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一切の感情をなくしたメアリー。その後冷酷な兄に溺愛されて、王子に求愛される。  作者: 猫又 マロ
メアリーの書

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11/26

花束の記憶

メアリーの嫉妬が記憶の欠片を呼び覚ますのか?


第11話 始まります。


ユリウスの優しさに心が軽くなった気がして

明日は普通に殿下と話せるかなと思いながら眠り

翌朝、担当の医師から


「リハビリも頑張って居るので来週には

お屋敷に帰って大丈夫ですよ。」


「本当ですか?ありがとうございます。

先生、治癒士の皆様には、助けて頂いた

大切な、私の命を大事に大切に致します。」


「では、お大事になさってください。」


半年間ベッドの上で過ごした病室。

やっと家に帰れる喜びに胸が踊るメアリー。


「早速、お兄様とユリウスと...。」


アルスに知らせを書こうか

迷ってしまったメアリーの不安そうな顔を見て

メイドのカンナが


「メアリー様、殿下にもお手紙を。」


「そ、そうね。」


手紙を書き終えるとカンナが急ぎで

王室に居るアルス殿下とユラン

ユリウスに手紙を届けた。

お兄様が病室に走るように病室に入って来て


「メアリー手紙を読んだよ!

ああ、我が家に花が咲き誇るように

メアリーが帰って来ると、暗い屋敷が明るくなるよ。」


「まあ、お兄様ったら。まだ油断大敵ですわ。」


「そ、そうだな。快気パーティーもしなくてはな。

何がいいだろうか。」


「ふふっ。お兄様ったら。ねぇ、お兄様。」


「ん?どうした?」


「あのね、アルス王太子殿下はご婚約中なのかしら?」


「嫌、まだ決まってはいないけれど、話は出てるよ。」


「そ、そうなのね。」


メアリーが、シーツをギュッと握りしめる。


「何かあったのか?」


椅子に腰をかけて、ユランがソッとメアリーの手を握る。


「昨日、中庭で殿下の声がしてブロンドの髪の

綺麗な女性と楽しげに、お話しされていて...。」


話を聞いたユランが、ギリっと奥歯を噛み締めて

ボソッとメアリーには、聞こえないように


「あのクソ野郎...。」


「今、お兄様何か仰りましたか?」


「嫌、何でもないよ。

メアリーは、今は心を穏やかに

家に帰ることだけを気にしてればいいんだよ。

後のことは、俺に任せたらいい。」


病室の扉をコンコンとノックがしてカールが


「ユラン様、そろそろお時間です。」


「分かった。すぐ行く。」


「さっ、メアリーお昼寝をして早く我が家に帰っておいで。」


額にキスをして帰ろうとする ユランの

騎士制服の袖をキュッとメアリーが掴んで


「お兄様、寂しいです。」


(我が妹が寂しいって我儘を久しぶりに聞いたぞ。

あの野郎、メアリーを泣かせやがって

ただじゃ済まないからな。あ、今日休むか。)


「無理でございます。」


「おい!まだ何も言ってないだろうが!

俺はメアリーの為に今日は、残るんだっ!」


メアリーを抱きしめたまま離さない

ユランの頭にゲンコツを落とすとカールが


「メアリーお嬢様。

ユラン様も国と王を守る騎士にございます。

そして、ユラン様はメアリーお嬢様も守る

騎士のお仕事なのです。お寂しい気持ちは

重々承知していますが、お分かり頂けたらと。」


「メアリー、こんな親父みたいな奴の話なんか聞かなくていいんだよ。」


「さて、参りますか。」


(カールってお兄様より強いのかしら?)


「お寂しいですが、お兄様また逢いに来てくれますか?」


「ああ、来て欲しい時はすぐ来るよ。我が愛しい妹の為なら。」


「時間ないので、いい加減行きますよ。」


「メアリーまたすぐ来るからね!」


首根っこ掴まれて、ユランは病室を後にした。


「我儘言ってしまいましたわ。」


暫くぼんやりと、天井を眺めてると

うとうと眠りについた。


カチャッと扉の開く音がして誰かの気配がした。

カンナかしら?と、目は開けないで

眠りについてるとギシッと私のベッドが

軋む音がして、フワッと誰かの手が

私の髪を触る感触が。


「んっ...。」


首を横に向けようとした時、誰かの唇が触れ

パッと目が覚めたメアリー。

目の前に見えたのが、ユリウスだった。


「あ、起きた。」


「ユリウス、い、今...。」


メアリーが唇に指で押さえて真っ赤になる

彼女を見てユリウスが


「あ、バレたか。寝顔可愛くてさ。」


「ちょっと!勝手に寝顔を見ないでよ!」


ポカスカとユリウスの腕を叩くと手を掴まれて


「メアリーは、俺のこと好きか?」


「え?どう言う...。」


「俺はずっと、昔からお前だけが好きだった。」


ユリウスの顔が近付いて唇が私に触れて

彼の唇の熱が伝わり逃げようにも掴んだユリウスの

手から離れず、真剣に見つめるユリウスの瞳に

ドクッと心の臓の高鳴りに顔が赤くなる。


「ユリウ...離して!ッ...っんん!」


「赤くなって、可愛いよな。」


髪をさらっと触れてユリウスの手に

ピクっと体が反応してしまった。


「返事はこのキスで待っててやる。

退院したら婚約申し込むから。じゃ、またな。」


扉が閉まる音がして

ベッドの上で呆然とするメアリー。

心の臓が早馬のように波打ち自分じゃない感覚に


「何なのよ!ユリウスの馬鹿!」


バッとベッドシーツを顔に被せると

うるさい鼓動の静まらない音。

カンナが部屋をノックして


「メアリー様、殿下がお着きになるそうですが。」


少し落ち着き始めて息を吸えるように。


「少しなら大丈夫。」


「畏まりました。」



暫くして、応接室の扉のノックがし

ランドルが扉を開けるとアルス殿下が部屋に入り


「メアリー、もう少しで退院だと手紙を貰って

すぐに来たかったんだけれど

仕事が立て込んでて遅れて、ごめんね。」


「いえ、大丈夫ですわ。」


応接室でメアリーが紅茶のカップをソーサーに

カチャッと置いてアルスと話す。

たわいのない話をしてるとランドルが

応接室の扉をノックするとアルスに耳打ちして


「メアリーにお見舞いと、逢いたいって人が

来てるのだが、ここに通してよいだろうか?」


「殿下のお知り合いでしょうか?」


「ユランと俺の同期なんだけど。」


「少しなら、大丈夫でしてよ。」


もう誰かは分かっていた。

メアリーの胸騒ぎが胸を締め付ける。


ノックがし扉を開けて、入ってきた

綺麗なブロンドの髪の女性が


「初めまして、ご体調がよい日に

お逢いできて嬉しく思います。

私は、ミシェル・ルマンドと申しますわ。

ルマンド公爵家の長女でございます。」


素敵なドレスに素敵な挨拶、素敵なカーテシーに

殿下と並べば、王様と王妃様にも見えた。


(まさにお似合いの二人ってことかしら。)


「ルマンド様、素敵なご挨拶ありがとうございます。

まだ入院中の為、無作法なご挨拶なりますが

私の名は、メアリー・アルフォードと申しますわ。

同じ、公爵家同士よろしくお願いしますね。」


座ってお辞儀をしてからの話しは

アルスとお兄様の、同じ学園の事の思い出話し

殿下の知らない話題や

二人が仲睦まじい姿を見たりして

メアリーの空間は、居心地がよいものでは無かった。


「アルフォード様、ごめんなさい。

私、一人でずっと、お話ししてしまって。」


「いえ、殿下の知らないお話を

聞けて、とても嬉しかったですわ。」


「シェル、俺の話はいいよ。」


愛称で名を呼んだ彼の言葉に

ガシャンと手が滑りカップが落ちて

ドレスに熱い紅茶が足にかかった。


「メアリー大丈夫か!」


足に触れようとした時パシッとアルスの手を払い


「淑女の体に触らないでくださいませ。

熱くありませんので。カンナ、私は部屋に戻りますわ。」


スッと立ち上がると

カップが割れたままの床で二人を置いて

応接室を後にした。部屋に戻るとカンナが


「今すぐ冷やします。お医者様を呼んでまいります。」


氷水のタオルで冷やすと

カンナが部屋を出て慌てて医師を呼びに行った。


ミシェルが病室の部屋をノックして


「先程は失礼しましたわ。

後、これお見舞いのお花です。」


サイドテーブルにかすみ草の花束が目に入り


「綺麗な花束をありがとうございます。」


「少しだけよろしいでしょうか?

殿下とメアリー様は、お付き合いや婚約はされていますでしょうか?」


「いえ、特にはしていませんし、お付き合いもありません。」


「そうですか。それでは殿下の事は?」


空気が冷たくなる感じがしてこの方も

殿下を好きなんだなと分かったが

私は息を吸い込んで毅然と答えた。


「お兄様のお知り合いなので、ご友人ですわ。」


彼女に、悟られないように微笑んだ。


「では、私のためにどうか

またご相談に乗って頂けますか?」


「私なんか何にも助言など。」


息を切らしてカンナが部屋に戻ると

異様な空気に、チラッとメアリーを見た。

メアリーが青ざめて震えてるのを見て


「すみませんが、火傷の治療がありますので、お帰りください。」


「あら、ごめんなさい。それではまた。ご機嫌よう。」


パタンと扉が閉まり先生が見てくれて

後から治癒士が魔法で火傷を治してくれた。


「メアリー様、大丈夫ですか?」


「ええ。」


明らかに顔色が悪くてカンナはあの方が

来てからだと確信しユランに報告をと

別の護衛メイドに変わると


「メアリーお嬢様少し

席を外しますがよろしいでしょうか?」


小さく頷くメアリーの悲しげな顔に急いで

ユランの元へ走った。

カンナの報告を聞いたユランは仕事を投げ打って

足早にメアリーの病室に行くと

心を閉じたあの時の表情に見えた。


バッとユランがベッドに駆け寄り

ギュッと優しくメアリーを抱きしめた。


「泣きたいなら、泣けばいいんだ。メアリー。」


「ふぅぅっ...。わああん!」


久しぶりに大泣きするメアリーに微笑みながら

髪と頭を優しく撫でる。昔もよく泣いてたなと

ずっと何かを我慢してたんだなと

優しくメアリーが落ち着くまで抱きしめた。

暫くないて鼻をすんとするメアリーに

ゆっくり話を聞いた。ユリウスの事や

アルスと彼女の話。そして自分の気持ちが

分からなくなって怖くなったことを聞いて


「そうか。苦しかったんだな。」


何も問い詰めない優しいお兄様。


(お兄様の温もりも匂いも大好き。)


「メアリーが辛いならずっと

俺と一緒に居ればいいんだよ。

結婚もしなくていい、誰かのために

悩んで苦しむお前を見ると、俺も辛い。

メアリーは、好きなだけ屋敷にいたらいい。

何にも心配する必要はいんだ。

王都が嫌なら別邸を買えばいいんだし。」


「お兄様と一緒なら苦しくないわ。」


キュッと抱きつくメアリーに


(あ、もう絶対あの馬鹿には、メアリーはやらん。

ユリウスも、後で殺る。)


「あ、かすみ草…。」


心の臓がドクンドクンと波打ち

頭がズキズキしだして

メアリーの胸締め付けられて

息が出来なくなり服をギュッと握った。


「お、お兄様...。」


ズルッと体の力が抜けると意識がなくなり

薄れゆく中で、メアリーの名を呼ぶユラン。


(懐かしいような、怖い…。思い出したくない。)


メアリーは記憶の夢に落ちていくのでした。

三角関係にドロドロした、女の修羅場を高みの見物で見るのが好きな作者は多分、腹黒いと言うのでしょうか(笑)

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