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あなたと友達に 1

本当に申し訳ありませんッッッ!!一月に入ってから忙しすぎて、小説を書く時間が中々取れませんでした。一応ここからは忙しいということもあまりないので、緩やかに更新を続けていきます。お待たせして申し訳ありませんでした!


 こんにちは。私は古見陽菜(ふるみひな)です。少し周りの人からいじめられているそこら辺の女子中学生です。最近は、周りの人から可愛いとよく言われますが、とても恐縮してしまいます。私自身そこまで可愛いという自覚がありません。


 そんな私が、今さっきトラックに()かれそうになりました。あ、私は怪我などもしていないので大丈夫です。というか助けていただきました。目の前をトラックが勢いよく通過していったのを見て、私は冷や汗が止まりません。ですが驚きはそれでは終わりませんでした。

 私は助けていただいたお方を見て、再度驚き、冷や汗が吹き出しそうになりました。


 そこには、今学年問わず学校中から人気が出ているお方、冬咲白羽(ふゆさきしらは)さんがいました。近くで見てみると、学校中で人気が出るのも頷けるほどの容姿をしています。……私なんかがこんな至近距離で見ていいのでしょうか?


 片や学校のいじめられっ子、片や学校のアイドルです。どう考えても釣り合いません。話すことすら烏滸がましいのではないでしょうか……。

 すると、冬咲さんは周りを見た後に、顔を赤くしながらこう言った。


「と、とに、かく……え〜と、早く立って移動、しよ?」


 私は思わずその冬咲さんの表情と言動、挙動に目が釘付けになった。顔を赤らめながら首を傾げているというだけでも可愛いのに、ずっと恥ずかしそうにもじもじしている。え?可愛すぎません?あの……天使ですか?天使ですよね?


……っは!?とりあえず返事は返さないと!


「あ、はい」


 この返事を絞り出すまでの秒数は、僅か0.8秒だった。


 どうしよう……!すごく顔が熱いです。絶対私の顔赤くなってます!うぅ〜……恥ずかしいです。


 というか、凄い視線を感じます。私、知らないうちに何かしたんですかね。すると突然冬咲さんは、私のお尻に手を伸ばして砂埃を払った。

……んぇ?え、え、私のお尻触ってッ!?ふ、冬咲さんが私のお尻を触って!!


「きゃっ!?んぇ!?な、ななっ」

「あ……ごめん」


 私が超オーバーリアクションで驚いていると、冬咲さんが叱られた子犬のようにしょんぼりとしていた。


 すいません冬咲さん……可愛いが天元突破しそうです。まずいですよ!?これは非常にまずいです。庇護欲がッッッ!母性がッッッ!


……落ち着こう。流石にこのまま冬咲さんを、しょんぼりさせておくわけにはいきません。


「い、いえ!少しびっくりしただけですから!!」

「うん。……ご、ごめんね。嫌だよね」


 私が冬咲さんに触られるのが……いや??え、え??


「あ、あの!私、冬咲さんからなら触られてもいいです!!」

「え……うん。そっか……」


……あれ?私今なんて言ったんですか?え?あまりにも必死で覚えてないのですが。


「と、とりあえずここからい、移動しよ?」


ふぉ!?可愛いですね!本当にか(ry


「は、はい!!」







ーーーーーーー






 私が冬咲さんと一緒に辿り着いたのは、私が轢かれそうになった場所から、少しだけ歩いた場所にある公園でした。


 少し物静かな公園ですが、なんとなくホッとするような不思議な感覚がします。

 私達は公園に着くと、少し奥側にあるベンチに腰を掛けました。もうだいぶ前に15時を過ぎ去っているので、景色の色には少しづつ黒が滲んできています。本来ならとっくの前に帰宅できている時間です。冬咲さんの家族が心配しているかもしれませんね。


 そうして一緒にベンチに座っていると、冬咲さんが私に恐る恐るといった感じで問いかけてきました。

 あぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ーーーーーーーー!!?かわい(ry


「こ、ここなら誰にも聞かれないから。……教えて?……なんであんなにボーとしてたの?」


……っ!?ふ、冬咲さんは明らかに勘づいています。正直私としては、冬咲さんにも迷惑のかかる話なので話したくはないのですが……。ここは誤魔化すのが妥当ですね。


「いや、あの……体調が悪かっただけで……」

「嘘だよね?」

「うぐっ。……はい」


 誤魔化したのに一瞬でバレてしまいました。


「言い辛いと思う。話したくないから聞かなくてもいいよ。でも、私はあ、あなたのこと知りたいよ」


……私はどうすればいいのでしょうか?心の内で誰かに問いかけてみても、何も返ってきません。冬咲さんは私なんかのことを真剣に考えてくれています。


……私はそんな冬咲さんに、何も返すことはできないのですが……。


 両親にさえ、私の学校生活については話していません。両親が共働きで、家に帰ってくるのは夜遅くなのであまり会話はしていませんでした。


 冬咲さんは悩んでいる間も、私の返答を待ってくれています。私は1時間前くらいに、初めて話した冬咲さんに心を開くことはできるのでしょうか?

 私が悩んでいると、突然冬咲さんが話しかけてきた。


「あの、名前……聞いても、いい?」

「あ、すいません!!私風情の名前なんて、覚えていただかなくても大丈夫です!」


 冬咲さんに名前を聞かれました。ふ、冬咲さんに!!名前を!!聞かれましたッッッ!!もしかしたら今日が私の命日かもしれません。学校のアイドル的存在の冬咲さんに名前を聞いてもらえるなんてっ!!


「え、困るよ……」


……ッッッ!?


「そ、それでは、私は古見陽菜です。好きなことは料理です!」

「ありがとう。……私は冬咲白羽、よろしくね」


……は、恥ずかしいですね。この妙な恥ずかしさはなんでしょうか?


「そ、それで、話せる?」

「あ、はい!考えは纏まったので!」

「うん。聞かせて?陽菜ちゃんの話」


……脊髄反射で答えてしまいました。で、ですが、話すと言ってしまったので言うしかないですね。

 ふぅ……緊張します。何故か冬咲さんには心を許してしまいます。そういった雰囲気を持っているというか……。


 そうして私は冬咲さんに、私の学校生活で何があったのかを全て話しました。話してみると、決壊したダムのように口から溢れました。

 学校でのことは諦めていた筈だったのですが……冬咲さんを前にすると、嘘がつけなくなってしまいますね。思い出したくもない事なはずなのに、どうしてか冬咲さんには言ってしまいます。


 私は、女子生徒達から嫌がらせを受けていたことや、校舎裏に呼び出されて襲われそうになったこと等、今までのことを全て冬咲さんに打ち明けました。

 そうして話が一通り終わった時に、焦った様子で冬咲さんが問いかけてきた。


「え、だ、男子からは未遂?」

「は、はい!脱がされる前にバケツを顔に打ちつけたので」

「よかった……」


 私は未遂に終わったことを冬咲さんに伝えると、冬咲さんは心の底から安堵したような雰囲気を出していた。たった数時間前に初めて話した人に対して、ここまで親身になって話を聞いてくれる人は、今まで私の周りにはいませんでした。


……もしや冬咲さんは女神様なのではないでしょうか??天から降りてきた女神様と考えるとこの可愛らしさにも納得できます。


「陽菜ちゃんはこれからどうしたいの?」


 冬咲さんが私にこれからどうしたいのかを聞いてきました。私がどうしたいのか……。ニュアンス的には、多分学校でどう過ごすのかを聞いてきているのだと思います。……ですが、私はこれからどう振る舞えばいいのでしょうか。


「……わかりません。自分がどうするのが正解なのか、どう振る舞えばいいのかも、わからないんです……」


 私がそう言葉を溢すと、冬咲さんは何かに悩むように「う〜ん」と唸っていました。か、か(ry


「私はあまり家族と話したことがありません。両親とも共働きでずっと家を空けています。ですが、そのおかげで私の家は裕福なんです」

「うん」

「でも……そのことが周りに知れてからは、手の平を返したように媚を売ってくるようになりました。ここまで露骨だと、鈍い私でも気づきます」


 まさに気がついたら溢れていたという感じでした。そんな私の話を冬咲さんは、真剣に聞いてくれていました。


……冬咲さんを前にすると、全てを吐き出してしまいたくなります。これは……冬咲さんは聖母ということでいいですか?


 そんなことを考えながらも私の口は止まらない。


「でも私はそんな人達と仲良くする気にはなれませんでした。そんな態度が気に食わなかったのか、どんどんいじめがエスカレートしていきました。わた、私はどうすればッ、いいのでしょうか……?」


 私の視界は、大粒の涙によって酷く滲んでいた。涙は私の意思とは関係なく溢れ続けています。私はこれまでずっと我慢してきました。

 辛いことも最初が辛かっただけで、慣れてくると辛いとも感じなくなって……最後には諦めしかなくなってしまいました。


 私は改めて、自分が今にも壊れそうになっていたことを知りました。ですが、知ったところでどうなるのでしょうか?知らなかった方が良かったのではないでしょうか?思考がぐるぐると回って、嫌な方へと考えが進んでいくのを感じていると……


「……陽菜ちゃん!良ければ私と友達になりませんか?」


 冬咲さんは満面の笑顔で私に問いかけました。


古見陽菜ちゃんの視点はあと1話続きます!

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