どもりヒーロー
どもー!松明星人です〜!
ここからようやく本編が始まります!是非楽しんでくれると嬉しいです(≧∀≦)
どうも……私は冬咲白羽!小学四年生!!って、やめよう……流石にきついものがある。精神年齢は前世を含めれば大人になっている。なのに小学生のふりをするなんて、恥ずかしいにもほどがある……。
それはともかく、私が幼稚園の時に転生してから数年が経った。
時が経つのは早い。実際、今日までのことを振り返ってみてもすごく早かったと思う。でも後から振り返ってみるとそう感じるだけであって、毎日を過ごしているととても長く感じる。一旦この話は置いておこう。
まあ、この数年であったことを話せばきりがない。だけど一つだけ話すとするなら、私は初めて自分の容姿を見たときに、鏡の前で固まった。何故かというと、この子めちゃかわいい!!まるで天使のような外見なのだ。そんな体に私が入っちゃっていいのかと思うけど、入っちゃったものはしょうがない。切り替えは大事だ。
気になる私の容姿はというと、透き通るような白い肌に、幼い印象が強く出ている大きな瞳。そしてなによりきらきら光る銀色の髪。地毛特有のオーラを纏っている。
まあそんな外見に転生したからには、友達の一人や二人できたと思うじゃん?……できてねぇっすよ。文句あるかー!
いや、純粋に考えて無理ですよ……。長年ぼっちこじらせてるのに、いきなり友達作れとか。難易度はもちろんナイトメア。難しいにも程があるでしょ。
……まあいいや。私はこの人生でもぼっち街道を突っ走ってやる!
おっと考え事をしすぎた。現在私は小学校で授業を受けてるわけだ。率直に言おう!暇だ!!
まあそれも当然と言えば当然だ。前世では仮にも高校生だったわけだし、小学生の授業は簡単すぎる。暇を持て余しすぎて、好きなキャラクターの一枚絵が出来てしまうじゃないか。ちなみに、深夜アニメの「恋は一年で冷める」だ。
この作品は、主人公とヒロインが熱々カップルだったのに、突然ヒロインが恋に冷めてしまうというストーリーだ。まあ実はインターネットで調べた情報に、「恋愛は駆け引きだ!少し距離を置いて引いてみるのもいいかも!」と書かれていて、それを鵜呑みにしたヒロインが主人公から引いてしまうのだ。
そしてなにより、このアニメのメインヒロインである幸平ちゃんはすごく可愛い!特にツンデレというところが最高だね!あとはすごく青春が詰め込まれていて、吐き気が……じゃなくて胸がときめいた。
ごめんなさい嘘です。ただヒロインが可愛いから気に入ってるだけです。すいません。
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そしてようやく訪れた下校時間!!ここからは私のターンだ!まずはドロー、チャージ&ドr
「お前さっきからうざいよ。ブスのくせに!」
「そうだそうだー。ぶすせなー!くっさー!」
「臭い匂いが移るから近寄んなー!」
……え、なにこの状況。
男子たち4人から一斉に悪口を言われているのは、同じクラスの秋野瀬那ちゃんだ。臭いとかブスとかいかにも小学生が多様しそうな悪口だ。
……う〜ん、流石に可愛そうだなぁ。
今も瀬那ちゃんは、男子4人に悪口を言われて地面に座り込んで、目を潤ませている。あぁ!庇護欲が!!庇護欲が暴発しちゃうよ!?ふぅ……落ち着け、私。
大体なぜこんなにも言われているのだろう?男子4人は、今も正面を囲んで言いたい放題言っている。
……う〜ん。私一人で考えても仕方がないので、周りの人に聞いてみようかな。
「ぁ、ぁあ、あの……」
「ん?な、なに?」
やばい、どもった。
すごく不審な目で見られてる。くぅッ!こんなところで持病のコミュ障がッ!
「な、なんで瀬那さん……こ、こんなに言われてる、の?」
「それは、なんというか……」
「あ?こいつが臭いからだよ」
……となぜか4人組のうち一人が代弁してくれた。あと、私会話苦手すぎやしないだろうか。さっきから言葉が詰まる。今だけはのどに指を入れてこじ開けたい。いや喉に指を入れてこじ開けるのは、絵面がやばい気がする。
……まあそんなことは置いといて、臭いからと言って悪口を言っていいわけじゃない。特ににおいなんてものはデリケートな部分だ。それをみんなの目の前で騒ぎ立てているのだ。こんなこと許せるわけがない。
……だから私は、少しお節介を焼くことにした。
そう思い至ったら体は勝手に動いた。大丈夫だ……コミュ障でも、会話が下手でも、こういう時には前に動いてくれる。ここで動けない人間には自分はなりたくないから。
私はそんなことを考えながら瀬那ちゃんと、男子4人の元まで歩いていく。
「なんでこっちに歩いてくるんだよッ」
「白羽ちゃんなにしてるの!?」
「こっちくんな白髪ばばあ!」
「おばさんッ!!」
先ほど声をかけた子慌てた様子で呼び止められる。でも私の足は止まらない。
というかさっきから男子め!好き放題言いやがって。てかおばさんとか、ばばあって言ってたやつ!顔覚えたからね?銀髪の素晴らしさがわからないなら今度教えてあげないといけないね!(多分話しかけられない泣)
「……ッ、な、なに」
瀬那ちゃんに近づくと下から睨みつけるようにこちらを見てくる。あっっ……ひ、庇護欲がぁ。お……落ち着けよ、私。
警戒心丸出しだ。にらみつけるようにこちらを見てくる。だけど、そんなことお構いなしに私は少女の前に屈んで、匂いを嗅ぐ。スンスン。
「な、なんで!?なんで私の匂い嗅いでッ!?」
あれ?この匂いもしかして……。びっくりしながら泣きそうになっている目の前の少女ー-瀬那ちゃん。
……あぁ、そうか……多分この子は少しだけ大人になろうとしたんだ。みんなより少しだけ早く、背伸びをしようと……。
小学生のこの時期には、大体の女の子が大人に近づこうとする……。だから瀬那ちゃんは、香水をつけて大人の女性に近づきこうとしたのだろう。
理由がわかってしまえば簡単なことだった。
目の前で涙を流して絶望的な表情を浮かべる瀬那ちゃんに対して私は告げた。できるだけ優しい笑顔で、優しい声で……
「お花のいい香りがする!私、好きだよこの匂い!」
すると、目の前の少女はゆっくりと目を見開いて……。