
これで王子達に嫌われて、孤立すると思っていた。
「その場面を、見たと言うのかな?」
「それは、別の生徒から、聞きましたわ!」
「それって信ぴょう性は、ないんじゃ?」
マルク王子が答えたが、令嬢達の反論する声に
ローズは、どう答えるべきなのか分からず
ずっと、黙ったままだった。
「彼女から真実かどうかを、まだ聞いておりませんわ!」
「そうですわ!この件は、事実なのかしら?」
「それとも、違うと仰るのかしら?」
どう説明しようかと考えるローズに
ミシェル嬢がパチンっと扇を手で閉じた。
「黙ってらっしゃるってことは、事実を認めたと
解釈して、よろしいのかしら?」
次の瞬間、バンッと、トレーを叩きつける音が
食堂に響くと、周りのざわつきがシンと静まり返った。
「飯が、不味くなる。」
隣を見ると、白銀の髪がなびく彼の口調に
令嬢達が小さく悲鳴をあげて後ろに、引き下がった。
「こいつとキスした件?
俺からしたけど?で、俺に文句でもあんの?」
彼からの突然のカミングアウトに
その場が凍りつき咳を切ったかのように
ミシェル嬢が失笑した。
「やはり、噂は本当でしたわ。
この学園で、野蛮な行為ですこと!」
「キスの一回くらい、誰でもするだろうに。
真面目なご令嬢様は、キスすらないとか?」
馬鹿にして笑う彼に食堂で聞いていた
生徒からも、ちらほらと笑い声が聞こえ
ミシェル嬢の顔が真っ赤になり
身体を震わせ反論をした。
「関係ない話は、およしになっては!」
激昂するミシェル嬢を横目に
彼が席を立つと、ローズの隣に座った。
「まあ、俺はお前らより断然
この令嬢のが、面白いし気に入ってるんだよね。」
皆が注目する中、ローズの頬に突然キスをする
彼の姿にマルク王子は唖然とした顔で
エリオスは、小さく口笛を鳴らし
リオネは、憤りからショーンの胸ぐらを掴んだ。
「汚い手で、彼女に気安く触るな!」
ローズは、何も言わず足早に食堂を去って行く
後ろ姿を目で追っていたリオネ。
「なるほどねー。」
リオネの手をいとも簡単に振りほどくと
彼もまた食堂から、出て行った。
「わっ!ロ、ローズお嬢様?」
寮に帰って来たローズの顔を見ると
今にも泣き出しそうな表情に慌てたメイ。
「お嬢様?」
メイが優しくローズを抱きしめた。
部屋の中に入ったきり、出てこないローズを
心配しどうすればいいのか
旦那様に報告すべきか、メイは悩んでいた。
いつの間にか泣き疲れて眠ってしまった
ローズが目を覚ますと、部屋の中は暗く
月明かりだけが、部屋の中を照らしていた。
ベッドから降りると窓を開けると
心地いい春風に、気分が少し楽になるのを感じた。
テラスに出て、ぼんやりと月を見ていると
トントンと、誰かに肩を叩かれ振り返ると
白銀の髪色の彼が立っていて
叫び声を上げそうな、ローズの口元を慌てて
手で彼が抑えた。
「シーっ!」
シャツのボタンが外れていて
彼の首元には
赤い印 がついているのが見えた。
「あーこれ?マーキング。」
彼がトントンと、首元を指で叩いた。
「それはそれは、よろしいようで。」
ショーンが小さく笑った。
「もしかして、妬いた?」
「ご冗談を。それと、貴方様のお名前も
存じ上げないのに、こんな夜更けに私の部屋まで
押しかけて来るなんて、常識に反しますわ!」
ショーンが、ローズの手首を掴んで離さない。
「俺の名前は、ショーン。俺と付き合う?」
いきなりなり何を言い出すのかと思った
ローズは、バッとショーンの手を振りほどいた。
「お戯れがすぎるようで。」
部屋に戻るローズ。
ローズが、バルコニーに戻って来ると
手に持ってた紙袋をショーンに手渡し
怒った声でローズが
「この前は、とても助かりましたわ。
それでは、ショーン様、ご機嫌よう。」
一言お礼を言うと、ローズは来た道を戻り
バルコニーの扉の鍵とカーテンを閉めた。
月明かりが眩しすぎる程に
ショーンのイタズラに彼が
一体何を考えてるのかが、分からず
ベッド中に潜ると眠れないまま
ローズは、目をギュッと閉じるのでした。
3日前から胃腸の調子が悪く今日病院へ行くと
胃腸炎となった、猫又 マロです。
すっかり春の陽気となり、花粉症やらでダウンしていた矢先の胃腸炎。読者の皆様も、季節の変わり目体調など気を付けてくださいね!
登場人物の名前を編集きちんと出来てなく
大変見苦しい小説で、申し訳ありませんでした。
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よければ、応援よろしくお願いいたします(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”✨