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~魔王様からの入電記録2~


「んじゃ、俺ちゃんいってくる~。やば、魔王とかどんだけ痛々しいやつなのワロチ」


SV専用の席に腰かけて直人は、さっそくヘッドセットをつけて、手早く準備する。

紙、ペン、声、問題なーし。俺バッチリ。

そして、鹿島の電話からSV用の電話に転送完了。

後は、こちら側のPCでクリックすれば、こっちで対応をはじめる。

よし、チャラ男モードからお客様モードにうつる。


「お電話かわりました。上司の池田でございます。お客様のご事情を推察しかねますので、改めてお伺いしてもよろしいでしょうか?」


その電話先の相手は地の底から唸るようなガラガラ声で言った。


「ワシは異世界の魔王なんじゃが、そちらの世界から送られてくる勇者が強すぎる!!もはや、チートでハーレムで、異世界転生、転移とか鉄板ネタになっておるではないか!!どうしてくれる!!」


直人は思った。こいつ・・・、流行りの厨二じゃない!?


しかし、直人はいつものように口調をゆっくりと緩めて、言葉を紡ぐ。

お客様が例え厨二だろうが、丁寧親切かつスピーディに、ご案内。


「あの、お客様、こちらの窓口ではゲームの内容はお受けできかねます」


「ゲームではなくてだな!!主にそちらの世界にいる神的な何かが毎回、勇者だか選ばれしものだかに特別な能力を与えすぎなのは明白。こちらにも色々とバランス的なものがあるのじゃ。じゃから、ワシたちだって、勇者が転生してきたって分かってもソッコー仕掛けたりせんじゃろ、ちゃんとスライムから戦ってやっているであろう?それなのに、貴様達の世界はそれさえ犯し、あまつさえスライム最強鉄板まで作り上げておるではないか!!これではワシたちの立場がないっ!!」


このじいさん完全に異世界転生ものにトリップしてるみたいだ。

もはや、何を言っているのかよく分からない。

スライム最強ってどんなん。それ勇者より問題なんじゃないって思う。

内容が気になって仕方なくなった直人はPCを操作して『スライム 異世界 チート』で検索する。

おお、そういう傾向なのかねェ最近の若い子は。没個性スライムの中にいても自身だけは個性的でありたいと?随分と消極的な承認要求ですなぁ。

直人は適当に返事をしながら、さて、この客にはどのパターンで電話を切ってもらおうかと考えを巡らせ始めた。


これが、魔王と電話勇者こと、池田直人の長きにわたる戦いの始まりであった。



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