初めての王室
ー第4幕ー 初めての王室
ローズが10歳になり、あと1年程で
兄ハインと同じ王都の学園に
入学することが、決まった。
オルの過保護ぶりと、親バカは
ローズが成長する度に拗らせていた。
貴族の子供は、必ず王都の学園を
卒業しなくてはいけない決まりに
オルは、毎日頭を悩ませていた。
「セバス、ローズを学園に行かせたら
万が一、変な男たちがローズに...。ああああっ!!」
「旦那様、変な妄想は、お控え下さい。」
「そうか、そうだ!私が学園に入学すれば...。」
「旦那様、年齢的に無理でございます。」
「セバス!!」
首を振りながらカップに紅茶を注ぐセバス。
オルは悩ましい日が続いた
そんなある日一通の手紙が、オルの元に届いた。
手紙の中身を確認すると、国王陛下の息子
第一王子の誕生日パーティーを盛大に開くので
ぜひドール家も出席するようにと、書かれていた。
「セバス!何故、今なのだ!
悪い虫どもに、ローズを見せたくないのに!!」
「旦那様、諦めてください。」
オルは顔を抱えながら執務室の机に
項垂れているとコンコンと執務室のドアを
ノックする音がした。
「お父様?入ってもよろしいでしょうか?」
「おお!ローズか!入りなさい。」
日に日に、マレンに似てきたローズは
可愛らしさもあるが、不意に見せる
可憐な美しさに、ボソッとセバスに耳打ちをした。
「今すぐに、辺境の地にローズを...。」
「旦那様、王妃様からのお手紙です。」
容赦ない突っ込みに、セバスを睨んだ。
そんな睨みも、ものともしないセバスは
背筋を伸ばしたまま、オルの隣に立っていた。
「お父様に、薔薇の花とクッキーを作って持ってきましたの!」
「ローズが詰んできてくれた、薔薇の花も
焼きたてのクッキーも、とてもいい匂いだ。
お茶の時間にしようか。セバス用意を。」
スっとセバスがお辞儀をすると
部屋を後にし、お茶の準備をしに行った。
ローズは、執務室のソファーに座り
クッキーをお皿に並べていた。
「ローズ、来週の夜に王宮で
王子様の誕生日パーティーがあるそうだが
ローズは、行きたいかい?」
ローズがパッと私を見て、笑顔が弾けた。
「まあ!私、王宮へ行っていいのですか?」
「ただし、お父さんとハイン傍から絶対に、離れないこと。
一人になってはいけないよ?約束できるかな?」
「ええ!お約束しますわ!」
「よし、分かった。ドレスを新調するから
明日、お針子を呼ぼうか。」
「ありがとうございます!お父様!」
私の首に飛びつくローズの嬉しそうな
笑顔見たら、観念するしないかと不安はあるが
もうじき屋敷を離れる娘も淑女として
王都や王室や、他の令嬢との社交の場を
経験する、いいきっかけになるかと思った
オルは、キャッキャッと喜ぶローズに
とびきり可愛く、美しいドレスを作るよう
お針子に伝えたのだった。
そして、数週間後の夜
王都に行く日になり支度に
侍女や側仕えのメイが、バタバタしていた。
「はい。お嬢様これで完成でございますよ。」
姿見を見ると、綺麗な淡い黄色のドレスには
薔薇の刺繍が編まれていて
綺麗なシルクのドレスに宝石がいくつも
散りばめられ輝いていた。
黄色の薔薇のピアスに、髪はお団子にまとめあげ
ローズは、どこから見てもプリンセスのようだった。
「わあ!メイ、素敵、素敵!プリンセスみたいだわ!」
キャッキャッと喜ぶローズの姿を見て
メイも、他の侍女たちも微笑んでいると
扉のノックの音を聞いたローズは嬉しそうに
ドレスの裾をもって、ドアを開けた。
「お父様見てください!」
クルクルと回って、ドレスを見せるローズの姿は
亡きマレンの写し絵のように可憐さが輝き
ポカーンと口を開けたまま
ローズの姿を見入っていると
セバスが、咳払いをした。
「ローズのあまりの可愛らしさに、つい見とれてしまったよ。」
「お父様が、素敵なドレスを作ってくださったおかげですわ!」
馬車に乗り込み、王宮に向かった。
「そうだ。ローズ後ろを向いてごらん。」
「何かしら?」
ローズの胸元には、小さな赤い薔薇の周りには
小さなダイヤモンドが囲うように
細工されていてキラキラと、輝いて見えた。
「可愛いお姫様に、プレゼントだよ。」
「ありがとうございます!お父様!」
ローズが何かあった時ように、防御魔法とすぐに
居場所を感知出来るように魔法が法付与されている
特注ネックレスだとは、思わなかったローズは
馬車から、段々と近付くお城に胸が踊るのでした。
「さあ、ローズ着いたよ。」
「お父様、すっごく大きいお城だわ!」
キョロキョロ辺りを見渡すローズの顔を見て
連れてきてよかったと、胸を撫で下ろすと
「父様!ローズ!」
「あっ!ハインお兄様!」
タッタと走るローズを見てハインが
「ローズ、転ぶよ!」
背が高くなった兄ハインの腰に抱きつくと
パッと顔を上げて、ローズが笑う。
「ハインお兄様!会いたかったですわ。」
「ローズ、僕もだよ。」
ハインの手を握りながら、お父様の元に戻ると
執事がパーティー会場の扉を開けて中に通された。
「ドール公爵家の皆様、ご到着!」
「さあ、ローズ、ハイン行こうか。」
お父様とハインにエスコートされて
会場の中に入ると、広いホールには沢山の来客の人
上を見て見ると、キラキラと輝くシャンデリアに
目がチカチカして、ローズの通る場所全てに
沢山のご馳走がズラっと並んでいた。
ローズが、ハインの袖をツンと引っ張ると小声で
「お兄様、私、お腹が空きましたわ。」
「ローズは、相変わらずだな。」
お父様とお兄様に、小さく笑われると
頬を膨らまして怒るローズも可愛いなと
二人して顔がにやけていた。
「オル達、よく来てくれた。」
「国王陛下、王妃様、そして王子様
今宵のご招待、誠にありがとうございます。」
お父様が挨拶すると、ハインが膝をつき
ローズは、カーテシーをし国王陛下に挨拶をした。
「オル、そんな堅苦しいのはよしてくれ。君が、ローズ嬢かな?」
「国王陛下、王妃様、お初にお目にかかります。
ローズ・ドールと申します。
本日は、王子様のお誕生日、誠におめでとうございます。」
カーテシーをしながら深く腰を落とし
お辞儀をすると、周りの令嬢や来客が
ザワザワとローズを見ながら、話を始めていた。
「まあまあ!可愛らしいご挨拶ありがとう。」
「私の息子だ。」
「今日は、我が誕生日パーティーに来てくれてありがとう。
私の名は、マルク・ローゼン・シュタイ。よろしくドール嬢。」
ローズの手を取ると、手の甲にキスをした。
それを見たオルの、眉間が引きつったのを
国王陛下が見るとまさかオルがここまで
親バカになってるとは、思わず声を出して
笑っていたのだった。ー続くー
書きたいことを、書いていたら2時間で
4000字近く書いてしまい、前編、後編で
お届けしたいと思ってます。
集中すると、なかなか歯止めが聞かない作者です(笑)
少しずつ閲覧数が増えてきて嬉しいです(*^^*)