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~魔王様からの入電記録7~


毎度お馴染みのように指名してきた魔王。

もはや、直人専用の固定客になりつつある。テレクラならいくらか高い賃金も要求できただろうに。

一昨日はどうでもいい勇者の末路の話、昨日はチート勇者が強すぎるので早く意見を通してほしいとシツコく頼まれた。

まあ、神的な何かがサポセンにいるのなら、是非とも早めにチート勇者だか鉄板展開だかを回避しつつ魔王の世界に転生勇者だかを送るのを控えてほしいと、直人は素直に祈った。


とにかくこの魔王はとんでもないお喋りで、自分の言いたいことが終わるとコロッと、何を言っていたのか忘れる事が多い。チート勇者なんて困ると言いながら、ラノベの上位ランキングのチート勇者モノの小説を大絶賛する・・・といった具合に矛盾だらけの魔王なのだ。


まあ、魔王がサポセンに電話をかけている間は異世界が平和なのだろう。それだけが救いだった。

異世界の人たちよ、こうして俺が魔王からの迷惑電話を受けている間は平和だろう、感謝してくれ。

そう思ったが、だからと言って、こう毎日毎日、指名されては迷惑だと直人は辟易しながら、魔王からの電話をとった。


「お電話かわらせていただきました、神ゲーム池田です」


そう名乗りをあげても魔王はまったく聴いておらず、興奮気味に声高らかに言った。


「聴いて驚け! 直人!」


はいはい。毎回驚かされっぱなしで、もう何が起こっても俺ちゃん、そんなにびっくりしないから気の済むまで話せ。


「なんとな、囚われた魔族の子供を高値で買い付けては逃がしておった勇者がいたのだ!」


ほうほう。随分とお優しい勇者だ。


「今まで、己の欲のみで動いていると思ったが、この転生者、なんと心優しいのじゃ!!」


「左様でございますか」


「ワシを見ても何も言わず、早々に帰るべきだと進言してきおった!」


何を思っているのか魔王は興奮を隠しきれず、一気にまくしたててくる。

つい先日、城にドカンとやった魔王を心配するとは、さぞや根性の座った勇者なのだろう。

しかし、そいつが、 魔王城には生きた剥製として他の勇者が飾られているのを知ったらどう思うだろうか。


「人間の勇者の癖に、生意気にもワシの心配をしてきおったので、ちょっと捕まえて、存分にもてなそうと思うのじゃ」


それはとても名案だ。

直人は想像した。

捕まえられた勇者がキラキラな飾りが飾られる禍々しい魔王城に招待され狼狽する姿を。

同じように禍々しい魔王も三角状のコーンを被って、「ようこそ、勇者よ!」という場面を。

そして、剥製にされたであろう勇者たちのおぞましい姿を見るだろう。

きっと、勇者は悪魔の儀式の為に呼ばれたのだと勘違いし、 慌てふためき、魔王に刃を向けるだろう。

哀れ勇者よ、精神を病んでしまうのか・・・。

そんな直人の想像なぞ何のその。魔王はいつものように自分勝手に話はじめる。


「じゃから、そちらの世界の勇者がほしいものって何かの?」


魔王の問いかけに対して、思わず直人は楽しげないたずらを思いついてしまった。


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