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~魔王様からの入電記録???~


しかし、悲しいかな。魔王はどこまでいっても魔王だった。

決して、西が職務怠慢をしていたとは思わない。

この魔王は自分の都合のいい声しか聞こえないので、西が呼びかけても誰だろうくらいにしか思わない。

残っている記録レコードにかけてもいい。

とにかく、魔王は直人の声に反応を返したのだ。


「ぬお?直人か?何故にワシのケイタイデンワにリンクを?ワシ、今日は忙しいって言ったと思ったのじゃが?」


「こちらからのお電話ではなく」


「うむ。直人はワシと話さぬとやはり寂しいのかの?」


おぞましい事を言わないでくれ。


「間違い電話でございます」


「まあ、良い。先程、魔王の一撃を城下町に食らわせてやったのだが、半分くらいの勇者の魂が肉体を離れておった!チート勇者がちぃーっと残ったがの・・・ガハハハハ!!」


上手いとでも?

下らないその洒落に、俺はなんて答えればいいって?

ガハハと笑う魔王の後ろからは悲鳴やら怒号やら、鋼の爆ぜる音が聞こえてきていたが、直人はあえて無視した。

関係ない。異世界の住人だか、転生勇者だかが、何人捕まって魔王城に飾られても直人の知るところではないのだ。


「うむ、ご苦労。早速捕まえてきたか!」


「ふざけんな! 離せ!! 俺はこの世界でやり直すんだ!!」


「魔王様の前だ!!人間、口を慎め!!」


「俺は、主人公補正のかかったチート勇、がはっ」


ボコスカと殴る音が聞こえたので、どうやら捕らえられた勇者は殴られたようだ。


「うるさくて申し訳ありません、魔王様」


「うむ。気にするな。人間とはこういうものだ」


魔王は気分を害したようではない口調で部下らしき声に言った。

え。もしかして、これって、俺ちゃんが無責任な発言したからじゃないよね。と若干焦りつつ直人は引きつった笑みを浮かべた。


「おお悪いの。直人、そういうわけじゃから、ワシは今日は忙しいんじゃ!」


そう言って、魔王の電話はこちらから切るでもなく切れた。

いや、いいんだ。こちらから切るのはあまりよくないので、向こうから切ってもらった方が。

しかしどうしてか後味の悪い切れ方に直人は渋い顔をするしかなかった。


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