たった1人のオトモダチ
レイちゃんは私の大切なお友達。
夜に誰もいない教室でおしゃべりしたり、きれいな星空を眺めたり。友達のいなかった私と遊んでくれる、優しい子です。
昼間は会えなくて夜しか遊べないし、手を繋ごうとしてもスルっ……とすり抜けてしまうのが寂しいけれど。
誰も構ってくれずに1人で泣いていた時と比べれば、何てことありません。レイちゃんは私にとって初めてのお友達なのですから。
ある日の夜、レイちゃんが目をキラキラ輝かせながら私の顔をのぞき込んできました。
「裏山にね、すっっごく星の綺麗なとこ見つけたんだ!」
裏山は私たちがよく遊んでいる場所です。いつもは綺麗に整った道を歩いていくのですが、この日は違いました。
「ねぇレイちゃん……この道とっても暗いけど大丈夫かなぁ? 草がたくさん生えててよく見えないし……」
「ふふ、大丈夫っ! ほら、付いてきて!」
レイちゃんは手を広げて「ふふふ、あははっ」とクルクル回りながら楽しそうに草をかき分けて進んでいきます。
なんだか嫌な予感がしつつも、置いてきぼりにされないようレイちゃんの背中を追いかけていくと。
パっと視界が開けました。道路に出たのです。道路を挟んだ向こう側には、また暗い山道が続いています。
「ここを通ると近道なんだよ!」
前を進むレイちゃんがピョンっと道路に飛び降りて、トトト……と走り出したところで。
ブロロロロ!!
車がすごいスピードで走ってきたのです。
「レイちゃん危ないっ!!」
思わず道路に飛び出し、レイちゃんへ手を伸ばす私。
しかしその手はレイちゃんの身体をスルっ……とすり抜けてしまい……。
ドンッ。
「うわっ、なんでこんなとこに子供が⁉」
……。
「きゅ、救急車呼ばねーと!!」
動かなくなった身体。
ジワリと広がる赤い血。
……ねえ、どうして?
どうしてレイちゃんを轢いたの?
レイちゃんは”人間”だよ?
人間だから手を切ったら血が出るし、車にぶつかったら死んじゃうんだよ……?
私は手を繋ぎたくても繋げなイノニ、どうしてあなたは酷いことヲスルノ……?
ねえ、ドウシテ……。
ペタリ…………ペタリ。
「はっ⁉ なんだ⁉ 窓に手形が⁉」
私のたった1人のオトモダチ……カエシテ……。
ペタリペタリペタリ。
「う、うわあああ!!」
ブロロロロ!
カエセカエセカエセカエセ!
ペタリペタリペタリペタリペタリペタリ――――
ベチャリ。
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