冬咲白羽の憂鬱
しばらく投稿は控えさせていただきます。
エロ漫画先生でエルフちゃんが言ってたんすよ。「自分が楽しんで書かないでインスピレーションが湧くわけない!」的なことを!
気分ガタ落ちしてるので、4日後くらいから投稿復活させていただきます。
古見陽菜ちゃんの件から1ヶ月が経った。
この1ヶ月間は今思い返してみると、本当にあっという間だった。正式に友達になった陽菜ちゃんは、最初こそ遠慮していたけど今や瀬那と言い合いをするくらいまで仲良くなっている。
「だから!陽菜はなんで強引に迫る素晴らしさがわかんないの!?」
「わかるわけないじゃないですか!?白羽さんは慈愛で包んであげるべきです!」
「私は包まれたい!!」
「聞いてません!」
……うんうん。仲良きことは素晴らしいですな。話の内容にさえ目を瞑れば、仲良い友達同士の言い合いになんだけどね?なんで私が強引に迫られたり、慈愛で包まれたりするのかが、これまたわからない。
ご飯を食べながら今も続く論争を眺める。陽菜ちゃんは最近コミュニケーション能力が上がってきたのか、クラスの人達と談笑しているのをよく見かける。一方私はあの日から何も変わっていない!!人見知り&コミュ障は未だ治る気配がない。
瀬那も最初は、突然増えた友達の陽菜ちゃんに困惑していたけど、3日くらい経つと言い合いをするくらいの仲になっていた。
うぅ〜ん。二人が仲良くしているのを見るのは、私としてはとても嬉しい!嬉しいんだけどね?
「二人ばっかり仲良くなってる……。私も混ぜてよ……」
「「ッッッ!!?」」
私は二人の間にちょこんと座って言葉を溢した。だ、だって仕方ないじゃん!二人とも私がいることを忘れて口論してるんだよ?疎外感を感じちゃうわけですよ。
「んぶぶぅ゛ぅ゛ぅ゛!?!?」
「瀬那さん!!気持ちはわかりますが、抑えてください!乙女が発するような声じゃないですよ!?」
「んぅー。また二人で盛り上がってぇ!」
「んぎゃわいぃ゛ぃ゛ーーーーー!!」
最初に変な声を出して瀬那がノックダウンしたかと思うと、続け様に陽菜ちゃんも地に倒れ伏してピクピクしている。な、何これ……。で、でもまずはどうしても言わないといけない事がある。
「ふ、二人とも私のこと置いてけぼりにして盛り上がってるの、寂しいよ……」
私はそう言い残して昼食を食べていた屋上から出ていく。扉を閉める前に、何か悲痛な叫び声が聞こえた気がするけど、自業自得だね。
私は15分くらい余った昼休みの時間を、どう使おうかと思い悩んでいた。あてもなくぶらぶらと同じ学年の教室の前に辿り着いた時、中から大音量で流れる女の子の歌声が聞こえてきた。
あれ?これって確かシ◯ルルだっけ?懐かしいな〜。昔何回もリピートして聴いていた。
今もなおその歌が止まらずに音が垂れ流しになっている。そしてもう一つ垂れ流しになって聞こえてくるのは、人を馬鹿にしたような沢山の笑い声だった。
「ギャハハハハ!このクオリティでよく投稿したよな!」
「まじそれなぁw音程あってねえし、棒読みすぎんだろ」
「へったくそだなw」
などと、男子に好き放題言われて馬鹿にされていた。むむむ!これは私の怒りのボルテージが上昇しているぞ。
教室内では未だに歌が流れている。というか最初のフレーズに戻ったということは、リピート再生をしているのだろう。
「なぁ音羽さんさぁ?もう辞めた方がいいよw歌投稿」
「これ聴いてると才能ないの丸分かりなんだけど」
「言ってやんなよぉw」
笑いながら馬鹿にする事を辞めようとしない男子達。というか、音羽って音羽光ちゃんだよね?この歌っている人って音羽ちゃんなんだ!?ということは、人が頑張って投稿したものを馬鹿にして笑ってるってこと??はぁ?
「ありえないんだけど……」
私の口からは、普段絶対出さないような嫌悪感たっぷりの声が溢れた。
私は教室に入ると、窓際の方で俯きながら震えている音羽ちゃんの姿があった。私の怒りのボルテージはもうとっくの前に大破している!
「あ、冬咲さんだ!」
「天使が入ってきたぞ!崇めろっ!」
「きゃぁぁ!!可愛いぃぃ゛ぃ゛」
「女子一人鼻血を噴き出しながら倒れたぞ!?」
私が教室に何も言わずに入ったことで、中は阿鼻叫喚と化した。だけど、今はそんな事を言っていられない。
私は真っ直ぐに音羽ちゃんの元へ向かうと、その手を掴んで無理やり引っ張る。
「え?え?な、なんで冬咲さんが?と……というか!?手!?」
音羽ちゃんは盛大に混乱していた。けれどそんな事を気にしていられない。
「私は……人を馬鹿にして笑うような人は大嫌いです……」
『がふぅッッッ』
今の一言で何人かは地面に倒れ、何人かは呆然自失といったように立ち尽くしていた。え……そこまで過剰反応されると罪悪感が。
で、でも今の私は怒っています!!
「音羽ちゃんは私がお預かりします!」
「えぇぇぇ!?!?」
音羽ちゃんは盛大に驚いていた。この子さっきから盛大に反応するな。
私は音羽ちゃんを連れて教室から抜け出した後、保健室で音羽ちゃんと話していた。
「僕、一年くらい前から歌ってみたとかに興味があって、それで1ヶ月前くらいから投稿してたらクラスの人達に見つかっちゃって」
「それで拡散されちゃったんだ……」
「はい……」
落ち込んだ様子で話す音羽ちゃんは、歌っていた時のような自自信はどこにもなかった。今の時代というか、私の前世の時でさえSNSが普及していた。その時でさえ拡散や流出、晒しが絶えなかったのだ。
時代が少し進んでもそれは一切変わらないみたいだ。
……というか、いい加減言ってもいいだろうか?僕っ子ってまじで!?最強の属性がこんなに近くにいたとはっ!私は今感動しているのだ!だって音羽ちゃんボーイッシュだし、声は中性的だし?なにこれ?天性の僕っ子だよ!!
だからこそ知ってほしいな〜。音羽ちゃんは決して才能が無いわけではないっ!
「音羽ちゃん……今日は二人で学校サボろっか」
「え……えぇ!?い、いやでも僕は良いとして、冬咲さんは大丈夫なんですか?」
「ん?私は大丈夫だよ〜」
私の提案に対して音羽ちゃんは、ずっと困惑していた。さっきから困惑しっぱなしだね……この子。困惑星から来たのかな??
「それじゃ早速、早退して音羽ちゃんの家へGOー!」
「僕の家にいくんですか!?」
「行きます!」
そうして学校をサボって、音羽ちゃんの家に行くことが決定したのだった。
次回:音羽ちゃんとのお家デートですね!
あと注意点ですが、リアルに歌を真正面から馬鹿にしてくる奴はほとんどいないと思いますね。
というか男出てこねぇっすね。高校行くと出てきますよ?




