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もしも魔法があったなら  作者: 湖桜 
星源学園魔法学校
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星源学園魔法高等学校

 青年に案内されるまま、校内を進む。


 魔法学校というからには、軋む床や、おどろおどろしい外灯、黒々とした校舎の印象があったが、現実は全くの逆だ。


 海と桜に囲まれた白亜の校舎は、汚れの存在など知らないかのような清潔感があり、洗練されていた。


 白い壁は清らかな輝きを放ち、太陽の光を受けて柔らかな陰影を描き出す。

 時間が止まったかのように静謐でありながらも、桜の花びらは風にそよぐたびに舞い上がり、空中で儚く踊る。

 その光景は絵画のように美しく、幻想的である。


 校舎の中に足を踏み入れると、美術館でしか見たことのないような、高い天井と美しいフレスコ画が悠人達を出迎えた。

 大理石の床は輝きを放つまで磨き上げられており、歩くたびに心地良い音が廊下に響く。

 

 校舎の窓からは、手入れの行き届いた庭園が見え、様々な花々が彩りを添えていた。

 石畳の小径が曲線を描きながら庭園を巡り、その先には噴水や彫刻が見えた。

 噴水の水は陽光を浴びてきらめき、まるで宝石のように輝いている。


 数ヶ月前まで通っていた中学校の校舎とはまるっきり違う魔法学校の校舎の様子に、悠人は圧倒されていた。


 魔法学校の学生達は、この空間で知識と魔法の探求に勤しんでいるのだ。

 これから自分もその一員となる事が出来るという事実に、たまらない喜びを感じる。


 途切れず続く美しい光景に見惚れながら、悠人は青年の後ろを付いて行く。


「さあ、着いたよ。ここが会場だ」


 そうして案内されたのは、階段を下りた先の地下にある広々とした空間。

 その最奥にある荘厳な扉の前で、青年は足を止めた。


「私はこの後やらなければならない事があるから、ここでお別れだが、このまま中に入れば教員方が席まで案内してくれるだろう」


「何から何まで、本当にありがとうございました!」


「いいよ、これは私の役目でもあるからね。それに、これが最後になる訳じゃない」


 それじゃあまた後でね、二人共、と。

 柔和な笑みと共に軽く手を振り、青年はその場を後にした。


「あの親切な人、魔法学校の人だったんですね」


 青年の後ろ姿が見えなくなると、悠人はそう口にした。

 魔法学校まで転移を行った時点で、もしやそうなんじゃないかと予想はしていたが、悠人達を連れて迷うことなく入学式会場まで辿り着いた事で、それは確信へと変わった。


「……ええ、まあそうですね。言葉足らずではありますが」


 少女も間を空け、悠人の意見に同意した。


「そう言えば、あの人とはお知り合いなんですか? 何だか面識があるような話しぶりでしたけど」


 悠人は何となしにそう尋ねる。

 ここに来る前、青年が突然現れた時も大して動揺する事なく、慣れた様子で状況報告を行っていた少女。

 青年の方も、少女を知っているかのような話しぶりだった。


「知り合い、と言えば知り合いです。面識があるので」


 悠人の問いに対して、少女は短くそう答えた。

 その反応から見て、知り合いではあるものの、どうやらもの凄く親しい間柄という訳ではないらしい。


 本人からそういう話が出て来なかった時点で察するべきだったか、と心の内で少し反省する。

 しかし少女自身は特に気にする様子もなく、悠人の横を通り過ぎ、会場の扉を開けた。

 

「そんな話より、早く会場に入りましょう。ただでさえギリギリの所を送って貰ってここまで来たんです。入場しそびれては合わせる顔がないでしょう」


「そ、そうですね」


 話を打ち切り、中に入る少女に続き、悠人も同じように扉をくぐった。


ーーーーーーー


 中には既に、大勢の生徒が集結していた。

 アリーナステージの様式をとる会場の席に座り、皆一様に入学式の開始を待っている。


「あ、もしかして新入生の方ですか?」


 会場に入るや否や、壁沿いに立っていた職員と思しき女性が声を掛けてきた。


「ようこそ、星源学園魔法高等学校へ! 学生証の提示をお願いします」


 そう言われ、悠人と少女は学生証を取り出した。


「ありがとうございます。えー、空木悠人さんとーー、」

 

 先に渡した悠人の学生証に目を通し、次に少女の学生証に目を移すと、女性はそれを見て瞠目した。

 女性の瞳が驚きと尊敬の色を帯び、輝く。


夢見(ゆめみ)(そら)さんですか!? 本人!? お会い出来て嬉しいです!」


「??」


「気にしないで下さい、少し名前が知られているというだけです」


 少女の学生証と少女の顔を何度も照らし合わせ、興奮気味で前に出る女性。

 その様子に困惑する悠人に、少女は首を横に振った。

 

 が、女性もまた、少女の言葉を否定するように勢い良く首を横に振る。


「そんな、ご謙遜を。『悪人』を楽々と撃退出来るのは日本中どこを探しても夢見空さんくらいのものです。それに加えて、あの大英雄の魔法まで使えるんですから」


 女性はそう語り、首から下げていた機械で学生証を読み取った。

 その機械の両端を横に広げ、モニター状にして読み取った情報を確認し出す。


「おや、お二人共Sクラスですね! おめでとうございます!」

   

 どうぞ、と手渡される学生証と入学式のしおりを受け取る。  


「では、Sクラスはあちらの席になります」


 指し示されたのは、入り口の向かいの位置だ。

 その場所だけ、隅まで埋まった会場の席の中で唯一空席があった。

 悠人と少女は受付の女性にお礼を言い、言われた通りその席に向かう。


 が、その間、二人の間に沈黙が降りる。


 何か声をかけた方が良いのか、声をかけない方が良いのか、永遠にそんな問いを心の内で繰り返す。


 普段なら初対面の相手でもそう緊張することはないが、彼女に対してはどうにも気軽に声をかけにくい。

 何なら、先程少女に質問を投げかけ、微妙な反応をされたばかりだ。


 まだ聞けてない事もあるが、また余計な事を言ってこれ以上状況を悪化させる事は避けたい。 

 

 そんなことを考えていると、


「名前くらいは、名乗っておいた方が良さそうですね」


「!」


 どうしようもない沈黙の中、少女からふいに声が投げかけられた。


「私の名前は夢見空と言います。空木さん」 


 少女、夢見空は進行方向を向いたまま、自身の名を名乗る。

 悠人の名前は、受付の女性が学生証の確認をした際に覚えたのだろう。


 折角の機会を逃すまいと、悠人も前に出て自己紹介をする。


「う、空木悠人です。よろしくお願いします! 夢見さん」


「こちらこそよろしくお願いします。それと、敬語を使う必要はありません。空で結構です。私は癖になってしまっていますが、私とあなたは同学年で、これからは同じクラスメイトですから」


「分かりま……分かった」


 悠人が頷くと、それっきり彼女は黙りこくった。

 まるでそれ以上の情報を教える気はないと言わんばかりに。

 開かれた活路が再び閉ざされ、状況が元に戻る。


「あっ」

 

 それでも、今の空気が長く続く事はなかった。

 目指していた空席の近くまで来ると、その隣に見覚えのある鉄紺色の髪が見えた。

 悠人は一目でそれが誰だか分かり、思わず声を上げ駆け寄った。


「錬!」


「ん?」


 その声に、鉄紺色の髪の少年、白銀錬は席に座ったまま振り返った。

 錬の鋭い目は悠人を一瞬で捉え、その瞳に小さく驚きの感情を浮かべる。


「今来たのか、悠人。道理で会場に姿が見えない訳だ」


 錬は悠人の姿を見るや否や、小さくため息を吐き、やれやれと肩をすくめた。


「随分遅かったな。ヒノさんがデザートでも作ってくれたのか?」

 

「いや……それが色々あって」


 冗談めかして遅れた理由を尋ねてくる錬に、悠人は苦笑する事しかできない。


 本当に色々あった。

 一体何から話せば良いのだろうか。

 ガイダーが途中で暴走した話か、よく分からない影のような存在に追いかけ回された話か、夢見さんに助けられ、魔法学校の関係者にここまで送り届けて貰った話か。


 学校まで来るだけの、ただそれだけの時間の中に様々な出来事が詰め込まれたせいで、上手く言葉で説明できる気がしない。

 第一、悠人自身理解できていない事ばかりだというのに、錬に何をどう説明するというのか。 


「ーーお友達ですか?」


 頭を悩ませる悠人の背後、空が少し遅れて空席のある列に入って来た。

 つい駆け寄って錬の下まで来てしまったが、錬を含め、悠人達がいる横の列がどうやらSクラスの席らしい。


「うん、親友の錬だよ。同じ中学校だったんだ」


「ん? 何だ、もう友達が出来たのか?」


 なら自己紹介くらい自分で、と。

 席を立ち、自己紹介をしようとする錬。


 しかし、空の姿を見た瞬間、続く筈だった言葉を詰まらせ、表情を硬直させた。

 まるで予期せぬ人物と出会ったかのようだ。


「……その人とは、どこで会った? 悠人」


「えっと、ここに来る途中にたまたま雲の上で……」


「ーーはぁ」


 悠人は簡潔にそう答えたが、錬はその答えを聞き、額に手を当てた。

 どうやら錬にとってはかなりの衝撃だったらしく、声に若干の疲れが滲んでいる。


「念の為聞いておくが、夢見空、で合ってるか?」


「はい。ご存知なんですね。空木さんは私の事を知らないようだったので、ご友人のあなたも、てっきり私の事を知らないのかと思いました」


「夢見空を、知らない……!?」


 信じられないようなものを見るかのように目を見開く錬。


「もしかして、空って凄い有名な人なの……?」


 ここまで来たら、流石の悠人もそう尋ねざるを得ない。

 と言うより、もはや尋ねずとも結論は見えている。

 

「本人の手前、あまり下手な事は言えないが、この国で知らない奴などいない程度には有名だな。まあ、お前は知らなかったようだが」


 錬はそう言って視線をずらす。


「それに、実際に対峙してみて分かったが、とんでもないな。噂以上かもしれん」


 そんな錬の言葉に、彼女は眉をほんの少し持ち上げ、心無しか興味深そうな表情を浮かべる。


「……分かるんですか? 普段は魔力を抑えているんですが」


「身近にそういう人がいるものでな、魔力感知は得意だ」


「随分、優秀ですね。もうそんな精密な魔力操作を行えるなんて。それに、あなたも相当の魔力を持っているようですが、私と同年代でそれ程の実力を持っている人は初めてみました」


「そうか。夢見空に褒めて貰えるなんて光栄な話だ。だが、あいにくこの場には俺よりも優秀な奴がいてな」


 賞賛の言葉に首を振る錬。


「……あなたよりも? それはーー」


 空が錬にその先の言葉を尋ねようとしたその時。

 今まで会場全体を照らしていた明かりが消えた。


 同時に生徒の話し声が途絶え、自然と明かりを求める彼らの瞳は、吹き抜けから差し込む陽光に照らされるステージへと吸い込まれる。


『あー、あー、待たせたね、少年少女諸君。今日は遠路遥々よく来てくれた! さあ、入学式を始めよう!』


 広大な会場に声が響く。 

 その声の主はステージの中心に立っていた。


 ステージの上に立つ人物を見て、悠人は身を乗り出した。


「あの人って……!」


 間違いない。

 遠くからでも目立つ特徴的な桜色の髪に、響く優しい声色。

 身の丈程もある大きな杖を片手に持ったその人物は、先程、悠人達をここまで案内してくれた青年だ。


 しかし、何故その青年があんな場所にいるのか。

 悠人の疑問に対して、答えはすぐに青年の口から明かされた。

 

『まずは自己紹介をさせて欲しい。私の名前は道崎達人。ここ星源学園の校長をやらせて貰っている者だ』


「…………え?」


 堂々と宣言される名前とその肩書き。

 悠人は口を大きく開け、言葉にならない声を発した。

 

 耳にした言葉の意味が理解できなかった訳ではない。

 理解した上で、その事実に混乱しているのだ。


「今、あの人、校長って……」


 自分の驚きを理解してくれるであろう人物をぎこちない動きで振り返る。


「はい。私達を送り、今あのステージに立つ彼こそ、ここ星源学園の長です」


 悠人とは対照的に、席に着いた空は一切驚いた様子もなく、淡々とそう話す。

 当人は青年とは知り合いだと言っていたし、彼女の反応は当然のものと言えばそうだが、ならば何故教えてくれなかったのか。

 これから正式に入学しようとしている学校の校長に登校を手助けして貰っていたと考えると、胃が痛くなってくる。


『魔法学校は関係者以外にあまり情報を出さないから、私の事を今知った子も多いだろう。出来るなら、校長である私から君達一人一人にお祝いの言葉をかけ親睦を深めたい所だが、生憎、そこまで時間がなくてね。私の挨拶は手短にして、まずはこの学校について話そう』


 青年、道崎達人はそう言って手に持つ杖を上に掲げる。 

 そして突然その先端から球状の炎を放った。


 炎は勢い良く昇っていき、丁度一番高い位置にある席と同じ高さで花火のように爆発した。

 生徒が座る席からは声が上がり、皆の視線が空中に広がる火花に集まる。


『皆知っての通り、これは魔法だ。そして、ある日突然与えられたこの超常的な力について研究し、その謎を解き明かすべく設立されたのが、ここ、魔法学校だ。君達がこれまで過ごして来た学校生活とは違い、魔法学校では全てが魔法中心に進んでいく。その中には、きっと今まで経験した事のないような体験が多く待ち受けている事だろう』


 道崎校長はそう言って両手を広げた。


『私は、この星源学園をどこよりも自由で、生徒の希望に寄り添える学校だと考えている。鍛錬に励むも良し、研究に没頭するも良し、創作に勤しむも良しだ』


 ただ、と。

 杖がステージの床を叩く。 

 木製の床から響く乾いた音が、静寂の中で際立った。


『魔法学校で行動するには、目標を定めなければならない。常に乗り越えるべき壁と向き合い、試行錯誤しながら成長していく意思を持つんだ。そうでなくては、せっかくの魔法学校での生活も意味が無くなってしまう。流れに身を任せるだけの抜け殻のような学校生活ではなく、自分の意思が詰まった学校生活を満喫して欲しいんだ』


 そう熱弁する道崎校長は、席に座る生徒一人一人に視線を合わせるように観覧席を見つめる。


『故に、私は今日この入学式で、君達が星源学園での生活から何を手に入れるつもりなのか、決めて欲しいと思っている。ぼんやりとで構わない。三年という時間の中で、それだけを貫き通す必要もない。達成したならまた次の目標を立てれば良いだけだ。それにもし目標が見つからないという者がいたら、まずはあの者達を目指したまえ!』


「!!?」


 道先校長は勢い良く悠人達の方向を振り返った。


『彼らはSクラスの生徒達だ。Sクラスというのは君達新入生の中でも特に秀でた実力を持つ者達が配属されるクラスでね。毎年一人か二人程度、一人もいない年さえあるくらいだが、今年は非常に優秀だ。何せ六人もいる』


 突如指し示される悠人達。

 それに合わせるように、スポットライトがSクラスの席を照らす。


「Sクラスってそんなに凄いクラスだったの……?」


「みたいだな。まあ、考えても見れば、明らかなヒントがあったが……」


 注目される中、声を顰めて話す悠人と錬。

 錬が何を言いたいのかは、すぐに分かった。

 そして案の定、それは道崎校長からも告げられた。

 

『そしてなんと! このクラスにはかの夢見空君までいる! 同年代であり、最もかの栄光に近いとも言われる人物だ。目標としては申し分ないだろう!』


 道崎校長がそう発言した瞬間、会場全体がどよめいた。


「夢見空!?」


「それって、あの英雄の……?」


「星源学園に来てたのか!?」


 至る所で声が上がった。

 その声は皆一様に驚愕や動揺の色に染まっている。


 生徒達の反応を見て、最初程驚きはしないものの、彼女の存在は相当インパクトがあるものなのだと改めて実感する。


 当の空本人は注目の的になる事に慣れているのか、表情を一切変えずに正面を見つめていた。


『さあ、胸に手を当て目標を定めたまえ! 目指すべき目標を決めた者から、この会場から教室へと送られるシステムになっている。つまり、その者達から入学式は終わりだ。君達の魔法学校での生活に幸多からん事を祈っているよ』


 そんな言葉を残し、ステージに立っていた道崎校長は瞬きの間に美しい花びらへと姿を変えた。

 花びらはどこからか吹き込んだ風に流され消えていく。


 それを契機に、会場は再びざわめき出した。

 決心を迫られ、どうするか悩む生徒達と、すぐに胸に手を当て、目標を自身の心に誓う生徒達で二分する。


「目標を決めろ、か」


 ちらちらと向けられる無数の視線の中、錬は呟いた。


「一理あるが、まさか目標の役割そのものを俺達に押し付けるとはな」


「凄い見られてるね……」

 

 悩む生徒も即決する生徒も、一度はSクラスの席を見る。

 悠人達がどこか視線を動かせば、誰かと目が合ってしまいそうだ。


 道崎校長がステージに立っていた時はそちらにも生徒の関心が向けられていたが、今はその道崎校長がいない。

 一身に生徒達の関心を引き寄せている状態である。


「注目されるのが嫌なら、早く目標を決めて教室に転送された方が良いと思いますよ。私はそうさせて貰います」


 いち早くこの空間から抜け出す意思を見せたのは、空だった。

 彼女が一番注目を浴びているのは間違いないが、慣れていてもやはり落ち着かないのだろうか。


 迷う事なく胸に手を当てる空。

 数秒の後、目標を定め終えたのか、彼女を魔法の光が包み込む。

 そして、光の消失と共に姿を消した。

 原理は良く分からないが、道崎校長の言っていたように、魔法で教室に送られたのだろう。


「俺達も行くか。何も目標無しに魔法学校を志した訳じゃないからな」


「そうだね。長居しても仕方ないし、ずっと見られてるのも何だかむず痒いし……」


 悠人と錬は目を瞑り、自身の心に抱く目標を再度胸に誓う。

 魔法学校に入学すると決めた日よりもさらに前から抱いていた目標を。


 すると、視界が一瞬捩れ、その直後に瞼越しに眩い光が染み込んで来た。


「お、来たね」


 暗い会場に慣れていた目をゆっくりと開き、鮮明な視界を取り戻す。

 その視界の中央には、つい先程花びらとなって入学式会場から去ったばかりの青年、道崎校長がいた。


「さっきぶりだね、空木君。驚いてくれたかな?」

 

 初めて会った時と同じように、道崎校長は優しく笑った。

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