恋の刺繍
メアリーの刺繍は、とても繊細で綺麗。アルス殿下にメアリーからのプレゼントとは?
第6話 始まります。
アルスの小さな恋が芽生え始めた頃
キュッと心に感じていたメアリー。
痛くはなかった、ただ何だか苦しい。
(アルス様に沢山贈り物を頂いたけれど
なにかお返し出来ないかしら?)
贈り物をジッと見つめてカレンにサインを送った。
「アルス王太子様から、連日のように
メアリーお嬢様に贈り物が届きますね。」
ジッとアルスが贈った贈り物を見てる姿にカレンが
「あ、メアリーお嬢様も
何かお返しがしたいのでしょうか?」
左の瞳から小さな雫が流れ落ちてサインを送る。
「そうでしたか。メアリーお嬢様は優しい
お心のお嬢様でしたね。メアリーお嬢様が
得意な刺繍と、この間作ったクッキーを王室に居る
ユラン様と一緒に差し入れしましょうか?」
また左の瞳から小さな雫がポタポタと流れ落ちた。
カレンは少しずつメアリーの気持ちが溶け落ちてる
涙に胸がギュッとなる気持ちと嬉しさでいっぱいになった。
「刺繍の柄を考えなくては、いけませんね。
王家の獅子の家紋に、剣を刺繍をして
その向かいに、我が家のバラの家紋を
小さく刺繍し、アルス王太子殿下の
お名前を刺繍をして完成!どうでしょうか?」
涙がまた流れ落ちてその図案をハンカチに
描いて、無理がないように針を1針、1針塗って
出来上がりに2週間後がかかった。
綺麗に洗濯をしてアイロンで綺麗な刺繍出来て
明日、クッキーを焼いてラッピングしたら
王室に持って行くことが、決まった。
ー翌日ー
アルス様の髪色の淡い黄色のドレスに着替えて
カレンに、可愛くしてもらい準備が整い
馬車で王城へ。
事前にお兄様には許可を得ていたので
王城には、すんなり入れて。
クッキーの件は秘密にし騎士訓練所を
見てみたいと言う名目でお兄様と逢った。
訓練は迫力と気迫が凄くて
ハラハラドキドキしました。
(お兄様には、嘘をついてしまいましたが
可愛い嘘ですから許してください。)
「休憩!」
お兄様の掛け声で騎士たちは汗を拭いたり
片付けをしたりして、各自昼休憩を挟んだ。
「メアリーお腹空いただろ?
応接室で一緒にサンドイッチを食べよう。」
お姫様抱っこされてる
メアリーと満面の笑顔のユランを見て
ほかの騎士がどよめき騒ぎ立てて
「なあ。あのユラン隊長があんな顔してるぞ!」
「めちゃくちゃ、微笑んでる!」
「あの噂の妹君、ユラン様が妹君を
愛してるってのは、本当だったのか!」
そんな声を無視して応接室で
ユランとメアリーで、ランチをしてると
バンッといきなり扉が開き
びっくりしたメアリーの瞳から
大粒の涙がボタボタ流れ落ちて
ユランがブチ切れて剣を抜こうとした。
カールが部屋に入り全力で止めて
隣の部屋まで首根っこを掴み扉がしまった。
「ごめん。びっくりさせて。」
アルスが謝りながらメアリーの目の前の
ソファーに座ると
小さな花を数本メアリーの目の前に差し出した。
メアリーの左の瞳からスーッと涙が流れ落ちた。
「嬉しい時の涙でございます。」
カレンがそう伝えると
アルスがメアリーの手を取り花を
手に花を持たせてアルスが帰ろうとした時
クイッと何かに引っ張られる感じがして
振り返るとメアリーがアルスの制服を
摘んで離さなかった。
その光景にカレンと
アルスがびっくりした顔してメアリーを見ていた。
「これを、メアリーお嬢様。」
ラッピングされたクッキーの袋と
小さな四角い箱を手に持って
アルスの顔をジッと見つめていた。
「お、俺に?」
「はい。メアリーお嬢様が自ら
サインを送りアルス王太子殿下の
お返しは何が良いのかを聞いてきました。
非常に稀であって、自ら行動を起こすのが
これが初めてでございます。」
(クッキーの袋を見て微笑んでるアルス様の顔
作ってよかった。)
「この箱、開けてみてもいい?」
先程と同じ涙がソッと流れ落ちた。
リボンがシュルッと外れる音とがして
箱を開けるとアルスの顔が驚いた顔と
目を丸くして箱の中身のハンカチを広げると
それをテーブルに置いて立ち上がると
メアリーの所に行きフワッと
メアリーを抱きしめた。
カレンはソッと部屋から出て扉の前で待つことにした。
「ありがとう。メアリー、俺こんな綺麗で
素敵な贈り物は、産まれて初めてだ。」
ギュッと抱きしめるアルスの熱の篭ったハグに
お兄様とは違う温かさと、匂いに涙が零れた。
パッと恥ずかしくなりアルスが離れると
メアリーの顔を見たアルスが
「え?メアリーの瞳の色が両方戻った。」
バンッと慌ててユランが部屋に入り
メアリーの瞳を見るとお兄様は泣きながら
「メアリーの綺麗な澄んだ青い瞳。
10年振りに見たよ。おかえり、メアリー。」
(お兄様が泣いてる。泣かないでお兄様。)
ソッとあの時みたいに、メアリーが
指でユランの頬を触って皆が驚いた。
「ああ、神よ。こんな嬉しい日があろうか。
妹メアリーの魂を、呼び戻してくれて
本当に、本当にありがとうございます。」
強くまたユランがメアリーを抱きしめて
痛いくらい抱きしめてくれたのだった。
お医者様も奇跡だと言わんばかりに驚いていた。
もしかしたら、話せるようになるかも
そんな奇跡も有り得るかもしれないと言われ
お兄様は、私を抱き抱えクルクル周り
アルスは、刺繍のハンカチを愛おしそうに眺めて
大切な想いが1針、1針塗ってくれたんだろうなと
胸の高鳴りが大きくなるのでした。
料理などは好きですが、裁縫関連は苦手なマロです。