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~魔王様からの入電記録1~


プルルル・・・。


「はい、お電話ありがとうごさいます。神ゲーム、三浦が承ります。大変、申し訳ありませんでした。では後日お届けにあがりますので・・・」


ここはお客様相談窓口。いわゆるコールセンターである。

何人ものオペレーターがPC操作をして、お客様からの電話をうけてはとにかく謝って、納得させて、ゴネられてゲームソフトつけろとか適当な事を言われないようにするのが、『神ゲームお客様相談窓口』の役割であった。

そして、そのコールセンターの中、何人かが歩き回っている存在をSVという。

いわゆるオペレーターの上司であり、困ったクレーマーが最後に出す言葉の「あなたじゃ、話にならないから上の人だして」と言われて、電話にでてくる存在である。


何とも異質なコールが轟いたのは、きっかり、昼休みがおわった後だった。


その異質な音は誰もが聞き取ったが、誰もがその電話を受けたがらなかった。


プルル・・・という可愛い音ではない。


グルル・・・と、地獄の番犬でも吠えているのかと思うような恐ろしい着信音が昼下がりのオフィスに鳴り響いた。


1コール目で即座に電話をとったのは、いつも優等生な鹿島だった。

鹿嶋はいつものように、綺麗な声でスラスラと答える。


「お電話ありがとうごさいます、神ゲーム、鹿島が承ります。はい・・・、あの、お客様、そのとても申し上げづらいのですが、当窓口ではゲームの内容にお答えできかね、え!?違う?・・・と申しますと・・・はあ。それは、あの大変で・・・え?とにかく止めてほしい?と申しましても、当センターには、はい、では上のものに変わります」


鹿嶋さんは随分と手こずっていたが、今日はどんな難敵が現れたのやら。

楽しそうに、チャラ男SVこと池田直人いけだ なおとが保留ボタンを押したのを見計らって鹿島かしまに楽しげに問いかける。


「おらおらー、どったの?カシマチン。いつものカシマチンなら、『出来かねます』で時伏せるじゃん?」


「それが、お客様は魔王と名乗ってて。なんか異世界チーレムに辟易する魔王を代表して、この世界に文句いいたいから、とりあえず運営に文句いいにきた的な?なんか、私おかしい?」


「おっけおっけ。いや、やばそうだなって思ってたから大丈夫。俺に任せといて。カシマチンは他の電話とって。てか、カシマチンソッコーじゃん。あのコール音で1コールで取るとかすごい度胸っしょ」


コールセンタールールその1:3コール以内に出る。出られない場合は、申し訳ございませんのワンクッションおいて、電話にでる。(このワンクッションを自分アレンジで変えたりするとなおグッド)


コールセンタールールその2;上司にかわれと言われた場合、無理そうなら素早くSVに手をあげて伝える。


コールセンタールールその3:基本的にこちらに非がない場合に謝罪すると着火剤になりかねないので、謝罪はせずにSVに流すのがプロ。



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