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お兄様の帰還


私の宝物の薔薇のネックレスを盗られて

5年がたちました。


私メアリーは15歳になりましたが学校にも

通わされず5年前と同じ奴隷以下の家畜として

妹リリー、お義母様から虐げられる

毎日が続いていましたが

私の心は5年前に砕け散り泣く感情

怒る感情、楽しい感情全ての感情が

無くなりただ命令に動く人形となっていました。


それを面白がり気味悪がられて叱責や暴力も

酷くなり、私の全身は常に赤黒いか、青紫色に

肌が変色していましたが、痛みの感情すらなく

ただ殴られ続ける私を見てリリーは鼻で笑い


「泣きもしないつまらない家畜ね。

あ、そうだ、このドレスに薔薇の刺繍を

明日の朝までに完成させてよね。」


バサッとリリーが赤いドレスを

私に投げ捨てた。それを、拾おうとした時


「返事は、土下座だろうが!」


メアリーは、顔面を蹴られ鼻から

血がぽたぽたと落ち

頭を地面に擦り付け土下座をした。


「床も綺麗に、お前の汚い血で屋敷が

汚れるだけで気持ちが悪いわ!」


部屋の扉がバンッと閉まると

私は、鼻から血が出たまま床を磨くが

磨いても血が落ちていたちごっこでも

手を止めることなく血を拭き続けてると

ソッとハンカチで鼻から出た血をカンナが

止めてくれ抱きしめてくれた。


「メアリーお嬢様、もう少し、もう少しの

ご辛抱です。それでまで、必ず貴女様を守ります。」


泣いてるカンナを見ても私の感情は

無のまま、床を磨き終えると刺繍にとりかかり

メアリーの刺繍は、誰もが羨むほど繊細で

きめ細かくリリーの婚約者も友達もリリーは

お裁縫まで出来る淑女の鏡として

皆から絶賛の声をかけられていた。


寝ずに屋根裏部屋で針を刺すメアリー。

手は赤切れでボロボロな状態で針を刺すなと

命令をされていて、手袋をして刺繍をしていた。


翌朝に何とか出来上がり

妹の部屋に持って行こうとしたとき

屋敷のメイドやお義母様、リリーが朝早くから

起きて慌ただしく何か話していた。


「お父様が倒れて亡くなられたですって?」


「はい。別邸の居間で。

旦那様は、お酒を普段から飲みすぎて血を吐いて…。」


「なんて事を…。今から急いで支度を。

別邸に向かいます。馬車を用意して頂戴!

リリー早く、支度なさい!」


扉が開くとドンッとメアリーの体に当たりし

お義母様が、私を睨みながら舌打ちをした。

黒のドレスを着て本邸を後にし

1週間後に屋敷に帰って来た

お義母様とリリーは上機嫌で

暫く私に暴力などもなく1ヶ月がすぎた。


ある日金切り声が屋敷に響くと屋根裏部屋の

ドアがバンッと開いた。


「お前は、何処まで私達を愚弄する気だ!」


硬い棒で私の体に叩きつけて頭を床に擦り付けて

謝る姿勢をとるが、お義母様の怒りが治まらず

幾度なく私の体に棒を叩きつけた。

手が疲れたのか、息切れをしたお義母様が


「お前の父親が全ての財産を相続すると言われて

私たちは、一切のお金が入らなくなったのは

お前が生きてるからだ。家畜のくせに!家畜のくせに!」


ギリギリっと奥歯をかみ締めながらメイド達に


「縄手足を縛りあげろ!

一切の食事も水も与えるな。

この、命令を無視した者は…」


後ろにいたメイド達にギロっと睨むと

私の手足を縛り、そのまま床に放置されるように。

季節は真冬。今住んでる地域は特に寒い地域で

暖炉に火がないと凍える寒さだった。


メアリーの服はボロボロの薄い布切れで

暖炉の火もなく、凍死してもおかしくない

そんな状態が3週間続いた。

辛うじて生きていたのは、カンナが密かに

メアリーを死なせないように守っていたからだ。


所がある日、カンナがメアリーを助けてる所を

リリー付きのメイドに見つかり激怒した

お義母様が真冬の外に下着1枚で

カンナを放り出し水をかけて追い出し

怒鳴り散らしながら、屋根裏部屋に入って来て

お義母様があの焼かれた鉄の棒を持って私に


「お前の目ごと、焼き殺してやるわ!」


顔に近付く熱の塊が私に触れかかった時

誰かが、お義母様の手首を掴みギリっと

骨が軋む音が響いた。


「いっ!」


振り向きながら睨むお義母様の後ろには

白い手袋が見えて、黒の執事服に

胸には金色のピンと赤い薔薇のピンが

キラリッと光って見えた。


「ご当主様の、お帰りでございます。」


「は?女主人は私よ?この手を離しなさい!」


暴れるお義母様の手を掴んだまま

引きずり部屋を後にすると別のメイドが

部屋に入り縄を切り私を抱き抱えて

お医者様の診察のため暖かい部屋と

ベッドにソッと寝かせてくれるとメイドが


「メアリーお嬢様、ユラン様が

ご帰還されました。もう、ご安心くださいませ。」


ソッとメイドが頭を優しく撫でると私は

スッと眠りに落ちた。その眠り続けてる間

お兄様は怒りに怒り狂っていた事は私は知らない。


ー屋敷の地下牢ー


「こんなことして、許さない!出してよ!」


「早く牢から出せ!私を、誰だと思ってるんだ!」


鉄格子をガシャンガシャンと音を立てて

怒鳴り叫ぶ、リリーとお母様。

コツコツと靴音が響いて近付いてきた。


お母様とリリの牢の前で靴音が止まると

執事のカールが


「本日より、この公爵邸の当主

メアリーお嬢様の兄であります

ユラン・アルフォード様にございます。」


目を丸くして2人は顔見合わせると

リリーが顔を青ざめながらお義母様に


「お母様、この方は学校でも噂になっていた

冷酷無情で有名な、氷の貴公子ユラン卿ですわ。」


顔を見た事もなく、ましてやメアリーの兄だとも

思わなかったリリーはガタガタと歯を鳴らして

ユランの顔を見れずに下を見ていた。


「旦那様から、兄がいるなんて知りませんでしたわ。

今更、私達に当主だとか言われても関係なくってよ。

さあ、早くここから出してくださるかしら?」


怖いもの知らずな、お母様を見たリリーが

ドレスの裾を掴み首を振る。

リリーの首元には、キラッと何かが光って

ユランがピクッと顔が動くと

リリーの元にしゃがみ、低い冷たい声で


「お前が、なんでこれを、付けている?」


「ヒッ!」


ユランの顔は、殺気とどす黒い冷たい氷の

オーラを放ち牢の中が

パキパキと氷になっていった。

慌てて執事のカールがユランの手を止めて


「ユラン様、今は抑えてください。」


ギロっとカールを睨むユランに物怖じせずに


「ユラン様、屋敷ごと凍らせたら

メアリーお嬢様が氷漬けになりますよ。」


ユランの目の色がスッと変わり

氷かけた牢が溶けて、ネックレスを引きちぎると


「新しいネックレスを作れ。」


「ユラン様、畏まりました。」


カツカツと靴音が遠ざかると執事の

カールが二人を見下ろしながら


「ユラン様の怒りを買って

無事で済むとは思わないことですね。」


にっこりカールが微笑みながら牢を後にしたのだった。

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