表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪ん子 ─ずっと、好きでした─  作者: 猫音子
一章 出逢い
5/12

三日目 雪ん子、昼寝をする



「春姫ー!どこですかー?春姫ー?」


 んんー……うるさい。私は日向ぼっこしてるんです。静かにして……。


 ✻ ✻ ✻ ✻


 小さな白いふわもこが一匹二匹、三匹四匹……。

 私は今、天国にいる。可愛い動物がいっぱい!


「チューッ!」

「可愛いね、お前」


 寄ってきた小動物に種をやると、頬がムクムク膨れて大変面白い顔になった。


「ふっ、ふふふ。美味しい?」

「チュチュチュッ!」


 嬉しそうに手に乗ってきた。愛くるしいにも程がある。


「懐かれましたね……飼います?」

「出来るんですか?保護施設ですよね、ここ」


 そう、私たちは捨てられた、或いは保護した動物たちが集まる保護施設に来ている。理由は単純、動物を見たかったから。


「はい。しかし、手続きをすれば飼い主として引き取る事もできます」

「お願いします!この子も一緒に!」


 さっきから私を凝視(みて)いた子を拾い上げてお願いしてみる。きらっきらの今日一番の笑顔で。


「…………」

「ダメですか?」

「いえ!驚いただけです(水色と白?何かの意図が?)」

「じゃあ」

「ええ、飼いましょうか」


 あ……でも私、ずっと春風家にお世話になる訳にもいかないですよね。自宅で飼うなら代金は私が払うべきでは。


「そんなこと、気にしなくて良いです。春姫が居ると楽しい。いつまででも居てくれて構いません」

「本当?」

「もちろん」


 そうとなればこの子たちに名前を付けなきゃ。

 水色の子は……美亞葵君っぽいからハルちゃん。白い子はユキちゃん。


「うん、決めた!」

「何をです?」

「この子たちの名前です!この子かハルちゃんで、こっちの子がユキちゃん!」

「ごふっ!ごほっ!」


 だ、大丈夫ですか?苦しそうです。急に咳になる時ってありますよね、分かります。


「ち、違います。げふっ、何故、その名前に……んん!したんです、か!……ふぅ」


 え?だって、似てません?私たちに。

 まるで、この子たち、仲が良くて夫婦みた……夫婦……ふう……ふ……す、すみません!そうですよね、恥ずかしいですよね!びっくりもしますよね!


「分かれば宜しい」

「でも、名前は変えません」

「…………」


 これは決定事項。幾ら恥ずかしかろうが、変えるつもりなど無い。この子たちに、これ程ピッタリな名前はありませんし。


「はぁ。分かりました……では、今日の担当官の所へ行きましょう」


 施設に入る時に会った人が担当官だそうです。主に動物の世話をしたり、脱走しないか見張る仕事をしているそうな。


 大変ですねぇ。

 ちなみに、あの方も軍人さんだそうですよ。というより、この街の施設で働いているのは基本的に軍関係の方々なのだとか。お店とかは別として。


 無事に手続きを済ませ、ハルちゃんとユキちゃんを籠に入れて施設を出、次なる目的地である洋服店へ。

 お洒落めから清楚系、お姫様系に至るまで、様々な衣装が並んでいる。


「普段はどのような服を着るんですか?」

「うーん、白とか黒とか?落ち着いたものを着てる気がする……」

「ふむ……なら、この辺ですね」


 わぁ、可愛いワンピース!

 白に黒、あ!水色がある!薫衣草色も!それにフリルがたくさんあって凄く可愛い!


「これなんてどうです?似合うと思います」


 差し出されたのは薫衣草色よりも薄い、桜色のショルダーワンピース。適度にフリルが施されている。

 ホルターネックで首元に大きめのリボンが付いていて、腰の部分は括れてる。どうやら、後ろにある大きなリボンで絞っているようだ。


「可愛い!」

「試着室は向こうです」


 数分後。


「どうでしょう」

「…………!」


 美亞葵君が固まった。うっすら頬が赤い……もしや、予想以上に似合っていて見惚れている、とか?だとしたら、嬉しいです。


「すごく、似合ってます……!可愛いです!」


 良かった。太鼓判を貰えました。

 それでは、一着はこれとしてあと二着ほど買いましょう。


「良い服が見つかって良かったです」

「そうですね、どれもよく似合っていました」


 美亞葵君にそう言われるとどうしてか、心が温かくなる。

 恋人がいたら、こんな感じなのだろうか。今まで枯れていた心が急速に色付き始めている。


 ✻ ✻ ✻ ✻


 誰かが撫でてくれる手が気持ちいい……。頭を擦り付けると、その手が離れていった。


「むぅ……」

「春姫」


 そっと頬に触れてくる手が温かくて心地いい。


「春姫、起きて」

「うるさい……」

「春姫……」


 私は眠いの。もっと寝ていたい……。


「あ」


 ──ゴンッ。

 寝返りを打ったら何かから落ちて、額を打ちつけた。


「痛い……」

「大丈夫ですか?」

「んん?」


 見上げると、美亞葵君がそこに居た。

 あれ……?私、確か日向ぼっこしてたはず。寝ちゃったのかな。


「おはようございます」


 どうして此処にいるんだろう。そして何故(なにゆえ)割り座。


「お金の用意が整いましたので、ご報告に」


 なんと!これで美亞葵君をお財布にしなくて済む!自分のお金で買い物ができるなんて素晴らしい!


「美亞葵君!」

「っはい!」


 いきなり大声を出したものだから驚かせてしまった。

 

「この街に保護施設ってありますか?動物の……」

「……?ありますけど、どうしました?(びっくりした……)」


 さっき夢で見たあの二匹、もし居たら引き取りたいです。水色の子と白い子。


「行きたいです!」

「構いませんけど……今日もう遅いので明日でもいいですか?」


 美亞葵君のお許しが出た。明日が楽しみで仕方ないです。

 はっ!


「ごめんなさい美亞葵君、明後日でもいいですか!?引っ越すので」

「え"」

「この街に私を虐める人は誰一人いないので。この街の人々は優しいです。なのでいっその事、引っ越そうかと」

「虐め……」


 そんな悲しそうな顔をしないでください。私なら平気です。慣れてますし。


「慣れちゃ、ダメです。引っ越すなら、(うち)に来てください。宿暮らしは許しませんからね」


 ……あのぉ。最初から美亞葵君のお家に転がり込む予定でした。

 なんか、ごめんなさい。て、何をそんな驚いてるんですか?


「いえ、当たり前のように言ってくださるとは思ってなくて……」

「前に言ってたじゃないですか、私が居ると楽しいって。住み着いたら問題ありますか?」

「無いです。寧ろこちらからお願いします」

 

 即答だった。

 座ったまま深々とお辞儀をされたので、私も座ってお辞儀を返す。

 

 ──結婚前夜のよう。美亞葵君なら良い旦那様になる事間違い無し。もしお相手がいたら早々に宿暮らしに変更します。


「いませんよ!?婚約者はおろか、女友達さえ……貴女くらいしか」


 なら、意中の方もいらっしゃらない?そう聞くと、ボっと音が出そうな程赤くなった。

 え、いるんですか。じゃあやっぱり私はお邪魔……。


「お邪魔じゃないですから!これはその、面と向かって聞かれるとは思ってなかったからで!」


 ふぅん?怪しい。じりじりとにじり寄り、お膝に着席。さぁ、白状なさい。


「あう……その、えと……(ち、近いです!)」


 目が回っている。あまりイジめるのも可哀想ですね、この辺にしておきましょう。

 こらそこ、白地(あからさま)にほっとしない!『僕はやましい事を隠しています』と言っているようなものでしょう!


「お風呂」

「え?」

「お風呂貸してください。汗かいたので」

「あ、はい。すみません、先に行っててください。脚が痺れてしまって」


 む、私は今、入りたいんですよ。よっこいしょ。


「わぁ?!春姫!?下ろし「うるさいです」


 私、結構力持ちなんですよ。なので運んでいきます。おんぶは面倒なので横抱きで。

 案内だけさせて後は放置。お風呂、気持ちよかったです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ