嵐の夜の夢
第6幕 嵐の夜の夢
王室でのパーティーの後
お父様やお兄様と屋敷で一緒に休日を過ごし
お休みも開けた頃、お仕事へと出発して3日後
その日の夜は、ドール家に雷鳴が轟きました。
屋敷の近くに雷が落ちる音がしては
ローズが怖がって、悲鳴をあげていた。
「メイ怖いわ!雷が落ちてきたら…。」
「お嬢様、このお屋敷は安全でございますよ。
旦那様の結界が貼って、ございます。」
「きゃああああっ!」
毎年必ず春の訪れる時、毎年の嵐の夜。
ローズは、何年もこの嵐だけはなれずに
耳を塞いでも聞こえる
落雷の音に体を震わせていた。
「さあ、お嬢様もうすぐお休みの時間です。」
「メイ、怖くて眠れないわ。」
「お嬢様が、眠るまでお傍にいますよ。」
ベッドの隣に置いてある椅子にメイが座ると
ローズが手を伸ばしてメイの手を握っていた。
そんなローズにメイが、お話をしていると
落雷の音が遠ざかり嵐の夜が過ぎ去ろうとする頃
ローズの寝息が、聞こえメイが
ソッとローズの体にシーツをかけ直した。
「お嬢様、お休みなさいませ。」
ローズが寝入ったのを見て
メイが明かりを消して、静かに部屋を後にした。
『ナ…。』
(誰かが、呼んでいるわ。)
『セレーナ!!』
『んっ…個々は...?』
ベッドの中で目を覚ますと
自分の部屋じゃないことに気付いた
ローズがベッドから起き上がり部屋を見渡した。
隣で手を握って心配そうな顔で私を見ている
男の人に目が止まった。
「薔薇の香り…?」
「セレーナ、大丈夫?」
自分の手じゃない白く長い指に
体の大きさも自分の体じゃないことに気付くと
ローズは慌てて、ベッドから飛び降りると
ドレッサーの鏡を覗いて自分の顔を見て驚いた。
「だ、誰?」
靡く長い赤髪に、赤い瞳色
肌は陶器のように白くまるで
別人の自分を見ているような感覚に
ローズは、自分の顔を手でぺたぺたと触っていると
私の顔を横から覗き込むように、男性の顔が見えた。
「きゃっ!」
ローズが後ろによろけると
男の人に腰を支えられて、抱きしめられた。
「セレーナ、まだ熱があるんじゃ?」
私の前髪をかき分けると
額に彼の額がコツンと重なり
何が何だか分からず、意識がまた遠のくと
聞き覚えのある声に、ローズが目を覚ますと
メイが名前を呼んでいた。
「ローズお嬢様、おはようございます。」
「セレーナって、誰かしら?」
飛び起きるローズに、メイが部屋の
カーテンを開けながら、クスッと笑った。
「寝ぼけていらっしゃる、ローズお嬢様も可愛いですよ。」
「メイおはよう...って違うの!
えっとね、私は私で、その人はセレーナって
呼ばれてて、ローズなのに…。」
あたふたと頭を抱えるローズを見て
メイが運んできた紅茶をカップに注ぐと
混乱しているローズの傍に行き
「んー。お熱はございませんね。」
メイがローズの額に手を当てながら熱を測り
ローズに紅茶の入ったカップを手渡すと
説明できないもどかしさにムッとしていた。
「お嬢様、本日の夕刻頃に旦那様と
お兄様が、お帰りになりますよ。」
「いつもより早いお帰りでよかったわ。
メイ急いで、クッキーを焼く準備と
夕食のメニューは…。」
さっきまで、混乱していたローズは
討伐に出たお父様やお兄様が
今日帰って来る嬉しさですっかり
不思議な夢のことを忘れるのでした。
ー夕刻ー
「旦那様と、坊っちゃまのお着きです。ローズ様それから、お客様が…。」
せバスが、ローズに何か伝える前に
話も聞かないまま、部屋から飛び出すローズ。
メイが、後ろで何か叫んでいたけど
ローズは、気にも止めずドレスの裾を掴んで
玄関ホールの階段を早足で降りていると
お父様たちが、玄関に入ってくるのが見えた。
「お父様!お兄様!」
ローズが手を振り呼びながら階段を
駆け足で降りてる途中、ドレスの裾を踏んでしまい
階段から、転げ落ちそうになり
ローズの体がフワッと宙に浮いた瞬間
メイとお父様とお兄様の悲鳴が聞こえた。
「あれ、痛く...ないわ…。」
ソッと、ローズが目を開けた。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
目を開けるとパーティーの時に
私を抱き抱えてくれた黒髪の執事だった。
「ローズ!!」
お父様とお兄様が駆け寄り
私の体をくまなく触っては痛くないかと聞かれた。
それよりも、お父様の後ろでマルク王子様が
お腹を押さえて笑うのを我慢してる状況に
急に恥ずかしくなったローズの顔が
真っ赤になりながら、固まっていると
執事がスっと立ち上がった。
「旦那様、お嬢様のお部屋は?」
「こっちだ。」
お父様が私の部屋に案内し
自室のベッドにソッと降ろされると
執事が、スっとお辞儀をして部屋を後にした。
お父様がセバスに医師を今すぐにと
叫んでいたりして大事になってしまい
反省した、ローズ。
「お父様、お兄様、本当に怪我はありませんわ。」
「嫌、ローズに何かあったら、いけないから。」
「そうだぞ。後から痛みが出るかも知れない。」
マルク王子様にも、執事の人にも
申し訳なさからローズはベッドの
シーツの中に顔を隠した。
医師の診察は特に異常がなく
ローズの隣で、安堵するお父様とお兄様。
「ローズ、お前はお転婆すぎる。」
翌朝、朝食にローズが顔を出すと
お父様が、ため息をついてお兄様は
うんうんと、頷きながら紅茶を飲んでいた。
「おはよう、ローズ嬢。」
マルク王子様が、小さく笑いながら
ローズを見ていて隣には
マルク王子様の昨日、助けてくれた
執事の人が、静かに立っていた。
「お父様、お兄様、それからマルク王子様、
皆様、ごめんなさい。」
落ち込む中、ローズ。
もう少し大人しくしていようと席に座ると
隣でマルク王子様が
「ローズ嬢もうすぐ、王都の学園に入学だね。」
「はい、マルク王子様。
後一年したら、私も学園へ参りますわ。」
「同じクラスになると、いいね。」
学園の話をしたり、お父様やお兄様と
つかの間の休みをローズは、過ごすのでした。
その後、ローズは、兄に少し叱られたローズ。
どんなストーリーにするか、どんな風に想像してもらえるような場面にするかとか色んなことを、ぼんやりと考える時間が好きです。
それでは、次回のお話もお楽しみ( *´꒳`*)
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