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事件?

 

 どうも。中学一年生の白羽(しらは)です。正直に言っていいですか?

 周りの視線が怖いッ!!前世含めて生まれてからこんなに注目されたことは、指で数えるほどしかなかった私が、毎日のように注目され続けるというのはきつい。

 でも、しょうがないのかもしれない。だってこの外見はとにかく目立つ。銀髪なだけでも目立つのに、超可愛いからね。そりゃ見たくもなるよね……。


 私は本来なら学校なんて行きたくはない。だけど行くしかないのだ。何故ならば、最近になって瀬那(せな)が毎日のように家に迎えに来るからだ。さすがに毎日来てもらっているのに、学校に行かないというのは失礼だ。

 とまあそんなわけで、朝から注目の的になってます。


 ふと玄関に近づいたところで、瀬那から待ってと言われた。これはまあ、いつものことだ。玄関前に来ると、毎回先に下駄箱に行ってくる。……本人曰く習慣とのこと。そんな習慣初めて知ったよ……。世の中は私の知らないことで溢れている。まさに井の中の蛙だ。


 そして瀬那が戻ってきたのを見計らって、二人で靴を履き替えて教室へ向かった。履く前の靴が、人肌に温められていたのは瀬那が毎回やってくれることだ。


 前にそんなことしなくていいよ!と言ったら泣かれた。もうびっくりドッキリしちゃったよ。泣くほどとは思わなかった……。

 とまあそんなわけで本人は靴を温める作業を継続しているのである。


 教室に入ると一斉にみんなの視線がこっちを向いた。先ほどまで会話をしていた子たちも、こちらに視線を向けてくる。


「あ、白羽さんだ!」

「今日も可愛いな~」

「天使の降臨だ!崇めろー-!」


 などなどいろいろな声が聞こえてくる。……最後のやつ、神格化すな。

 こうして見られるのはいささか気分がよくない。目立つこと自体あまり好きではない私にとって、毎度このような感じで注目されるのはいやだ。常に身振りに気を使わないといけないし、言動や外見にだって気を遣っている。


「みんなおはよー!!(てめぇら、私の白羽を軽々と見てんじゃねぇぞ!おん?)」


 そこで、瀬那が私よりも先にみんなに対して挨拶をした。

 ん?瀬那が周りに対して、すごく圧のある笑みで笑いかけている。

 なんだろう、シンプルに怖い。早く席に着こう。


……私の身の安全のためにも。ちなみに私の席は真ん中の列の一番後ろだ。本当は窓側がよかったんだけど、神様は私の味方ではなかったようだ。

 私が望んでいたのは所謂主人公席、窓際の一番後ろ!!あの席は陰キャな私を無敵にしてくれる。鬼に金棒、犬に真珠、私に窓側だ。


 中学校に入学してから5ヶ月が経過した。いやぁ熱いね!おう夏だぜ!まぁ……かといって肌が強いわけでもないので、毎日ストッキングを履いている。蒸れ問題は深刻だけど、しょうがないのだ。

 でもやっぱり蒸れているストッキングは、着心地のいいものではないので困っているのも事実だ。


 そういえば、この間瀬那が私のストッキングを食べたいとか言ってたけど、よほどお腹が空いてたのかな。……今度、駅前のクレープを奢ってあげよう。あそこのクレープ屋、瀬那と一度行ったことがあるけどすごく美味しかったのを覚えている。食べている途中瀬那に何度も写真を撮られた。


……それにしても、最近瀬那の挙動不審が目立つ。たまに話していると、急に顔を赤くしてあたふたし始める時があるし、急に胸に手を当てて祈りを捧げ始めたりする。でもまあ、気にするほどのことじゃないと思うので放っておこう。



 授業が終わり昼休み。

 

 授業が終わると同時に、瀬那がこっちの席に向かって駆け寄ってくる。


「白羽~!一緒にご飯食べよー!」


 満面の笑みだ。なぜか犬の耳と、尻尾が見える気がする。ケモ耳っていいよね。異世界のド定番だ。


「うん……いいよ」

「がはぁッッッ!!」


 口元を押さえて蹲ってしまった。え、どうしたんだろう。


「だ、大丈夫?」

「ハァ、ハァ……上目遣いとか、ま、まじで心臓が・・・・・・壊れる」


……小声で何か言ってる。本当に大丈夫なんだろうか。いつもの挙動不審だ。


「ほ、保健室……行く?」

「ぅ……」


 床に倒れて痙攣し始めた。ビクビクしていて、陸に上げられた魚みたいだ。ふと周りを見てみると、クラスの人たちが騒がしい。……ん?あ!鼻血を出してる子がいる。あれは確か、朝陽君だった気がする。

 とりあえず、朝陽君の鼻血が垂れ流しになってるから止めないと。


「あ、朝陽君。は、鼻血出てる……よ?」


 もうどもるのは日常茶飯事だ。一々気にしていられない。

 朝陽君の鼻に、ティッシュを千切って棒状に丸めたものを刺してあげる。


「え、え……冬咲さん!?な、何してッッッ!?」

「鼻血出してるから、駄目だった……?」


 鼻血を出してる時には、当たり前の応急処置だと思っていたけど駄目だったかな。目の前の朝陽くんを見てみると、顔を真っ赤にして痙攣していた。


「うぐっ」


 奇妙な声を出して朝陽君は倒れた。倒れたまま胸で手を組んでいるのにはツッコんだほうがいいのかな。


 え……何が起こってるの?


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