表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/38

~魔王様からの入電記録4~


タチが悪い。大体の客はこれで納得して、ああそっすよね。と現実を見はじめるのに、魔王は果てしなくファンタジーだった。ファンタジー世界の生き物なんだから、当たり前といえば当たり前だ。

MMORPGだって、アップグレードすればすぐに魔王が実装される時代なのだから、魔王がさも当然のように『ご意見』がすぐ通ると思うのは当然だ。

直人はもはや辟易としながら重く言葉を紡いだ。


「申し訳ありませんが、お答えできかねます」


「なぜだ」


魔王は直人の言葉尻に被せて問いかけてきた。

直人はすぐに頭をフル回転させて、適切な答えを考える。


『定期メンテナンスを行い、お客様のご不安を解消させて頂ければ幸いです。定期メンテナンスの時期はHPに記載されております。日程をずらすことはできかねます』


定期メンテ明けにこいつ絶対電話してくる。

毎月絶対かかってくるアホカー定期(アホカーというゲームのクラッキングツールを使って不正して優勝しているクソ報告。通称赤van定期便)と跳びもりバカ(跳びもりというゲームに不正侵入されてクラッキングツールおいてかれた人)と一緒になって戻ってくる。

あー、とりあえず電話切りてェ。

とか色々と考えた結果、直人が出した答えは、以下だった。


「当コールセンターではその日時はお伝えしておりません」


「そうか。それは何故だ?答えよ」


「申し訳ございませんがお客様にお伝えできかねます」


「それは、ワシが転生したり転移した勇者をすぐに殺しにいく、愚かで卑怯な魔王だと思ったからか?」


「全てのお客様にお答えできかねます」


「ほう。では、転移したり転生する勇者が分からぬのはお互いという事か!?」


「申し訳ございませんが、わたくしどもではおこたえできかねます」


再び言い含めるようにゆっくりと直人が言葉を放つと、魔王は「うむそうであったか。なに、お前はそんなに悪い奴ではないな、直人よ」と言ってさも楽しげにガハハと豪快そうに笑った。


「では、貴重な意見ありがとうございました。本日は池田が承りました」


「うむ。直人。そなたには報酬をやろう!」


と言って、魔王の電話は今度こそあっさりと切れた。

その後、直人は気がついた。自分は上の名前しか言っていないのに、魔王は自分を下の名前で呼んだ事に。まさか、本物だったら、お礼まいりとか?とビクビクしていると、ちゃりんという音がして、電話の下から謎の硬貨が出てきた。

まさか、魔王からのお礼か!?直人はもはや、信じるしかなくなってしまった。

このコールセンターが異世界の魔王に繋がっていると。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ