おまえら絶対に仕返ししてやるから待っていろ!もっとも騙し打ちや不意討ちだから待ってても無駄なんだけどな!
この作品では『ヒール』といった魔法や、『一瞬で傷が治るポーション』といったトンデモ薬は出てきません。
魔物や魔法使いはいますが、どちらかというと現実世界に近いです。
なぜか?
そんなのがあったら復讐譚にならですから!
「の、呪いだ!呪いがかかっているんだ!」
3年も一緒にやってきた仲間がはっきり言い切った
がっかりだよ
少しは信じていたのに・・・
ことの始まりは1週間前に寝込んだことだった
それを語る前にちょっと説明
前衛の剣士
盾役のオレ
中衛の槍使いと弓使い
後衛の魔術師
5人でチームを組んでいた
オレはチームを組む前のソロでは結構いい線いっていた
でも魔物のレベルが上がると一人では苦戦するようになった
だから最初に知り合った剣士とペアを組んでみた
そしたら結構うまくいくようになった
その後も段々人が増え最後には5人でチームを組むようになった
だけど、チームを組んだくらいからかなり苦戦するようになった
やっぱり魔物のレベルが上がると実力不足が出てくるのかと思っていた
皆は楽勝だからオレの実力が不足しているのでは?
だから足をひっぱらないように気をつけよう!
皆に追いつくために腕を上げるために訓練しよう!
そういろいろ考えて頑張った
だがそれは間違いだった!
約2週間前のこと
ちょっと難しい魔物の討伐に出かけてなんとか勝った
でもオレは魔物の一撃を受けて大けがを負った
そんな俺に対して皆は薬師を呼んできて、結構高価な薬を使って治療してくれた
「安静にして治療に専念しろよ!」
「待っているから!」
「ひさびさにのんびりするかー、お前もゆっくり休め、な?」
「十分に回復してくださいね」
暖かい言葉をかけてくれた
傷のせいで高熱が出たりもしたが皆の励ましがあって何とか乗り切った
ようやくベッドから起き上がれるようになったので夜中に一人でトイレに行ってみた
そしたら皆が一つの部屋に集まって酒を飲んでいた
酔っているせいか、結構大きな声で喋っていた
閉ったドア越しにしっかり内容が聞こえた
「しかし、しぶといよなー」
「あれだけやられて死なないとかマジありえねー」
「さすが期待の星だけあるよな?」
「でも今では私達のレベルを上げるための生贄ですわ」
詳しくはわからないが、どうやらオレの成長を皆でかすめ取っているらしい
そんなことができるのか正直なところオレではわからない
でも皆が言っている
本当のコトを確かめようと心に決めた
1週間もすると何とか動けるようになった
そこで元に戻るため一人でちょっと魔物の討伐をしてくると言ってみた
「だったら俺が護衛についてやる」と中衛の槍使いが付いてきた
本当は皆が付いてくるって言っていたがそれだとマズイので槍使い一人が付いてきてもらうことになった
近くの森にいって弱い魔物の討伐をしてみたら結構身体がなまっていることがわかった
半月近くも寝てたから仕方がない
本調子でないため、休み休み討伐していた
ちょっと遠出をしたので町には帰れない
そこで安全な場所を見つけて予定通り夜は野宿になった
料理を作るオレ
念のために、まわりに罠をしかける槍使い
罠を仕掛け終わったところで夕食になった
オレの作った料理を食べた槍使いがシチューの入ったお椀とスプーンをとり落とす
どうやら薬が効いてきたみたいだ
腰の剣を抜いて槍使いに突き付ける
そして尋問
なかなか口を割らないので苦労した
でもこちらの本気を悟ったのかようやく白状した
オレは結構な能力があるらしい
それを他の4人に分けて移し替えた
だから皆は腕がメキメキあがる
一方、オレは初心者より少しマシな程度にしか成長しない
マジかよ?!
顔つきからどうやら本当らしい
そして裏で糸を引いていたのが冒険者ギルドのマスターだとも白状した
どうやらギルマスの孫が冒険者になったのでそのレベルを上げるための生贄に選ばれたとのこと
皆はその練習台である
でもレベルは上がるし、孫がメンバーに入っても今まで通りなのでウマイ話なので乗ったそうだ
「ゆ、許してくれ!俺は気が進まなかったんだ!」
まあそうだよな
メンバーの中で一番まともなのがお前だからな
だから今回、尋問する人間に選んだんだ
3年も一緒にやってきたんだ
それくらいはわかる
でもゆるさないぞ
なんだかんだ言って黙っていたし、結局はレベルが上がっていたんだしな
ヤツの槍を持ち、足に突き刺す
「ぎゃーっ」
槍先を抜き反対側のふとももにも突き刺す
「あとは頑張ってくれ」
そういって火を消す
もちろん灯り用のランタンは俺が貰っていく
ついでに罠を槍先でつついて解除する
毎回、野営の後に一緒に解除していたのでそこは簡単にできる
「まっ待ってくれ!」
ヤツが叫んでいるけど構わず進む
灯りがないので真っ暗
足をやられて動けない
槍がないので魔物に襲われたらひとたまりもない
頼みの罠も解除された
もうちょっとするとシビレ薬は効果がなくなるけど超ヤバイ状況だ
あ?どうやって薬を盛ったかって?
あらかじめヤツのお椀に薬を入れておいたんだよ
そこに熱いシチューを入れると薬が溶けるって寸法だ!
あ?これで復讐が終わりかって?
まだまだだよ!
両脚の傷は治っても冒険者はムリだろう
オレのおかげで高いスキルはあっても身体がついてこない
それがやつにはかなり堪えるはずだ
結構いい収入があったのにろくに稼げなくなるんだ
悲惨な生活だろう
まわりもいろいろウワサするだろう
結構堪えるもんだぜ?
ヒソヒソとダメ出しされるのは
それが一生続くんだ
どんな傷でもすぐ治る魔法や薬なんてものはないしな!
次のターゲットはギルマスだ
孫の次の予定は出発前に確認ずみだ!
本当に使うことになるとは思わなかったけどな
孫の次の冒険先に先回りする
ちょっとガラの悪い酒場にいって酒を飲む
酔った振りをして孫の噂話をする
曰く、いい剣を持っている
ギルマスの孫なのでいつも金貨を多く持ち歩いている
イイ女だ
辛抱が足りないのですぐに大技を出したがる
だからスキだらけだ
相棒の魔法使いは自分より孫を守るのを優先する
惚れているからな
だから孫に攻撃が集中すると意識がすぐに逸れる
こちらもスキだらけ
聞いていたやつらの目は光っていたな
待ち伏せかな?
寝込みを襲うのかな?
まあ孫の腕は確かだから20人くらいのゴロツキくらいなら遅れはとらないだろう
ただでは済まないだろうけど
大けがしたらいいな
その時のギルマスの顔が見れないのは残念だけど
5人中2人への制裁がすんだ所で王都に向かう
まずは、いまいましい呪いを解かないとな
その後はやつらに復讐だ!
奴らの腕はオレよりも上なのは認める
だから当分は騙し打ちや不意討メインだ
その後、呪いがとけてレベルが上がったら実力で仕返しをしてやる!
一生かかって仕返ししてやるから覚悟しておけ!
ついでに慰謝料も取り立ててやるからな!
首を洗って待ってやがれ!